その日暮らし日記へもどる
表紙へもどる
1997年6月下旬の日記
21日
22日
23日
24日
25日
26日
27日
28日
29日
30日
97年6月21日〜30日
6月21日
翻訳家Nさんの自宅に招かれホームパーティー。長いつきあいの人たちばかりが出席し、ワイドショーの話題などで盛り上がる。
6月22日
今日は久びさに外出の予定がないので、のんきにCART第9戦ポートランド予選のリポート、ドライバーのコメントを翻訳してニフティサーブ・オートレーシング情報フォーラムに掲載していたら、『龍の伝説』連載再開第1回のゲラがFAXで到着。直しが多くて担当編集者とデザイナーを困らせる。ごめんなさい。
眠気をこらえながら月曜午前6時から「スポーツi・ESPN」で始まるCART第9戦ポートランドのライブ中継を待つ。そのあいだにコンピュサーブにつなぐと、おお! 野田英樹選手がインディライツで初優勝! さっそくニフティサーブ・オートレーシング情報フォーラムに速報を入れる。
午前6時からのCARTレースは雨。途中で眠気に負けてビデオをセットし布団に潜る。あとでレースの内容を知り、しまった寝るんじゃなかったと後悔。
6月23日
正午過ぎに起床しコンピュサーブでCART第9戦の結果を確認。CART史上最少タイム差でレースが決まる。1〜3位がほぼ半車身くらいの差。写真判定といってもいいくらいだ。コンピュサーブとCARTのホームページでデータとリポートを収集してプリントし、シャワーを浴びてスーツに着替え、第一ホテルで行われる日本推理作家協会賞の授賞式に出席。
第50回の受賞者は長編部門が真保裕一さんの『奪取』。東京中日スポーツ連載時に読んでいたので単行本は読んでいなかったが、あらためて読んでみよう。評論その他の部門は共同通信社社会部の『沈黙のファイル』。こちらは読んでいなかったが、同じ社会部が連載した『野望の系譜』はニフティサーブの記事情報データベースからダウンロードして読んでいた。ダウンロードすると、えらく高くつくのが欠点。『沈黙のファイル』は単行本で読むことにしよう。瀬島龍三氏を主人公に、戦後史をえぐった力作らしい。
授賞式は乾杯の音頭までで脱出。『沈黙のファイル』にも出てくる瀬島氏とも縁の深い伊藤忠本社ビルの中にあるスポーツi・ESPNのスタジオに向かい、CART第9戦ポートランドの解説を担当。午後8時すぎからスタートし、終了は午後11時。放送は午後10時32分から始まっている。タクシーで帰宅しテレビをつけると、まだレースの終盤を放送中だった。自分の声がテレビから流れてくるのは恥ずかしいものであります。
6月24日
ちょっと疲れがたまったため必死に眠る。午後に起きてぼんやりしていると故郷の市役所に勤務する同級生から電話。図書館に郷土出身作家のコーナーがあり、そこにぼくのコーナーも設けられているらしいのだが、最近出た本を教えてほしいというもの。ホームページ用の作品リストを手直ししてFAXする。
夜はプールへ。あとは、ひたすら資料読み。
6月25日
2時間寝ただけで電話のベルに起こされる。そのまま『週刊小説』の連載コラムにかかるが、途中で眠気に耐えられなくなりダウン。夜中に起き出して原稿の残りをあげてFAXで送信。午前8時にビールを呷り、寝床に行く前にとコンピュサーブとニフティサーブにアクセスすると、メールがたくさん届いていて、その返事を書いているうちに昼前になってしまう。
6月26日
1時間ほど寝たところで電話のベルで起こされる。こういうときに限って家族が留守なんだから。そのまま起きて銀座の旅行代理店に取材の手配を申し込みにいく。帰りに近くのY社にアイスクリームの差し入れを持って立ち寄り、原稿が遅れているいいわけ。
秋葉原に回って女性漫画家さんから頼まれていた電話回線のノイズを除去するためのフィルター捜し。げ、ほんの1年ほど前には、どこでも売っていたフィルターがない。だったら自作しようと材料のトライダイトコアを捜すが、これもない。パーツ店で扱う品目に変化が起きている。最後の頼みのツナの秋月通商も休日だ。
こういうときは秋葉原のヌシでもあり、生き字引でもあるパソコンショップ「ぷらっとホーム」の社長に訊くに限る……と店に出かけ、居合わせた社長に質問すると、あっさりと、「トライダイトコアならラジオデパートの3Fに行けばいい」と教えてくれる。ついでに、この店に積まれていたパソコン用モニターの切換機を1台購入。これまでのモニター切換器はVGAモードまでしかサポートしていなかったが、これは1280×1024までOK。これで3台あるパソコンを1台のモニター(キーボードとマウスも)で使うことができる。
ラジオデパートに立ち寄り、トライダイトコアを捜すと、コイルのついた電話用ノイズフィルターもあったので、これを購入。プラスチックケースやモジュラープラグなどの自作用部品も買い揃える。
秋葉原から吉祥寺を経由して帰宅。早々に寝るはずが、結局、寝たのは午前3時過ぎ。これじゃ身体にいいわきゃない。今夜はグッスリ寝て、また明日はプールに行こう。
6月27日
夕方、プールに行くつもりで自転車で家を出たが、身体が熱っぽく頭がクラクラするので、途中で引き返し、家でゴロン。パンツ一枚の裸で寝てしまったのがいけなかったかな。
『F1速報』の連載小説の原稿を進め、夜はF1フランスGPのドライバーのコメントの翻訳など。午前3時まで頑張るが、めまいがするので早々に寝る。
6月28日
久しぶりに本格的な風邪を引いてしまった。熱に浮かされたのと風邪薬のせいで眠ってばかり。あまりしんどいのでニフティサーブ・オートレーシング情報フォーラムのF1速報も休ませてもらう。
うすらぼんやりしながらテレビの前でうたた寝していると、神戸の小学生殺人事件の被疑者逮捕のニュース速報。被疑者は14歳の中学3年生とのこと。ぼくは家で、犯人は若者説、ひょっとすると未成年もあり得るという説を唱えていたのだけれど、それがホントになってしまった。
6月29日
風邪で不調。ふらふらしながら神戸の事件を報じる新聞を読む。もしもぼくが漫画を描く楽しみを持っていなかったら、そして『マンガ家入門』という本と出会っていなかったら、被疑者の少年の立場になっていただろうという確信がある。ぼくも14歳の頃は、毎日、殺意を抱き、それを育みながら生きていたからだ。殺意を実行に移す「勇気」が持てないことで毎日が鬱々とし、それが弱者に対するネチネチとしたイジメにもつながった。『マンガ家入門』と出会うまでは、漫画も現実から空想の世界へ逃避する手段でしかなかったが、『マンガ家入門』という本に遭遇したことで、「マンガ家になりたい」という具体的な夢を見つけ、将来のことを考えることができるようにもなった。いま考えてみると、この本は、ぼくにとって、どんな宗教書よりも効果のある「魂の救済の書」だったことになる。
6月30日
風邪のせいで遅らせてしまった『F1速報』の連載小説を書き上げ、ニフティサーブで送信。