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  • 2000年08月下旬の日記

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    08月21日 ゲラが来た

     昼過ぎに起きて新作のプロット固めに入る。もう長い間、エクセルを使って年表を作り、構想を練っていた作品なので、あとは資料の必要な部分を押さえていくだけですむはず……と、昨日購入した本を見ながら、エクセルの隙間を埋めていくが、つい資料に読みふけって進まない。
     夕方、歯医者。治療中だった歯が1本切断される。ここに心棒を立てて、差し歯になるらしい。
     その後、保谷駅前の喫茶店で有楽出版社のM編集長と待ち合わせ、『大爆進! 独立航空艦隊風雲大作戦』第3巻のゲラを受け取る。
     帰宅後、ゲラを見ながら途中でうたた寝。

    08月22日 新作の依頼と「むかし、狼が走った」と

     正午に起床し、午後1時、武蔵関駅前の喫茶店でS社のK氏から新作小説の依頼を受ける。太平洋戦争ものだったらどうしようと考えていたが(隔月のシリーズだけで手一杯なので)、近未来もので……との話。デビュー作はハイテク近未来航空戦記だったので、少しホッ。ただし年内は、もう手一杯だなあ……。
     帰途、腹の調子も良くないので、釜揚げうどんを食べ、書店で「オール読物」と『むかし、狼(ウルフ)が走った――サーキットの青春列伝60's〜70's』(井出耕也・著/双葉社/1,800円+税)を購入。帰宅してエアコンの利いた部屋で後者を一気読み。「F1倶楽部」の連載をまとめたもので、日本のモータースポーツを築いてきた20人のドライバー、メカニックなどのレース関係者のインタビューをまとめたもの。この中に岡本金幸さんという渋いドライバーが入っているが、この連載の担当編集者と歌舞伎町でバッタリ遭遇してコーヒーを飲んだときに、ぼくが推薦したドライバーだ。還暦になるまで自分でマシンを作り、トップカテゴリーのレースに出ていた人で、富士スピードウェイでは、いつも孫が応援に来ていた。
     日本のレース界は、この本に取りあげられたような人たちが築き上げてきたものだが、フォーミュラ・ニッポンなどは、どうも、そういう流れを断ち切ったところからスタートしていて、そこがちと面白くない。「テレビのコンテンツ=若者向け」という構造があるせいか、トレディション(伝統)が無視されているのが残念。
    「オール読物」の直木賞選評などを読んで、あわててゲラに戻る。

    08月23日 打ち合わせ、のち、ハーツ完全勝利

    2000年8月23日に記録した「ハーツ」のパーフェクトウィン!!  起き抜けから新作小説のプロットの煮詰め。夕方から駅前の喫茶店で某ゲームメーカーの方々と打ち合わせ。新作ソフトに関連した仕事の依頼だったが、スケジュールの関係もあって引き受けられそうにない。内容は面白いのに、ちと残念。
     打ち合わせ後、同じ喫茶店で有楽出版社のM編集長からゲラを受け取り帰宅。居眠り後、ゲラのチェックに取りかかるが、途中、息抜きに始めた「ハーツ」で、通算4回目の完全勝利!
     ちなみに「ハーツ」の「完全勝利」とは、「シュート・ザ・ムーン」(ハートの1〜K、スペードのQを全て集めること。これを達成すると相手3人に26点ずつつけられる)を連続4回繰り返し、自分は0点、相手3人は「26×4=104点」となる勝利のことです。95年秋、Windows 95が発売されて以来、オマケについてきた「ハーツ」にたびたび挑戦してきましたが、まだ4回しか達成できていません。

    08月24日 ゲラを届けてノートパソコンを見に行く

     午後、有楽出版社までゲラを届けに行こうと思ったら、靴が壊れてしまう。5年も履いていたズタボロ靴なので修理はあきらめ、カミサンにクルマで靴のディスカウントショップに送ってもらい、ウォーキングシューズを購入。27cmなんだけど幅があるので、ちょうどいい靴を探すのに苦労します。
     武蔵関駅から西武新宿線〜地下鉄東西線〜同銀座線と乗り継いで銀座まで。本に読みふけっていて新橋まで1駅乗り過ごし、スゴスゴとUターン。松屋でアイスキャンデーをお土産に買って有楽出版社にゲラを届ける。
     ついでに秋葉原のロボット専門店の見学に行く予定だったが、ノートパソコンを買おうと有楽町線に乗って池袋のビックカメラへ。B5サイズのトラックボール版パナソニック・レッツノートが目当てだったんだけれど、外出先で文章の原稿を書くのが主要目的のため、安い方のモバイル・セレロンを使ったものでもオーバースペック。20万円以下なら即ゲットなんだけど、ちょっとためらい購入を見送る。でも、B5サイズ以下の持ち歩きを考慮したノートパソコンは、種類が少なくなってきたなあ……。結局、モバイルは、携帯端末や携帯電話で間に合ってしまう人が多いんでしょうね。
     立ち食いソバを食べて喫茶店に入り、レッツノートAL-N2で新作小説のプロットを詰めた後、西武デパートのリブロで資料の書籍を購入。結局、リブロには3時間もいて、イタリア、ドイツの第2次大戦前の歴史に関する本をあれこれ購入。帰途、西武池袋線の車中と保谷駅前の喫茶店で、購入した本の1冊『ムッソリーニとファシズム』(ポール・ギショネ・著/長谷川公昭・訳/白水社・文庫クセジュ/951円)を読了。主な目的は、ムッソリーニ政権下でリビア総督だったイタロ・バルボ元帥の経歴を調べること。
     つづいて『ソ連帝国再建』(トム・クランシー&スティーヴ・ピチェニック・共著/伏見威蕃・訳/新潮文庫/857円)に取りかかる。

    08月25日 資料読みに明け暮れる

     昼前に起床し、あとはダラダラしながら資料読み。いちど読んだ本がほとんどなのだが、再読しつつエクセルで作成中のプロット(年表)の穴を埋めていく。
     夜はF1ベルギーGPの1日目フリー走行のニュースやコメントの翻訳。またマクラーレンのリリースに当たってしまった。ロン・デニスのコメントは、いつも言い回しが尊大で、辞書を引かないとわからないような単語ばかり出てくる。アメリカのレーシングチームのリリースを見習ってほしいぞ。

    08月26日 久しぶりにF1予選を最後まで見る

     毎月700円払って「フジテレビ721」でF1のライブ中継を見られるようにしているのに、最近、満足に中継を見たことがない。先々週のハンガリーGPでは、決勝レースまでスタート直後に眠ってしまったほど。つまり予選やレースの内容がつまらないのがわかっているからで、実際、その通りになっていた。
     しかし今週はベルギーGPだ。有名なスパ・ウェザーのせいで、何が起こるかわからない。コース自体もオールージュという「チャレンジング」なコーナーがある。ドライバーたちの多くが、鈴鹿の130Rとオールージュを好きなコーナーにあげるが、それも、奥歯を噛み締め、息を止めないと全開で抜けられない度胸試しのコーナーだからだろう。
     昨年は、新参のBARが、車高調整を誤り、ビルニューブとゾンタの2人がオールージュで大クラッシュ。精神的にタフなのか、今年のビルニューブは、昨年のクラッシュの後遺症もなく、全開でオールージュを駆け抜けたが、ゾンタの方がダメ。マシンのセッティングも決まっていないのだろうが、それよりも精神的な面が大きいのではないか。
     予選は、終盤にアレジがスピンしたおかげで、アタック中のマシンが減速せざるを得なくなり、トゥルーリが2位、バトンが3位に入るという番狂わせ。明日は、やっと雨になりそうなので、決勝レースも面白くなりそうだ。
     予選後は、ドライバーたちのコメントを訳し、早めに就寝。

    08月27日 まあまあ面白かったベルギーGP

     今日も資料を読みながらプロット表の組み立て。基本プロットは出来上がっているのだが、本番の原稿を書くときに、資料を見なくてもすむように、必要なデータ類をエクセルとエディターに打ち込んでいく。
     夜は、もちろんF1ベルギーGP。雨のおかげでローリングスタートになってしまった。3年前のベルギーGPも雨でローリングスタートになったが、あのとき以来のローリングスタートで、楽しみにしていた(?)スタート直後の第1コーナーでのクラッシュはなし。
     ミハエル・シューマッハーは、テレビの解説で鈴木亜久里が解説する以前から、濡れた路面を選んで走っていた。タイヤ交換した直後からで、あれはタイヤの消耗が早いのを見越しての行為でしょう。それだけタイヤのバランスが悪いってことで、あれではマクラーレンに負けるのもしかたなさそう。
     ジャック・ビルニューブは、バリチェロを押さえつづけたが、あれもCARTでの経験が生きているのでしょう。CARTのオーバルでは、あんな状態で何十周も走ることが珍しくありませんので。
     レース後は、結果の速報やドライバーのコメントを翻訳し、午前4時には就寝。目の調子が悪く、遅くまで起きていられないんです。

    08月28日 オスタンキノ・テレビ塔の火災と高円寺阿波踊り

     午前中に起床して新聞を開くと、モスクワのオスタンキノ・テレビ塔火災の記事が。あじゃ、ここのテレビ塔の展望レストランで食事したことがありますよ。ソ連が崩壊してロシアとなった1992年の1月、奇しくも先日沈没事故を起こしたロシア原潜の名前の元となったクルスクの原子力発電所に取材に行った際のことですが。
     ソ連が崩壊した直後とあって、このときはテレビ朝日の「ニュースステーション」でも、久米宏が、「モスクワ市民は、今年の冬を越せるのでしょうか?」といった危機感を煽ってばかり。そんなニュースで不安になった母がスーツケースに押し込んでくれたのは、大量の使い捨てカイロに、ラクダの長袖シャツとモモヒキのセット。
     ところがウィーン経由でモスクワに着いてみると、市内の建物は、シベリアからパイプラインで引かれてきた天然ガスで全戸暖房完備。24時間、お湯も出る。一晩目、ラクダのモモヒキと長袖シャツの上に厚手のパジャマを着てねたのだが、暑苦しくて、いつのまにかパンツとTシャツだけになっていた。地元の人たちは、暑くて寝苦しいので、天窓を開けて寝るのだそうだ。結局、使い捨てカイロは、ガイド役の日本人の方にプレゼントしてきたのでありました。
     ……てなことを思い出しつつ新聞を読んだ後、歯医者に行って、仮り歯を入れる。歯茎が痛んでいたため、レーザーで焼かれる治療も。
     で、夕方からカミサンと下の娘を連れて高円寺まで阿波踊り見物に。ときどき出かけるスナック(2F)の前のテラスが特等席になっているので、飲み放題・食べ放題3,000円の阿波踊り料金を払って阿波踊りを見物。午後9時半の終了時間まで、ここで阿波踊りを見物し、別の店に寄って路上でビールとチューハイ。家族連れなので、電車のあるうちにそそくさと帰宅。適度に酔いが回っていたため、そのままダウン。

    08月29日 終日、資料読み

     昨夜、早く寝てしまったせいで、午前8時には目が覚める。そのまま起きて資料読みをしていたが、いつのまにか座椅子にもたれてうたた寝。家族は世田谷美術館までメソポタミア展を見に行ってしまったため、静かに寝ることができた。
     昼頃に再び目を覚まし、昼食は電子レンジで温めたラザニアをハフハフしながら食べて、あとはひたすら資料読み。登場人物の経歴、人名、地名の表記統一などを確認する。
     つづいて戦前の東京の地図で、舞台となる場所の確認。今度の作品は、シーンが見えて来るところまで煮詰めてから、本番原稿に取りかかりたいので、どうしても事前の仕込みに時間がかかる。

    08月30日 資料読みに明け暮れ

     運動不足解消のため、とことこと歩きながら読書。さらにバスで吉祥寺に出て、ぼてじゅうでお好み焼きを食べながら、さらにドトール・コーヒーに入って、もう何度読んだかわからない「スピードこそわが命」(アルフレット・ノイバウア著/橋本茂春・訳/荒地出版社/1968年刊)を読み返す。戦前から戦後にかけて、メルセデス・チームの監督をしていたノイバウアが書いた本で、原題は「MANNER, FRAUEN UND MOTOREN」(男と女と車)。その題名のとおり、グランプリ・ドライバーたちのゴシップも含めた生態を描いた本だが、現在のスポンサーやチームとの契約にガチガチに縛られたF1ドライバーたちとは違う人間臭さが漂っている。シートベルトもなく、ヘルメットもなく、クラッシュは、即、死や重傷につながった時代、貧弱でいながら大馬力のレーシングカーで走るドライバーたちは、まさしくスピードに生命を懸ける勇者でもあり、とくに戦前においては、国威発揚の道具でもあった。そんな面白さ満載の本だけに、ちょっと読み返したら、また読みふけってしまった。
     この本、現在は、「メルセデス・ベンツ」という題名で三樹書房から新訳本が発売されている。これを読むと、藤田宜永さんの日本推理作家協会賞受賞作『鋼鉄の騎士』の世界の背景も理解でき、面白さも倍増すること間違いなしだ。

     あまり暑いので、高円寺にまわってビールを飲んでから電車のあるうちに帰宅。この数日、早起きしているもので、すぐにダウン。

    08月31日 プールで水泳後、Macの復旧の手伝い

     資料本を読みながらノートパソコンにデータの打ち込み。夕方から運動不足解消のためスポーツクラブへ。クロールと平泳ぎで400メートル、腰痛防止用ウォーキングを500メートル。泳いでいる途中で腕の筋肉が痛くなるが、明日は、さらにひどくなりそうな予感。
     帰宅してパソコンに向かっていると友人の女性マンガ家からMacが動かないとのSOS。もらいもののMacを使い始めたらしいのだが、フリーズして二進も三進もいかなくなり、電源プラグを抜いてしまったら、その後、電源を入れると画面がおかしくなる現象が出てしまったらしい。
     限られたMacの知識を活かし、CD-ROMからの再起動でシステムだけのインストール、すべてのソフトのインストールなどを試してもらうが、まるでダメ。フォーマットするのも怖いということなので、明日、見に行くことにする。再起動の方法などはマニュアルに書かれているはずなのだが、「こんな理科系の人の書いた文章、読めない」とのこと。夜遅く、うちにSOSの電話をかけてくる女性作家やライターは多いが、みなさん同じことを言う。パソコンメーカーも考える余地ありだが、それだけ解説書の需要もあるということになる。


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