小説家・菅谷 充のページ
■小説家になりました■
 20年以上にわたってマンガ家生活を続けてきたが、その間、ふつふつと胸に秘めつづけていた「娯楽小説を書きたい」という欲求がついに爆発し、1993年、仕事の大半を休止して、ミステリーを書いては持ち込む生活に突入した。
 しかし、当時(現在も)の出版界では、新人賞を受賞した人でないと、おいそれと本にはならない状況だったため、出版社にすすめられて架空戦記小説の執筆に手を染めることになった。
 小学生の頃から「丸」「航空ファン」「航空情報」などといった雑誌を読み、『丸』の通信販売で、零戦や隼といった戦闘機のナマ写真を買っていたアブナイ小学生で、小学6年生のとき、松本あきら(零士)氏の戦記マンガに影響されて零戦が活躍する戦記マンガを描きはじめたのがマンガ家へのスタートでもあった。その後も戦史、戦記に関する本を買い集め、多数の戦記映画も見ていたくらいなので、架空戦記小説を書くことにも抵抗はなかった。
 しかし編集者は、太平洋戦争を舞台にした架空戦記は、あまりにもたくさん出ているので、現代、または近未来を舞台にした架空戦記小説を書いてほしいという。そもそも飛行機自体が好きなので(レーシングカーが好きになったのも、その延長だ)、ならばと資料を集め、ロシア極東地域で勃発した独立戦争に、日本のパイロットとハイテク国産戦闘機が義勇軍(ボランティア)として参戦する物語を書き、この『漆黒の独立航空隊』がデビュー作となった。ペンネームは本名の“菅谷 充”を使用。長年、ひらがなの名前に親しんできたせいか、いまだ自分でもピンとこないところがある。
『漆黒の独立航空隊』は、売れ行きが良かったとのことで続編も書くことになり、ロシアを舞台にした『漆黒の独立航空隊』が3巻まで、さらに同じ主人公と戦闘機が、アメリカで勃発した第二次南北戦争で、形勢不利となったリベラル派の北軍の救援に駆けつける『米本土焦土戦線』シリーズを3巻書いた。さらにその続編を……と依頼され、かわりに温めていたレース小説のシノプシスを100枚も書いて提出したら、その量にびっくりしてか編集者からOKが出て、念願のレース小説『灼熱の走路』(全2巻)を書くことができた。
 その後、ユーモアミステリー『サラリーマンのためのパソコン講座〈殺人篇〉』やF1レース小説『龍の伝説』『旭日のGP』、そして多数の架空戦記小説を書き下ろし、2010年2月現在、著作数は64冊に。今後は、サスペンス、伝奇SF、時代ものなど、より多彩なジャンルに手を染めたいと考えている。(1995年12月記/2010年2月追記)
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