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  • 04年03月中旬の日記

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    03月11日(木) 原稿と読書と

     終日原稿書きと少し読書。引き籠もりの1日。

    03月12日(金) 勉強会の同窓会

    『ゲームセンターあらし』の仕事で忙しかった20年ほど昔、なんとか次のステップに踏み出したくて、あれこれ悩んだことがある。『あらし』はアニメにもなってヒットし、漫画賞までいただいたが、そこからさらにステップアップした作品を描くには、ぼくの画力では限界があった。
     ――少年誌、青年誌で柱を張れるような作品を描くのは無理だ。
     そう判断したぼくは、あれこれ模索の時間を過ごした末に、新たなジャンルに挑戦することにした。それがビジネスマン向けの学習マンガともいえる「ビジネス情報コミック」だった。
     わかりやすい絵と構成ならば、『こんにちはマイコン』の成功もあって、多少の自信があった。問題は題材になる。そんなとき東洋工業(現マツダ)の工場を見学させてもらう機会を得た。ルマン24時間レースを観戦に出かけたときに知り合った東洋工業の方が、広島市にある工場の見学に来ないかと誘ってくれたのだ。
     ファミリアやカペラ、RX‐7が組み立てられていく製造ラインを見学させてもらっているとき、あちこちの壁や仕切りのパネルに、手書きのポスターのような新聞紙大ほどの紙が貼られているのに気がついた。どの紙にも魚の骨のようなものが描かれ、あれこれと文字が書き込まれていた。
    「これは何ですか?」
     ぼくは案内してくれた東洋工業の方に訊いた。
    「QCサークルで使っている特性要因図ですよ」
     この回答にぼくは混乱した。アマチュア無線をやっていたので「CQ」なら知っていたが、「QC」なんて言葉を聞くのは初めてだった。「特性要因図」にしても同じことだ。
    「製品に不良が出たりしたとき、その原因がどこにあったのかを部門ごとで突き止めていくための小集団活動をやっているんです」
     このような説明を受けたぼくは、思わず「面白い!」と叫びそうになっていた。
     なぜ面白いのか。それは殺人事件の犯人を捜す刑事や探偵の作業に似ていると思ったからだ。
     ぼくはミステリーが好きだった。それ以上に好きだったのが、柳田国男氏の航空機事故調査の過程を描いた『マッハの恐怖』や新幹線事故調査の過程を記録した『新幹線事故』などのノンフィクションだった。
     QCサークルの活動にも、ミステリーの犯人捜しやアリバイ崩し、あるいは柳田国男氏の事故調査ものノンフィクションに通じる知的好奇心の臭いを嗅いでしまったのだ。
     広島から新幹線で帰京すると、QC関連の本を買い求めようと、東京駅八重洲口駅前の八重洲ブックセンターに飛び込んだ。日本一の書店だったから、ここに行けばQC関連の本も置いてあるのではないかと思ったのだが、この思いつきは大正解だった。すでにQCは製造業だけでなく流通業界にも導入されていたが、八重洲ブックセンターは流通業界におけるQC導入の先駆者でもあったのだ。そのせいか八重洲ブックセンターは、QC関連書のコーナーも充実させ、大量の関連書籍を置いていた。もちろん専門的な本では内容が理解できないので、入門書レベルの本を10冊以上購入し、すぐに読んだ。
     電子部品の製造工場で不良品が発生したとき、そこで働く従業員たちが、パレート図や特性要因図といったQC七つ道具を使って原因追及していく様子には、確かにミステリーや事故調査に相通じるものがあった。しかもQC活動は、製造業では当たり前だったが、流通やサービス業界にも導入されつつあった。まだ普及していくにちがいない。
     しかし……とも本を読んでいて考えた。「製造、流通、サービスなどの業界で働く人たちが、こんな本を読むのだろうか……?」と考えてしまったのだ。それはQCの入門書、解説書の書き方が、つまらなかったりむずかしかったりしたからだ。
     これがマンガだったら、もっと気楽にQCに関心を持ってもらえるのではないか。マンガ版を謳っている入門書もあったが、マンガ調のカットがついているだけで、マンガでストーリーを進めているわけではなかった。
     東洋工業の工場で簡単な説明を受け、入門書を十数冊読んだだけだったが、「これはマンガになる!」という確信があった。そのせいで、あっというまにマンガ版QCサークル入門書の企画書を書き上げたのだが、当時、おつきあいのあったマンガ雑誌の編集者には、企画書を見せてもキョトンとするばかり。まるで反応がない。こりゃダメだと判断したぼくは、ツテをたどってプレジデント社の編集者を紹介してもらうことにした。
     永田町のプレジデント社に出向いたぼくは、応対してくれた編集者に企画書を見せた。ビジネス関連の出版社に出かけたのは初めてだった。緊張で全身がカチンコチンになっていた。
     黙って企画書を読んでいたMさんという編集者が、最後のページまで読み終えると、おもむろに顔をあげてぼくを見た。
    「これは絶対に売れます。出しましょう!」
     Mさんは、いきなり、こういったのだ。
     ただし、こうもつけ加えた。
    「すがやさんは子供マンガではヒット作も出しているし、漫画賞ももらっているかもしれませんが、大人は誰もすがやさんのことを知りません。すがやさんの名前だけでは売れませんからQCの第一人者に監修についてもらいましょう。松下電器で松下幸之助氏の技術顧問をされている唐津一氏が最適任だと思いますので、連絡をとってみますが、いいですね」
     Mさんは、企画書を読みながら、出版までの手順を頭のなかでまとめていたらしく、テキパキと話を進め、さらにこうもいった。
    「すがやさんは経済やビジネスの世界には明るくないでしょうから、少し勉強してください。異業種のビジネスマンが集まる勉強会を紹介しますから、そこに参加して、ふつうのサラリーマンが、どんなことを考え、どんなことをしているのかを肌で感じ取るようにしてください」
     主導権は、とっくにMさんの手に移り、ぼくは、何かいわれるたびに、はい、はい、とだけ答えていた。
     大手企業の社員が多数参加する異業種交流会兼勉強会は、業務時間の終了後、どこかの会社の会議室などを借りては開かれた。メンバーが持ち回りで講師役をつとめ、得意とする業務や趣味についての講義をする。そして質疑応答があり、終了後は焼鳥屋や居酒屋へ……という流れだった。
     同時に、唐津一氏の紹介で全国のQCサークルを取材して歩くなどしていたため、QCサークルの入門マンガを出版するまでに時間がかかり、その間に、『こんにちはニューメディア』(徳間書店/1984年9月)がビジネス情報コミックの第1弾として出版されることになった。
     QCサークル入門マンガ『こんにちはQCサークル』(プレジデント社)が出版されたのは1985年の1月だったが、この本は、担当編集者のMさんの予言どおりに増刷を繰り返し、ロングセラーとなった。
     その後、アスキーから『ザ・商社』という情報コミックを出したが、このとき、大手商社に取材を申し込むと、「マンガになどしていただかなくて結構です」と取材拒否にあった。まだマンガはクダラナイものというイメージが色濃く残っていた頃だ。そんなときに助けてくれたのが勉強会に参加していた大手商社勤務の商社マンだった。このメンバーが個人的に取材させてくれただけでなく、別の商社の社員まで紹介してくれたのだ。
    『ザ・商社』が好評だったおかげで、アスキーからは『ザ・銀行』というシリーズ第2弾を出すことになった。このときも銀行からは取材を拒否されたが、やはり勉強会に参加していた銀行マンが個人的に取材に応じてくれた。
     勉強会では、ぼくも講師役をつとめ、当時、はじめたばかりだったパソコン通信のデモをしたこともある。
     その後はマンガの仕事に加え、自動車レースとパソコン通信が忙しくなって、勉強会からも足が遠のいていた。メンバーの皆さんも、転勤などがあって、なかなか集まれない状態になっていたらしい。それでも数人の方とは年賀状のやりとりをつづけていたのだが、1年ほど前から、インターネットでメールのやりとりをするようになり、連絡が密になってきた。
    「同窓会をやらないか」という声が出たのは昨年の終わりになってからだった。そして幹事も決定し、今夜、同窓会が実現することになったのだ。
     待ち合わせ場所は浜松町駅の改札口。もう20年近くも会っていない人たちばかりなので、顔がわかるかどうか不安だったが、幹事役の人が持参した紙袋の目印を探すまでもなく、再会した瞬間に、全員の顔が思い出せた。
     同窓会は近くの中華料理店でビールからスタートして紹興酒へ。転職や転勤といった元メンバーの流転の人生を聞いていたが、とにかく皆さん元気といったらない。日本の経済界、産業界をリードしてやるのだといった気概に満ちあふれている。久しぶりの再会でエネルギーとバイタリティを分けてもらったようで、ホクホクと温かい気持ちになりながら家路についたのでありました。

    ■参考サイト

    日科技連(日本科学技術連盟)......日本のQCサークルの総本山。
    特性要因図の例......魚の骨に見えたのはコレ。画面下の「事例―特性要因図」タブをクリックしてください。
    ■今日いただいた本
    『サプリメントガイド―栄養補助食品ガイド (2004)』(産経新聞メディックス/2003年10月刊/600円+税)......現在発売されているドリンク剤から栄養補助剤にいたるサプリメントの総カタログ。下の本とともに勉強会の同窓会に出席した方からのいただきもの。
    『SAKE―日本の酒・世界の酒(2004)』(産経新聞メディックス/1,600円+税)......日本と世界の酒・ウィスキー・焼酎からミリンまでのカタログムック。リンク先のデータは2002年版です。
    『水底の森』柴田よしき/集英社/2004年2月刊/2,100円+税)......柴田さんの力作長篇サスペンス。

    03月13日(土) 富士山は大噴火するか?

     原稿も書かなくてはいけないのにWebサイトの更新があったりでイライライラ。おまけに読みかけの本があると、これも胃に悪い。というわけで、とりあえず気になっていた『富士山大噴火』(鯨統一郎/講談社/2004年3月刊/1,600円+税)を読了。これが阿蘇山大噴火や桜島大噴火だったら、おお、面白いなあ……で終わるのだろうが、富士山となるとそうはいかない。もちろん富士山麓が我が郷里であるからだ。8日の日記にも書いたように、このところ同級生たちと会ってもハザードマップの話題になるしで、強い関心を抱いていたことも関係があるだろう。
     そもそも富士山の噴火に関する本が目につくようになったのは、2年半ほど前のことだった。東北に出かける用事があったとき、新幹線の車中で読む本を買うために入った東京駅構内の書店で見つけて買ったのが『宝永・富士大噴火』(芝豪/光文社時代小説文庫/2001年11月刊/514円+税)という歴史小説だった。地元が舞台の歴史実録小説なので一気読みしたのだが、その直後、こんどは『富士山宝永大爆発』(永原慶二/集英社新書/2002年1月刊/740円+税)という本が出た。こちらはノンフィクションだが、内容は『宝永・富士大噴火』と同じ江戸時代の宝永山の噴火を扱っている。
     宝永山の噴火がブームなのかなあ……と思っているところに出てきたのが2002年6月の富士山の火山防災対策(ハザードマップ中間報告)だった。
     このハザードマップをベースに、山梨県では富士五湖の観光業者が避難訓練をはじめることにもなった(参考:『富士を知る―特集 富士山災害予測図(ハザードマップ)』)。母校の同級生たちと飲み会をしたとき、ハザードマップが話題になったのも、この頃だ。飲み会に参加した大半の同級生の生家が、富士山が大規模な噴火を起こすと溶岩に呑み込まれることになっていた。
     昨年、Amazon.co.jpで以下のような富士山に関する本をまとめて購入したのも、富士山の噴火が気になっていたからだ。
     そもそも老後は気候が温暖な郷里で暮らしたい……という希望を胸に秘めているのだが、東京生まれのカミサンに反対されつづけている。最大の反対理由が「富士山が噴火するから」なのだ(プラス「東海大地震」の不安)。

    ■昨年買った富士山関連の本

    『富士を知る―特集 富士山災害予測図(ハザードマップ)』
    『富士山の噴火―万葉集から現代まで』
    『富士山噴火と東海大地震―あなたの生命と家族、財産を守るために』
    『危機迫る!富士山大爆発』
    『1992年富士山大爆発』
    『五千円札の富士山には、なぞがいっぱい!』
    『図説富士山百科―富士山の歴史と自然を探る』
    『富士山 世界遺産への道―山麓に生きる人々の姿を追って』
    『富士山―自然から文化史まで』
    『富士山と日本人』
    『富士山の自然と対話』
    『富士山はなぜそこにあるのか』
    『富士山よもやま話』
    『富士山をひらいた人々―れきしにのこる富士登山』
    『富士山歴史散歩』
    『富士山測候所物語』
     こんな本を読んでいたせいもあり、また、富士山周辺の凹凸までもが想像できてしまうこともあって、『富士山大噴火』を読んでいると、ついツッコミたくなるところがあちこちに。ぼくの同級生や郷里の人たちも、おそらく同じような感想を持つにちがいない。小説の面白さの問題ではなく、読まれた相手が悪いのだ。ぼくのレース小説を専門家がニタニタしながら読んでいるようなものである。
     しかし、なぜ、このところ富士山の噴火に関する本が多いのだろう? 古い本だとトンデモ系のものも多いのだが、最近のものは、宝永大噴火について書かれたものも含め、まじめに検証された学術的なものが多くなっている。本当は、すでに富士山大噴火の予兆が把握されていて、噴火まで秒読み状態になっているのだが、それを公表するとパニックになったり、やっと持ち直してきた経済がコケたりしかねないため、情報を小出しにして、国民に、富士山噴火の覚悟を決めさせようとしているのではないか。そんな妄想が浮かんだりもする。鯨統一郎さんも、知ってか知らずか、国民のパニック緩和策のお先棒を担がされているのでは……なんて妄想も湧いてきたりもして。これで1冊書ける?(笑)
     上りの東海道新幹線で海側(進行方向右側)に富士山が見えるところがある……という逸話は、東海道五十三次の「吉原の左富士」と同じくらい有名な話だと思っておりました。
     作者の名誉のために書いておきますが、ストーリーは面白いです。テンポもいいし、一気に読めます。そのままテレビドラマやマンガになってもおかしくありません。「少年マガジン」あたりでマンガ化すればいいのに。

    03月14日(日) 引き籠もり、のち、レース観戦

    ディル・アーンハート
    ディル・アーンハート
    ディル・アーンハート@鈴鹿サーキット(1996年)。撮影:すがやみつる(ボケボケですみません)。
     昼前に起床し、ひたすら原稿。夜はテレビでサッカーのオリンピック予選を観戦した後、日曜洋画劇場。その後また原稿に戻り、早めに寝ようかなと思ったら、ケーブルテレビの「G+」でASCARネクステルカップ第1戦「デイトナ500」の録画中継が。「GAORA」での契約続行がうまくいかなかったことは知っていたが、そうか、こちらに移行したわけなのか。眠かったのにマイケル・ウォルトリップの大クラッシュがあったりして、つい最後まで見てしまう。優勝はディル・アーンハートJr.。20万人以上の観客も、父ディル・アーンハートが3年前に、ここデイトナ500で死去していることを知っているので、ジュニアが終盤にトニー・スチュワートを抜いてトップに立つと、総立ちになって声援。こういう熱気があるからこそブッシュ大統領も「スタート・ユア・エンジンズ」の号令をかけに来るのだろう。大統領専用機「エアフォース・ワン」は、レースの途中でスピードウェイ横の空港から飛び立っていったけれど……。それはともかくNASCARに、また新しい伝説が誕生した。
     アメリカのスポーツ専門チャンネル「ESPN」では、テレビムービーでディル・アーンハート物語を製作するらしい。題名は「3」。アーンハートのゼッケンだ。主演は「プライベート・ライアン」でジャクソン二等兵を演じたバリー・ペッパーだそうです。日本でも放映してくれないかなあ。

    03月15日(月) 古本まつり

     午後、所沢駅前の「くすのきホール」で3ヶ月ごとに開催されている「彩の国古本まつり」へ。いま、自宅の本の置き場がなくなって、泣く泣く多数の本を処分していることもあり、本選びも慎重になる。これまでなら用意されているカゴに、目についたものをドッサドッサと放り込んで、持ちきれなくなる寸前でレジへ……というパターンが多かったのだが、今日はジックリと選ぶ。おかげで時間もかかり、30冊ほどの本を購入し終わったときには3時間ちかくが過ぎていた。大半は、これから手がけたい作品の資料になりそうな本なのだが、本の山の中で本を選んでいるときに、やっぱり、一番新作のアイデアが出てきますね。本を目にしていると脳味噌が活性化されるんだろうな、きっと……。
     お腹が空いたので吉野家に立ち寄って話題の豚丼(250円セール中)を食べ、電車で最寄り駅までもどり、喫茶店をハシゴしながら読書とノートパソコンでの原稿執筆。バッテリーもなくなったし疲れも出てきたので、ビールを買ってタクシーで帰宅。晩酌して早めに寝ることに。

    03月16日(火) 原稿執筆中

     自宅に籠もって原稿。特記事項なし。合間に読書。

    ■今日読んだ本

    『恋忘れ草』(北原亜以子/文春文庫/1995年10月刊/448円+税)......一昨日、古書市に出かけるとき、電車の車内で読む本を……と書棚の積ん読本の中から引っ張り出したもの。電車の車内で読みはじめ、以後、電車の座席、喫茶店、風呂、布団の中で断片的に読み継ぎ、なんとか2日で読了。短編集なので、このような読み方になったけれど、どれもいい話です。直木賞を受賞したのも納得。次は「深川澪通り木戸番小屋」のシリーズを読んでみよう。

    03月17日(水) 原稿を外で執筆

     家で仕事していると、どうしても息が詰まる。そこで息抜きを兼ねて吉祥寺へ出撃。倉阪鬼一郎さんに教えていただいた吉祥寺東急9Fの神田まつやで天ぷらの盛り合わせつきそば。そば通の倉阪さんが薦めるだけあって、そばがしっかりしていて美味い。もっとも小諸そばでも富士そばでも美味いと思う人なので、わたしの評価は当てにしないように。
     食後、吉祥寺東急内の紀伊國屋書店を巡回。品揃えが高齢者向けになってますね。ノベルスなんて最新刊しかないのに写真集や水彩画の棚は充実しています。
     出口を間違えて東急の裏側に出てしまったついでに目の前にあったヴィレッジヴァンガードの吉祥寺店を覗く。東急デパート内の紀伊國屋書店とは正反対の若者向け書店。面白いけれど、わたしにはダメ。早々に逃げ出して、あとは喫茶店をハシゴしつつ原稿書き。

    ■今日とどいた本

    『上州・湯煙列車殺人号』辻真先/光文社文庫/2004年3月刊/533円+税)......辻真先先生の最新書き下ろしトラベルミステリー。温泉が出て列車が出て瓜生慎が登場します。

    03月18日(木) 原稿停滞中

     雨のため外出せずに自宅に引き籠もって原稿。目が疲れて原稿は停滞中。夜はサッカー。祝! U23・オリンピック出場決定!
     昨日から金融商品だの石油先物取引だのといった怪しいセールス電話が相次いで、うるさいったらありゃしない。うまい儲け話には興味ありません。
     昨日は、某ポータルサイトから、この日記を、この会社のBLOGサービスに移行しないかというお誘いもいただきました。こちらは怪しいお誘いではありませんでしたが、BLOGについては、自前でblosxomとかMovable Typeをいったものを使ってみたくって、とりあえず自前のパソコンにセットしたApacheサーバーの上でblosxomを試したりしています。しかも、このサイトを置いているレンタルサーバーにも、まもなくMovable Typeの設置に必要なデータベースも導入されそうで、こちらも試してみようかな……と思うものの、すべては、いまの原稿が終わってからだ(この日記を書いている間に、レンタルサーバーの会社からメールがあって、データベースの試験運用が始まったらしい。う、また誘惑が……)。


    ■今日いただいたメール

     2月25日の日記で紹介した『収容所から来た遺書』を読んだというビジネスマンの知人から、以下のようなメールが届きました。
     おすすめの二冊、「秘話陸軍登戸研究所の青春」と「収容所から来た遺書」を読みました。どちらも時代を理解するは必読ですが、特に後の本は涙無しには読めませんでした。早く先を知りたい、でも涙で文字が見えず何度涙を拭ったことか。

     こんなにも過酷な状況で、男としての矜持を保った人たちが居たことに感動します。ご家族が初めて生存を知った時の喜びは一緒に感動します。引揚者が引上げ船の船上で抑留者の名簿を作り、すぐさま国会に請願を出していく心意気には、まさに男の心意気を感じずには居られません。記憶を元に届けられた遺書のなんて凄まじい威力でしょう。それだけ山本さんの魅力が有ったのでしょうね。我が身を振り返って恥ずかしいこと夥しいです。

     実は私の父親は大正14年生まれで、シベリア抑留されていました。運良く帰国して、昭和26年に私が生まれたのです。滅多に話は聞きませんでしたが、生きているうちに聞いておこうと思いました。

     今の日本、あの大戦前夜のような気がします。民族の誇り、男の矜持など雲の彼方。金と保身の風潮が、あらゆる階層に蔓延しています。親父が体験した辛く忌まわしい経験を、私は味わいたくないし、息子には体験させたくありません。私に出来ることは少なくとも、せめて自分だけは矜持を持って生きていくことかと思っています。ありがとうございました。
     この本については、ぼくも、何度読んでも同じ感想を抱きます。こんなメールをいただくと、紹介してよかったなあと心底から思います。メールをありがとうございました、Kさん。
    ■今日注文した本
    『神様のかくれんぼ―与勇輝人形絵本』(与 勇輝/角川書店/2000年11月刊/1,400円+税)......昨日、銀座松屋の人形展を見にいったカミサンのリクエスト。

    『絵本 夢の江戸歌舞伎』(服部幸雄・文/一ノ関圭・絵/岩波書店/2001年4月刊/2,600円+税)......古今亭菊之丞さんのインタビューを掲載している歌舞伎と伝統芸能のサイト「戯場国」に、この本の著者のインタビューもあるのを発見し、即座に購入を決意。もちろん、あの『らんぷの下』『茶箱広重』の一ノ関圭氏の作品だから。マンガ以外にこんなお仕事もされてたんですね。

    『江戸のあかり―ナタネ油の旅と都市の夜 歴史を旅する絵本』(塚本学・著/一ノ関圭・絵/岩波書店/1990年2月刊/2,300円+税)......上の本を探しているときに一緒に発見。こんな仕事もされてたんですね。

    03月19日(金) 自転車に乗って水泳して

     昼前に起床して夕方まで原稿。伸びてきた髪がうるさいので理髪店に出かけて散髪。頭が軽くなったところでファミレスに出かけてノートパソコンで原稿。せっかくノッて書いていたのに卒業式帰りの中学生の団体が来て大騒ぎ。一生に一度のことだし騒ぎたくなるのもわからなくもない。そそくさと退散してフィットネスクラブに出かけ、読書しながらエアロバイクを1時間。そのあとで水泳700メートル、水中ウォーキング500メートル。はあ……と身体が疲れたところでハンバーガーショップに出かけてバッテリーが切れるまで原稿。帰宅してまた原稿。疲れたけれど充実した1日であった。
    ■今日、いただいた本

    『京都・宇治浮舟の殺人』(大野優凛子/有楽出版社・発行/実業之日本社・発売(JOYノベルス)/2004年3月刊/838円+税)......ハイペースでミステリーを出す期待の新星。見習わなくては……。

    03月20日(土) F1と落語と……

     昨日ハードに運動しすぎたせいか、昨夜は午前4時に寝たのに、今日は午後1時半までグッスリ。たっぷり寝たのに目の調子が悪くノートパソコンに向かったのに原稿が進まない。途中で原稿を書くのを断念してフジテレビ721でF1マレーシアGPの予選。佐藤琢磨がスピンして赤旗中断となったため、ここでテレビ観戦は断念して、高円寺の落語会へ。今日は小生がホームページの管理を担当している古今亭菊之丞さんの会。「金明竹」「素人鰻」の2席でワッハッハ。落語の後は菊之丞さんを囲んで軽く一杯。仕事もしないといけないので、本当に軽くすませ、早めに帰宅。途中、コンビニに寄って夜食と寝酒を購入。
     そういえば一昨日Amazon.co.jpに注文した『絵本 夢の江戸歌舞伎』(服部幸雄・文/一ノ関圭・絵/岩波書店/2001年4月刊/2,600円+税)『江戸のあかり―ナタネ油の旅と都市の夜 歴史を旅する絵本』(塚本学・著/一ノ関圭・絵/岩波書店/1990年2月刊/2,300円+税)が本日到着。いやあ、両方ともすごい本です。とくに『絵本 夢の江戸歌舞伎』がいい。知りたいと思っていた歌舞伎小屋の様子がよくわかるだけでなく、一ノ関圭氏の絵の凄さに、ただただ圧倒され、打ちのめされる。ページをめくるたび、ハア……と、ため息の連続。


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