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  • 04年02月下旬の日記

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    02月21日(土) クルマを買ってしまった

     うちのクルマは来週、11年目の車検になる。車検を通そうかどうか考えていたのだが、いまどきエアバッグもなく、サスペンションもヘタって路面のデコボコが尻に伝わってくるような状態。しかも1,500ccで高速に乗ると走りがシンドイ。とはいえ、ふだんは近所を走りまわるだけなので、もっと小さいクルマの方が便利なのも確か。一時期は外車も含めて3台もクルマを所有していたけれど、それはマンガ家時代のこと。売れないノベルス作家では、1台の車を維持するのが精いっぱいだ。しかし、いま乗っている車は、11年目が終わるのに、走行距離が2万9,000キロ。エンジンのことだけ考えると、このまま乗り続けてもいいのだが、どうしようかと迷いつつ、とりあえずカミサンと近所のディーラーを覗きにいき、試乗車を運転しているうちに、いつのまにか新車を買うことになってしまった。遠出のことも考えて2,000ccの車種にするつもりだったのだが、その下の1,500ccの車種になる。1,500ccでもパワーが充分ありそうだったからだ。日常での使用、ランニングコストを考えれば、これで充分だろう、きっと。ああ、でも、もっと仕事しないと……。
     試乗やら購入手続きをしていて帰宅が遅れたため、夕食は焼肉へ。帰宅後、居眠りしつつ資料読み。

    02月22日(日) 本の買い出し

     気になっていた本が何冊かあったので、午後、新宿の紀伊國屋書店まで買い出しに出かける。あれこれ本を買ったあと、3階でおこなわれていた「シグマブック」のデモを見学に行く。液晶スクリーン2枚が見ひらきになる携帯書籍端末で、単3電池2本で約3ヶ月使えるとか。いちばん気になるのは液晶画面の解像度や色で、もしも気に入ったら買ってしまう気ムンムンだったのだが、現物を見たとたんに買う気は一瞬にして萎える。ディスプレイの解像度はXGAで、まあ、そこそこだが、液晶の色が紫に近い青。表示されていたのが石ノ森章太郎先生の『サイボーグ009』で、それも初期のものだったせいもあり、なんだか昔のマンガ雑誌を見ている気分。バックライトなしの反射型液晶(?)で、デモンストレーターは「直射日光の下でも、よく見えます」と強調していたが、天井の照明器具の画面への映り込みが目立ち、かなり見づらかった。文章を表示している方も見せてもらったが、やはり、画面が光って文字が読みづらい。結局、触手は伸びず、購入(予約)は見送ることにする。
     帰途、喫茶店をハシゴして読書した後、帰宅。

    ■今日、買った本

    『マンガ原稿料はなぜ安いのか?』(竹熊健太郎/イースト・プレス/2004年2月刊/1,200円+税)......ネット書店bk1のマンガページで連載されていたコラムを中心に、あちこちに発表したマンガ評論などをまとめ加筆したもの。標題の「マンガ原稿料はなぜ安いのか?」については、すでにbk1で読んでものがほとんどで、目新しいものがないのが残念でありました。まるまる1冊、このテーマで行ってくれたらよかったのに……。本書にはマンガ原作に関連して、ネーム原作(コマ割りし、セリフや構図も入った絵コンテの状態で渡す原作)の可能性について触れられているが、ぼくが鷹見吾郎名義で原作を担当した『マイコン刑事』もネームで原作を渡していたなあ。

    『マンガで読む「涙」の構造』(米沢嘉博/NHK生活人新書/2004年2月刊/680円+税)......同年代の評論家が書いただけに、採りあげられている作品については矢代まさこ、山本まさはるといった貸本作品まで含めて納得、納得。最初に泣いたマンガといえば、やっぱり『紫電改のタカ』(ちばてつや)だったように思う。マンガ家になってからは、『がんばれ元気』(小山ゆう)と『山岳(クライマー)列伝』(村上もとか)に泣かされたなあ。『遥かなる甲子園』(山本おさむ)は、「週刊漫画アクション」連載中にハマり、「アクション」の発売日になると、この雑誌を置いてあるラーメン屋に出かけ、ラーメンと餃子を食べつつ涙をこらえながら読んでいた。同じ作者の『聖―天才・羽生が恐れた男』も涙をこらえた作品だった。

    『そして俺は途方に暮れる』渡辺やよい/双葉社/1,200円+税)......「漫画原稿を守る会」世話人でもある“レディスコミックの女王”渡辺やよいさんの処女小説集。作者の対まんだらけ裁判支援の意味も込めて購入。はじめから終わりまでエッチシーンの連続で、それも性的な単語が即物的に羅列されるために、読んでいて、ちょっと気恥ずかしくなるが、頑張って最後まで読みとおす。作者は自分のことをエロ漫画家と自称しているが、小説の方は、濡れ場の連続ではあっても、エロ小説でも官能小説でもない。読んでいる途中、ちょっと田口ランディを思い出したりもした。そうそう、もうひとり思い出した。野坂昭如だ。それも初期の。『エロ事師たち』や『マッチ売りの少女』の頃のね。ただし、野坂昭如ほどの切実感はないけれど、そこが今風かもしれない。どの作品も、そこはかとないユーモアとペーソスに包まれていて、同じ作者の過激なレディコミとは一線を画している(ように思う。マンガは数作しか読んでいないので)。若い女性なら、読んでいてココロが癒されるかも。「じゅげむじゅげむ」が一番よかった。

    『零戦百科事典』(雑誌「丸」編集部/光人社NF文庫/2004年3月刊/838円+税)......仕事の資料。

    『山岡鉄舟 幕末・維新の仕事人』(佐藤寛/光文社新書/2002年7月刊/700円+税)......お勉強用。

    『博徒の幕末維新』(高橋敏/ちくま新書/2004年2月刊/740円+税)......上に同じ。

    『たった3ヵ月で英語の達人』(志緒野マリ/祥伝社黄金文庫/2002年4月刊/543円+税)......こんな題名の英語入門書を見つけると、唐突に買いたくなるときがある。奥付を見ると今月出たばかりの7刷で、かなり人気が高いらしい。電車とバスの中でドコドコと読む。内容が「おもしろい」ので、どんどん進む。内容もコクンコクンとうなずくことばかり。実践できないのが玉にキズだけど。
    (その他、新企画用ナイショの資料、お楽しみ用の小説など多数)

    02月23日(月) あたふたと忙しい1日

     昼過ぎに起床し、食事をとったあと、法務局の出張所まで会社の用事で出かける。帰途、ヤマダ電器によって名刺用のプリンター用紙を購入。さらに買い物などをして帰宅後、友人のマンガ家からストーリー作りの相談の電話があり、長電話。夕食後、直木賞選考結果の載っている「オール読物」を買いにクルマで郊外型書店へ。帰宅後、小学生向けワープロ「一太郎スマイル」を使って名刺作り。のち、読書。

    ■今日、買った本

    『秘話陸軍登戸研究所の青春』(新多昭二/講談社文庫/2004年2月刊/571円+税)......以前、ニフティサーブ(現@nifty)の「戦前戦中フォーラム」で、この本の原形となった文章に出会い、全文をプリントアウトして読んで、そして泣いた。オフラインで著者にお会いしたとき、ロクタル管という貴重な真空管をいただいたこともある。その後、ニフティにアクセスしなくなったこともあって、連絡がとれなくなっていたのだが、お元気だったようでホッと安心。書店で表紙の題名と著者名を見たとたん、反射的に手に取り、レジに向かっていた。全日本人必読の書。

    02月24日(火) 何もしないで終わる1日

     午前中に起きると北海道からホタテが届いている。ひえっ、こちらが押しかけでサイト作りの手伝いを申し出たS氏からだ。なんだか申しわけなくて恐縮しきり。さらに秋田書店からは「サスペリアミステリー」が到着。二階堂黎人さんが拙作『マシン刑事999』をコラムで紹介してくださったもの。そういえばS氏も二階堂さんも、ともに親指シフトの猛者でありました。
     午後は管理を担当しているWebサイトの更新などに時間がかかり、気がつくとあっというまに夕方。名刺の裏側を印刷していたらプリンターで用紙が空回りして、何枚も失敗。夜は会社の書類仕事。あっというまに1日が終わり、焦る。
     そういえば、この日記の作成には、自作のBASICプログラムをコンパイルしたものを使っていて、秀丸エディタで書いたテキストをHTMLに自動変換し、同時にトップページの更新日も変更するようになっている。そのうえで「Internet Explorer」で画面を確認してるのだが、ふと思いついて、これらの流れを続けて処理するバッチファイルを書いてみる。試したら快適でありました。

    start /w c:\"Program Files"\Hidemaru\hidemaru.exe c:\hp\new.txt
    start /w c:\hp\nikwrite.exe
    start /w /max C:\"Program Files"\"Internet Explorer"\iexplore.exe c:\hp\msugaya\index.htm
    start C:\"Program Files"\NextFTP\NEXTFTP.EXE $Host2


    ・1行目=秀丸エディタで「new.txt」という日記のテキストファイルを開く。「/w」は、処理が終わるまで、次の行に移るのを待つオプション。
    ・2行目=テキストファイルをHTMLに変換するプログラムの起動。
    ・3行目=「IE6.0」を起動し、indexページを画面を最大化して開く。ここで日記をチェックし問題があればソースを開いて修正。
    ・4行目=「IE6.0」を閉じると「NextFTP」が起動し、アップロードを開始。

    02月25日(水) 『収容所から来た遺書』

     正午前に起床し、資料読みをしていると、某女性マンガ家から、あれこれ相談の電話。なんだかんだと話しているうちに、あっというまに1時間以上が経過。その後、バスで吉祥寺に出て、はなまるうどんで食事をとった後、喫茶店をハシゴして資料読みをしながらノート(パソコンではない)でプロット作り。ノートパソコンでプロット作りをしていると、資料の内容をコピー&ペーストするばかりで、その内容が頭に記憶されないことがある。それでなくても忘れっぽくなっているので、ストーリー全体を俯瞰する意味も兼ねて、ノートに手書きでプロットを書き込んでいく。でも、乱雑なメモの連続なので、他人が読んでも、何が書かれているかわからないことであろう。
     暗い喫茶店で根を詰めてプロット作りをしていたら、目が疲れて焦点が合わなくなってしまったため、息抜きに高円寺へ。いつもの飲み屋に行くと、他にいた4人のお客は全員が島根県隠岐の出身とか。ぼくが電話で引っ張り出したマンガ家のながいのりあきさんも隠岐出身で、皆さん、ローカルな話題で盛り上がる。臨席していたご夫妻が帰ったあと、残っていたご夫妻の友人の男性2名、ご夫妻の娘さん夫婦の話を聞いていると、帰宅したご夫妻のうち、昭和12年生まれのご主人は、生まれたのが満州の大連で、隠岐に引き揚げてきたのだという。お父さまは満鉄調査部に勤務していて、戦後、シベリアに抑留され、その地で亡くなられたという。しかも、お名前は山本さん。シベリアに抑留された日本人は70万人くらいになるといわれているから、同姓の人だっているだろうが、も、もしかして……と思い、「ひょっとして『収容所(ラーゲリ)から来た手紙』の……?」と口走ったら、そうだという。「ええっ、では、あの“ろんろんの……”の作者の……」と半分錯乱しながら口走っていた。
     あわてていて題名を間違えたが、正しい題名は『収容所から来た遺書』。出版社も角川書店だと思い込んでいたが、実は文藝春秋だった。著者はノンフィクション作家であり歌人でもある辺見じゅん氏。他に『男たちの大和』や『昭和の遺書』などの著書もある。
     すでに帰宅したご夫妻の友人の方には、「ろんろんの……」だけで話が通じた。『収容所から来た遺書』の主人公でもある北溟子こと山本幡男氏作の「海鳴り」という詩の一節だ。本の内容は、シベリアに抑留され、凍てついた地でガンのために死去した山本氏の遺書を、遺族に届ける男たちの物語である。紙に書いたものはメモであろうと持ち出せないため、帰国する仲間たちは、遺書や遺作となった詩を「記憶」して、家族のもとに届けようとする。最初にこの本で、「子供等へ」と題された遺書を読んだとき、涙で文字が霞んで読めなくなった。まもなく生を終えようとしているときに子供たちに遺した言葉は、あくまで崇高で気高く、父親としての矜持にあふれていた。この文章を読んだとき、ぼくは思わず背筋を伸ばし、涙を拭ってから、あらためて続きを読んだものだった。
     収容所の仲間たちが遺書を暗記するシーンで想起したのは、ブラッドベリの『華氏四五一度』だった。「焚書」の恐怖をテーマにしたSFで、フランソワ・トリュフォーの監督で映画にもなっている。映画では、本を奪われた人々が、後世に口伝で本の内容を伝えるため、広場で歩きながら本の内容をつぶやきつつ暗誦しているシーンで終わっている。そのシーンを思い出したのだ。
    『収容所から来た遺書』は、帰国した人々によって未亡人となったモジミ夫人(いつのまにかモミジという名前だと思い込んでいた)のもとに遺書が届けられ、最後に届いたのは昭和62年になってからだった。
     この本は、3年ほど後に文庫化されているが、そのときちょうど「ダカーポ」から「おすすめ文庫3冊」という原稿を依頼され、迷わずにこの本を紹介した。
     その後、テレビのドキュメンタリー番組で『収容所から来た遺書』が採りあげられ、モジミ夫人がハバロフスクの墓地に墓参りしたシーンを見たこともある。
     モジミ夫人は女手ひとつで4人の子供を育て、全員が大学を出ている。しかも東大2人、東京芸大1人、東京外語大1人という凄さ。高円寺の飲み屋で同席したのは、芸大出身で建築のお仕事をされている次男の方だったのだ。先にお帰りになってしまったため、『収容所から来た遺書』のことで直接話すことはなかったが、娘さんの話によると「少年マガジン」でマンガにもなっているという。というわけで帰宅し、さっそくチェック。埃まみれになりながら書棚の奥からハードカバーの『収容所から来た遺書』も引っ張り出して、朝までかかって再読。この本も、やはり「全日本人必読の書」だ。

    ■日本人なら、この本を読みなさい!

    『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』(辺見じゅん/文藝春秋/1989年6月刊/1,456円+税)......ハードカバー版。
    『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』(辺見じゅん/文春文庫/1992年6月刊/476円+税)......文庫版。リンク先に多数のレビューあり。

    『語り継がれる戦争の記憶』(3)(三枝義浩/講談社漫画文庫/2002年8月刊/500円+税)......マンガ版『収容所から来た遺書』所載。

    (関連図書・映画)
    『華氏四五一度』(レイ・ブラッドベリ/宇野利泰・訳/ハヤカワ文庫/2000年刊/600円+税)
    映画DVD『華氏451』(ソニー・ピクチャーズエンタテインメント/2003年11月発売/1,500円+税)......フランソワ・トリュフォー監督の映画版。

    02月26日(木) 『収容所から来た遺書』と落語と

     昨夜は書棚の奥から引っ張り出したハードカバー版の『収容所から来た遺書』を再読し、また涙。おかげで寝るのが遅くなり、起床したのは正午過ぎ。あれこれメールの返事などを書いたあと、午後遅くなってから池袋へ。まずは某所で新企画(になるかどうか不明だが)のための取材。某所にいる人たちを遠目で観察。年齢や服装、動きなどを頭に叩き込む。資料だけでは実感がつかめないので、やはり、ホンモノを見るのも大事。もう少し企画が煮詰まって、出版社からOKが出そうな気配があれば、ご当人たちに直接の取材をしよう。
     つづいてジュンク堂書店へ。見当たらなくなってしまった文庫版『収容所から来た遺書』と、同じく『収容所から来た遺書』が収録されているマンガの『語り継がれる戦争の記憶』(3)を購入するため。このほかに文春文庫のコーナーでは『戦場から届いた遺書』も発見。『収容所から来た遺書』の山本幡男氏の遺書が、写真とともに紹介されていたため、こちらも購入。そのほかに「小説新潮」の増刊号なども購入し、急ぎ、高円寺へ。山手線と総武線の車中で『語り継がれる戦争の記憶』(3)の『収容所から来た遺書』は読了。原作を知っていると、ちょっと物足りないが、原作を読むきっかけとしてはいいかもしれない。
     高円寺の飲み屋では、毎月恒例の鈴々舎わか馬さんの勉強会「鐙(あぶみ)の会」。根多出しの「井戸の茶碗」ほか1席。「井戸の茶碗」は、教訓噺ではあるが、ほのぼのとした“いい噺”。楽しく聞いてココロがホンワカしたあとは、お酒ライターの女性が持ち込んだ全国各地の焼酎を飲み比べ。6種類の焼酎をストレートで飲んだら、こちらもホンワカいい気分。度を越すとヤバそうだったので、途中から水だけ飲んで、胃の中で水割りにする。
     昨日も高円寺だったので、今日は、バスのある時間に早々に退散。

    ■今日、いただいた本、買った本

    1989年6月刊/1,456円+税)
    『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』(辺見じゅん/文春文庫/1992年6月刊/476円+税)......2冊買って1冊は飲み屋に置いてきた。若いお客の中に読みたいという人がいたので。
    『語り継がれる戦争の記憶』(3)(三枝義浩/講談社漫画文庫/2002年8月刊/500円+税)......このマンガも若い人に読んでもらいたくて飲み屋に寄付。
    『戦場から届いた遺書』(辺見じゅん/文春文庫/2003年12月刊/667円+税)......NHK教育テレビで放送された「人間講座」のテキストをまとめたもの。『収容所から来た遺書』も収録されている。
    『警察小説大全集』(「小説新潮」3月臨時増刊)(税込み500円)......警察小説のアンソロジー。これだけの内容で500円だなんて……と感激して購入。小説の低価格化が、小説復興の起爆剤になる可能性も……ないかな。

    『殺人の追憶』(薄井ゆうじ・超訳/アートン/2004年2月刊/1,400円+税)......同名の韓国映画のノベライズだが、「跳訳」というとおり、ただのシナリオからの小説化ではないらしい。薄井さんらしい「たくらみ」がありそうで、楽しみ。

    『監視カメラ社会――もうプライバシー社会は存在しない』(江下雅之/講談社+α新書/2004年2月刊/840円+税)......イギリスでは当たり前となっていた監視カメラ社会が、いまでは歌舞伎町や渋谷をはじめとする日本のあちこちにもやってきた。この本は、いわゆるプライバシーとセキュリティについての本で、ネット社会での怖さも紹介されている。ぼくは著者が勤務する大学で年に2回ほど、マンガの表現技術の歴史やらハッカーの歴史やらといったことについて講義をさせてもらっているのだが、セキュリティに関する講義のとき、ステガノグラフィという暗号化技術を使って文章を埋め込んだ画像(「ゲームセンターあらし」のマンガ)を学生たちに見せたことがある。ステガノグラフィは、9.11事件の後、アルカイダが、仲間との連絡に使っているのではないかと囁かれていた暗号化技術のひとつで、こちらはフリーソフトになっていたものを使ってデモして見せたのだが、そんなこと(すがやみつるという漫画家がステガノグラフィの実験をしていたこと)も、この本でチラリと紹介されていた。

    『Zaurus SL-C860/760/750/700パーフェクトガイド――標準機能の活用から一歩先行くパワーアップツールの使いこなしまで』(武井一巳/メディア・テック出版/2004年2月刊/2,300円+税)......武井さんのLinuxザウルス本第?弾。パソコンのことなど知らなくても使えるのがウリだったザウルスが、Linuxエンジンになって以来、すっかりマニアのものになってしまった感が。いじりだしたら面白いんだろうなあ……。

    02月27日(金) 原稿書きスタート

     資料読みをつづけていたのとは別のノンフィクショの原稿に着手。ガシガシガシとキーを叩きつづけ、あとは別の原稿のための読書。

    02月28日(土) またサイト作り

     某所からサイト作りの相談を受け、テスト用のサイト作りをスタート。CGIを組み合わせ、ちょっとした予約システムを作る。途中、バグの連続で、何度も作り直し。結局、徹夜して、それなりに動くのが完成したのは朝。
     途中、ネットで取材の手配。取材の予約から宿泊するホテルの予約まで、みなネットで完了。便利になったものだ。

    02月29日(日) 「漫画原稿を守る会」のミーティングへ

     4時間の睡眠で起床。眠気をこらえて自転車で大泉学園へ。駅前の立ち食いそば屋で食事をとったあと、「漫画原稿を守る会」の第3回ミーティングへ。裁判を起こしているメンバーの報告と、会の今後について。対さくら出版の裁判は、相手が出てこないままに結審し、原告側(マンガ家側)の完全勝利。しかし原稿、もしくは、それに見合う賠償金を出す意思があるのかどうか。
     漫画原稿を守る会は、当座の目的は果たしつつあるが、漫画原稿の所有権の確認など、漫画界全体に関係する問題は、まだつづく。長期戦に備え、ぼくが管理しているホームページも、独自ドメインに移行する予定。
     帰宅後、またプログラムをいじり、午前4時スタートのIRL第1戦を待つ。起きていられるかどうか、ちょっと不明。たぶん寝てしまうだろうな……。

     昨日、新聞も流し読みしていただけだったため、小説家・伴野朗氏の訃報を知ったのは、今日、葬儀の終わった時刻になってからだった。ぼくが日本推理作家協会に入る際、高齋正さんの紹介で推薦人になってくださった方だ。その縁で、パーティーなどでは、「元気?」と気軽に声をかけてくださっていたのだが。デビュー作の『五十万年の死角』は、いまもストーリーをよく憶えている。67歳では早いなあ……。合掌。


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