#75 社長の申し出を承諾する


 キミは、社長の申し出を受けた。そこは社長室である。
 社長は、満面笑みを浮かべて、キミの顔に頬ずりをした。
「あーーたーーーッ!」
 激しくドアが開けられ、体重150キロはあろうかという中年婦人が、その巨体からは想像できない素早さで、部屋の中に飛び込んできた。
「また、悪い癖を出して! このアホがーーーッ!」
 肘打ち、ニードロップ、膝蹴り。壮絶な婦人の攻撃が、社長の身体に決まった。キミは、ただただ、呆気にとられて見ているだけだった。
 その女性は、社長夫人だった。社長は婿養子で夫人に頭が上がらず、その反動で、若い男にしか興味を持てなくなってしまったらしい。
「悪かったわね、坊や」
 社長夫人は、気絶した社長の背中に足をかけながら、キミに微笑みかけた。「レースをやりたいそうだけど、この人の悪い癖のことを黙っていてくれれば、私の方から援助は続けてあげるわ。悪いようにはしないから……」
 社長夫人がキミにウインクすると、その巨体をゆすって、キミを抱きしめにきた。
 一難去って、また一難……。ああ、どうしよう?

 1.社長夫人を押し退けて逃げ出す
 2.社長夫人の愛を受け入れる