#22 家族の幸せとは……?
キミは、F1パイロット養成ギブスを身体からひきはがすと、天井のポスターに向かって投げつけた。天井で点滅していたクリスマスの豆電球が砕け散った。その音を聞きつけ、母と姉がやってきた。
「ぼくのために、家族が不幸になるのはまっぴらだ!」
キミの叫び声に、母がキョトンとした。
「どこが不幸なの、私たち?」
「そうよ。こんな幸せな生活ないわ。きれいに着飾って、お酒も飲めて、それで生活が成り立って、あんたのレース活動のバックアップもできるのよ。それに、やってみてわかったけど、私には、いまの仕事が天職なんだわ」
姉が言うと、母が続けた。
「そうなのよ、私もなのよ。私の身体の中に、こんな血が流れているなんて。やっぱり、当たり前の主婦は、私には似合わなかったんだわ」
キミは、意外な展開に声も出なかった。
「おかしい……。二人はおかしくなっている。こんな母と姉さんじゃなかったはずだ……。いけない、このままじゃいけない……」
「さあさあ、来週はレースなんでしょ。ギブスをつけるのよ」
母が、F1パイロット養成ギブスを拾い上げ、キミの身体につけようとする。
キミは、戸惑った……。
1.母の手を振り払い、元の生活に戻るよう説得する
2.再び養成ギブスをつける