#51 サイドターンを決めろ!
ギャキキキーーーーン!
キミは、サイドターンを決めた。トラックに激突寸前のところで車が反対を向いてストップした。
「ああああーーーーッ!」。キミは、前方を見て声を上げた。
正面から、追跡してきた車が、止まりきれずに、キミの車めがけて突っ込んできた。
グワシャーーーーーーン! 2台の車が正面衝突した。
−−目が覚めると、キミは病院にいた。隣のベッドには、若い女の子が眠っている。
その女の子が、キミにぶつかってきた車のドライバーだった。
目を覚ました女の子は、ゆうこ、と名乗った。中嶋悟の大ファンで、山道で練習した中嶋悟にあやかって、彼女も車の練習をしていたのだという。
「F1に乗りたいの……」。ゆうこは言った。「そうしたら、中嶋さんに会えるから」
その執念が、あの山道の高速ドライブを可能にしていたのだ。
「ぼくじゃ駄目かい?」
「あなたもレースを?」
「うん……」
二人の目と目が合った……。
1.続く