#121 グループCへ


 キミは、トミタ自動車と契約し、WSCでグループCに乗ることになった。1991年からのルール改正で、ターボマシンが不利になったため、トミタ自動車では、3.5リッターのNAエンジンを開発。トニー・ウエストゲートのデザインしたシャシーに、そのエンジンを搭載して、新生WSCシリーズを戦うことになった。F1と同じ3.5リッターNAエンジンを体験するのも悪くないはずだ。キミは、そう考えた。
 第1戦は、ハワイだった。しかも公道レースだ。日本人には、公道レースの経験者が少ない。キミのロングビーチでの走りが、公道レースでの戦いに向いていると判断されたのだ。
 北海道のテストコースでシェイクダウンをした後、キミは、いよいよハワイに向かった。その機内でトイレに立ったとき、一人の日本人カメラマンが声をかけてきた。そのカメラマンは、富士井と名乗った。
「アロハ! 日本人がハワイで走るなんて嬉しいなぁ! 頑張ってください。これ、僕のプレゼントです」
 富士井は、小さな紙包みを手渡した。キミは、その包みを不審な目で見た。
「もしかして、これは……」 −−さぁ、どうしたらいいだろう……?

 1.トイレの中でパンツの中に隠す
 2.トイレに流す