#33 ブッチギリのチームに残ったキミ


 キミは、カートショップ・ブッチギリのチームに残り、レース活動を続けた。
 カートでの成績は、そんなにぱっとしたわけではない。限られた費用の中でレースに参加していたからだ。同級生たちが映画やファッションに使う小遣いも、すべてカートに注ぎ込まれていた。
 18歳になるとすぐに自動車の免許を取った。自動車の運転免許を取ったら、JAFの国内B級ライセンスを取り、次にA級ライセンスを取ってレースに出るつもりだ。
 車の運転になれるため、解体寸前の車を買い、山道に練習に出かけた。車の挙動を身体で覚えるのは、ダートが一番だからだ。
 車はケツで乗れ! これはカートも同じだった。リアの滑り出しを体感できなくては、車をコントロールできない。
 やがて、山道で飛ばすキミのことが、ダートラやラリー愛好家のあいだで噂になり始めていた。そんなことは知らないキミは、いつものように山道を駆け抜けていると、背後から迫るヘッドライトに気がついた。
 どうやら仕掛けてくるらしい。ここはひとつ、張り合ってやろうか。しかし、こんなところで事故でも起こしたら大変だ。だが、背後の車は、みるみるうちに迫り、激しくパッシングを浴びせてきた。

 1.おとなしく道を譲る
 2.アクセルを踏み、勝負する