1997年4月上旬の日記
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- 97年4月1日〜10日
- 3月31日
ブラジルGPボケで仕事が遅れ、これではいけないと喫茶店に出動。西武新宿線駅前の喫茶店をハシゴし、3軒目の野方駅前の喫茶店で3本目のバッテリーがアウト。かなり原稿が進んだので、磐紀一郎さんを誘って高円寺でカラオケ。
- 4月1日
Y社から電話。山場にさしかかっている小説の原稿の途中までを渡してあったのだが、それを読んだ編集長から直しの指示。フェミニストのヒロインの行動がハードすぎるとの指摘。うう……柴田よしきさんの「RIKO」なんか、こんなもんじゃないという気もするんだけど……。しかたないので朝までかかって原稿に手を入れる。500枚まで進んでいた原稿が400枚に減ってしまった。クスン。
- 4月2日
小説の手直しが朝までかかり、午後2時からの新サーキット「ツインリンクもてぎ」の記者発表会への出席を断念。
午後4時、新宿の滝沢でタワーレコードが無料配布している雑誌の編集者と会い、「ゲームセンターあらし」のコミックスを貸し出す。ゲーム特集をするそうで、そのビジュアルに使いたいとのこと。ミュージシャンたちにゲーム体験のインタビューをすると「あらし」の話が必ず出てくるそうで、それでこんなことになったらしい。
そのあとでY社の女性編集者に会い、FAXで送ってあった書き直し原稿のチェック。いずれにせよ、後半のプロットを修正しないといけない。すでに今月は、この小説以外に単行本の締切が3冊あり、来月中旬にもさらに1冊締切が控えているため、その後まで締切を延ばしてもらう。発売になるのは、いつの日か……。編集者とインド料理の会食。食べ過ぎてお腹が苦しくなる。
- 4月3日
『週刊小説』連載コラム『パソコン言葉ちんぷんかんぷん』を書き上げてFAX送信。そのあとはパソコン入門書の執筆。これがコンピュサーブの解説書なのだが、アメリカではAOLがコンピュサーブを買収するという報道が流れ、株価が急上昇したためコンピュサーブの株は取引停止と大騒ぎ。コンピュサーブが消滅したら、いま書いている本もボツになりかねないので情報を収集。最初は、てっきりエイプリルフールだと思っていたのに、どうやらコンピュサーブの親会社が売却を検討していたのは事実らしい。コンピュサーブの株は20%しか公開されておらず、残りの80%は親会社のH&Rブロックという税金の申告代行会社(税理士さんみたいなものでしょうか?)が保有。これで親会社の資産も増えてしまうことになって、めでたし? コンピュサーブの不振が親会社の株価の足を引っ張り、株主たちから不満が出ていたというのが今回の騒動の発端らしく、実際、売却話もあったらしいがコンピュサーブ側では相手の名前を明かさず、報道では「コンピュサーブに近い筋」や「AOLに近い筋」からの匿名情報ばかり。AOLは固定料金制にして以来、アクセスポイントがビジーばかりでアクセスできないユーザーが増え、ユーザーから訴えられてて料金の払い戻しをしている。そのせいで、コンピュサーブが所有する回線網「コンピュサーブ・ネットワーク」に目をつけたのでは……というストーリーになっている。噂と推測が入り交じり、話がどんどん大きくなったらしい。しかもその発端は、電子メールによりニューズレターらしい。まさか、エイプリルフールのジョークのつもりが、たまたま当たっていた……なんてこともなきにしもあらず。コンピュサーブにしても、コンピュサーブ・ネットワークの回線部門は企業相手に収益を伸ばしているドル箱なので、そう簡単には手放さないだろうとは思うのでありますが。でも、80年代後半に、経営難に陥っていたザ・ソースが、一夜にしてコンピュサーブに買収されたという経験もしているので、もし今度の買収がホントになっても驚きませんけどね。コンピュサーブはAOLの追撃に対抗するため、インターネットとのリンク強化とモザイクの入手を目的にSPRY社を買収したが、ブラウザーはネットスケープの時代になっていたために、この投資が無駄になり(その後、プロバイダーとして再スタートしたSPRY-NETが、コンピュサーブ・ネットワークが使えることもあって、全米5位くらいのプロバイダーに成長している)、さらにWOW!というホーム市場向けオンラインサービスをスタートしたが、これも1年ももたずに撤退。コンピュサーブはビジネス・プロフェッション・ユーザー向けに再出発して、赤字も圧縮するなどビジネスも堅調になってきているはず。人員整理、ホストマシンのリプレースといったリストラも進行中。従量制料金ということもあって、ユーザーも高年齢、高収益、高役職という「三高」ネットワークになっているが、それが「安心感」ももたらしている。初めて通信をするユーザーにとっては、ビジュアルなネットワークのほうがいいのだろうが、仕事にネットワークを使いたいユーザーには、古いテキストベースのもので十分なところもある。画像って、転送に時間がかかる割には、一度見るだけだし。これはインターネットのホームページにもいえることだけど。
- 4月4日
CARTシリーズ第2戦がオーストラリアのサーファーズ・パラダイスで始まる。ドライバーのコメントなどを翻訳してニフティサーブの「オートレーシング情報フォーラム」に掲載。夜遅くなってから太田忠司さんの新作『3LDK要塞 山崎家』(幻冬社ノベルス、781円)を探しにいく。深夜までやっている郊外型書店の2軒目で見つけることができ、早速購入。睡眠不足だったため、途中で睡眠を挟んだが、面白くて一気読み。太田さんの新境地……というよりも、本質(?)が出た作品。童心を失っていない人にお薦め。読んでる途中で、おかしくて何度も笑い声をあげ、家族に不審に思われました。プラッシーが出てくるんだけど、プラッシーは沈殿物が底に溜まっていて透明になっているため、ビンをよく振って、黄色いジュースの色にしてから飲むのが、お作法である……というようなことまでは書いてなかった(^_^;)。太田さんのホームページに立ち読み版もあります。これを読んで、発売を待ちかねていたのであります。
ぼくが子供の頃は、武田薬品製のプラッシーって、お米屋さんでしか売ってなくて、お金持ちの家にケースで配達されるジュースというイメージがあります。お金持ちの子供の家に遊びにいくと、オヤツにプラッシーが出てきて、よく振ってから飲んだものです。武田薬品といえば『月光仮面』『隠密剣士』の提供元でもありまして、「タケダ、タケダ、タケダー」の歌を、近所の自動車工場の従業員用食堂の長椅子に他の子供たちと一緒に鈴なりになって、テレビを見ながら合唱したものであります。『月光仮面』が始まった頃、近所では、そこにしかテレビがなくて、日曜日の午後7時からは、近所の子供たちに開放されていたのであります。
しかし、この『3LDK要塞 山崎家』って、考えてみれば『ゲームセンターあらし』みたいな話だな(^_^;)。非日常的事件がご町内レベルの日常生活のなかで起こるってところが……。もっともぼくが『ゲームセンターあらし』をそんな設定にしたのは、東京12チャンネル(現テレビ東京)で放映されていたソープオペラ(アメリカの昼メロ)のパロディ『ソープ』や、赤川次郎さんの『暇つぶしの殺人』、そして太田さんも感化されたらしい小林信彦さんの『オヨヨ大統領シリーズ』や『唐獅子株式会社シリーズ』といったシチュエーションコメディの影響だったのでありますが。
- 4月5日
今日はCART第2戦サーファーズパラダイスの予選2日目。資料を読みながらドライバーのコメントを訳すが、いつしか資料は官能小説に変わっていた。『古都の風は女の炎を燃やす』(子母澤類・著)と『常務夫人の密命』(南里征典・著)(共に有楽出版社・発行、実業之日本社・発売、有楽ノベルス)。官能小説は、やっぱり立身出世、野望、成り上がりものが面白いなあ。
- 4月6日
CART第2戦決勝レースの終わりにクリスチャン・フィッティパルディとジル・ド・フェランが接触してフィッティパルディがクラッシュ。右脚骨折で手術を受けることになった。痛そうだなあ。F1ミナルディ時代の空中回転クラッシュの精神的後遺症か、その後F1ではパッとせず、アメリカのCARTに移っても優勝寸前でリタイアなど不運が続いていたクリスチャン。叔父さんエマーソンのガッツを見習え。
- 4月7日
「AOLがコンピュサーブを買収することを認めた」というニュースがウォールストリートジャーナルから流れ、それを共同通信が日本語で配信したことから、執筆中のコンピュサーブのガイドブックを一時中断することになった。だが、その後の他社のニュースを見ていると、AOLもコンピュサーブ同様に「社の方針で、根拠のない噂についてはコメントしない」という態度を貫くばかり。コンピュサーブの親会社のH&Rブロックも、「コンピュサーブの売却を検討しているものの相手先の社名は明かせない」とのコメント(マイクロソフトやAT&Tも売却先の候補になっているとの説もあり)。また、証券アナリストが、AOLがコンピュサーブを買収するのには無理がある……とコメントしたことから、先週末に急騰したコンピュサーブとAOLの株価も下がり、大山鳴動してネズミ一匹……という感じもなきにしもあらず。いまだにエイプリルフールが噂の発端ではなかったのかと思っているのだが、ホントにいい迷惑。日本でも大きく報道されたが、読売新聞に、この記事が掲載されたのは水曜日になってから。騒動が沈静化しはじめてから2日も後だよ〜ん。日本では、その後のフォローの記事なども紹介されないだろうし、新聞で記事を読んだ人たちは、コンピュサーブに対してイメージをダウンさせているだろうし、そうなると本の売れ行きにも影響が出るだろうからと、こちらからコンピュサーブの本の一時中断をお願いしたのだが、ホント、いい迷惑だなあ。15日からスタートするAOLジャパンは、日経と三井物産が親会社だけど、日経と提携関係にあるウォールストリートジャーナルの援護射撃だったりしたら怒るよ。もともとコンピュサーブの本については、そのサービスに触れてもらうことによって、日本のネットワークの質も向上して欲しいと思って書いているものなので、そんなに精神的、経済的なダメージはないですが。ま、もっと小説に専念しなさい、という神の思し召しだと思って、小説はじっくり、締切が迫っている「マンガ一太郎8入門」を急ぎます。
- 4月8日
といいつつも小説の原稿を書き、「マンガ一太郎8入門」も追い上げる……つもりが「コロコロコミック」に一緒にマンガを連載していた漫画家さんが脳内出血で亡くなったとの電話。明日はお通夜。
- 4月9日
八王子の先の高尾まで亡くなった漫画家Kさんのお通夜に出かける。「コロコロコミック」時代にお世話になった編集者や漫画家仲間と一緒にお通夜に参列。たまにしか会えなくなった漫画家仲間と編集者と一緒に立川の居酒屋に寄ってKさんを偲ぶ。
- 4月10日
昔、レースチームをやっていたときにメカニックをやってくれていたSさんが、高齋正さんのところに遊びに来たので一緒にロイヤルホストでお茶。その後勤務していた自動車メーカーを退職して部品メーカーの役員をしていたが、仕事をやめ、インターネット関係、自動車雑誌の記事執筆の仕事などを始めたいとのこと。インターネットといってもビジネスになっているのは、ハードメーカーと、一部の広告代理店や企業絡みのビジネスだけのような気もするんだけどなあ……。夕方からマンガのコンテと小説の二直体制に突入。
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