#122 アラブの豪族
サウジアラビアに逃げ込んだキミたちは、国境警備隊に保護された。
「ああ、この方は……」
警備軍の隊長が声を上げた。
キミたちが助けたアラブの娘は、サウジアラビアの王族の娘だった。ヘリコプターで移動中、砂嵐に出会い、イラク領内に迷い込んで墜落してしまったのだ。
キミとアメリカ人は、娘の命の恩人ということで、その父親から、手厚いもてなしをうけた。
「なんでも望みをかなえてやろう」
オイルダラーで貴族の生活をしている父親が言った。アメリカ人は、パリダカに出る援助をしてくれと申し出た。おやすいご用と、その父親は、ワークスのシトロエンを買ってしまった。おまけに、昨年まで、ワークス・プジョーにいたメカニックたちを雇い、サポートのジェット機まで購入した。
それを見たキミは、おそるおそる、F1に乗りたいと、言ってみた。
「まかせなさい」
父親は、胸を叩いた。
1.続く