#31 ワークスチームに参加する


 キミは、中学を卒業すると同時にヤマトのワークスチームに入ることにした。そこは合宿になっていた。キミはそこから定時制の高校に通い始めた。
 だが、カートの練習はさせてもらえなかった。合宿は、昔ながらの徒弟制度の世界だった。掃除、洗濯は当たり前。風呂で先輩の背中を流すのも仕事だった。
 その先輩の中には30歳を過ぎた人も何人かいた。新型のカートを開発してはいるが、あとは後輩にいばり散らすだけが仕事のように思えてならない。
「あんなふうにはなりたくない。ぼくの夢は、あくまでF1なんだ」
 そう思うと、ここにいるのが無駄のように思えてきた。
「やめさせてください!」
 キミは監督に申し出た。
「やれやれ、毎年、新人が長持ちしなくなってるが、また最短記録更新か」
 監督が、キミの言葉を予想していたかのように言った。
「これくらいのことに耐えられなくてどうする? まず精神力を鍛えるのが、我がチームの伝統なんだ。まもなく行われるチーム内のレースで世界選手権への選抜メンバーを選ぶことになっている。それに出てからでも遅くあるまい」
 監督に言われてキミは迷った。

 1.即座にやめる
 2.レースに出てからやめる