#126 ヨーロッパへ


 キミはイギリスに渡った。イギリスはレースの本場だ。イギリスF3は、F1へのステップボードの最有力候補の一つでもある。ここでチャンピオンになれば、F3000をスキップして、いきなりF1にいくこともある。
 キミは、名門のイーストサリー・レーシングに所属した。これまで何人ものF3チャンピオンを輩出し、F1ドライバーを育てた実績のあるチームだ。
 だが、同じチームに強敵がいた。ミカ・アホヤネンという北欧からきた選手だ。
 アメリカで鍛えたつもりだったが、このミカはじめ、世界から集まってきていた若者たちの誰もが、先頭的で、しかも速かった。
 1年目、キミは、シリーズで5位になった。
 そして、ツー・イヤー・シリーズと言われるイギリスF3の2年目に突入した。
 ここで実績を残さないと、とてもF1には行けない。キミの心に焦りが生じていた……。

 1.続く