#28 テレビに映ったものは
しかし、高校生とは名ばかりで、キミの生活はレース一色に染まっていた。
「早く18になれ。車の免許がとれたら、すぐにフォーミュラ・ジュニアにステップアップするんだ」
頭の中に浮かぶのは、そんなことばかりだった。
キミは、次のレースのため、地方のカートコースにやってきた。日本選手権のかかった大事な1戦だ。これに勝ったら、世界選手権にも参加できるかもしれない。
ワゴンで着いた宿は民宿だった。カートショップ・ブッチギリのメンバーも一緒だった。そこにいたメンバーの北縞が、テレビでも見ようぜ、と、有料テレビに100円玉を入れた。
「あ……!」
テレビの画面を見て、キミは声を上げた。
1.続く