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  • 2002年12月上旬の日記

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    12月01日(日) 資料読み

     今日から死にものぐるいで架空戦記の原稿に取りかからなければならないのだが、少し資料に不安があって、吉祥寺の書店で買い物。地図とか年表とか、そんな基本資料が中心です。手元にあったのが古くなってしまっていたので。
     その後、喫茶店を2軒ハシゴするが、持参した資料読みに時間をとられ、原稿は少しだけ。

    12月02日(月) 歯が痛い

     歯茎が腫れて痛み、部分入れ歯もつけられない。食事も流動食。しかたがないので自宅のネットに接続できない部屋に引き籠もり、終日、原稿。ネットにつながないせいか、能率がいい。

    12月03日(火) 今日も歯が痛い

     歯の痛み取れず。アイスノンで顎を冷やしながら原稿執筆。硬いものが食べられないので、いま書いている架空戦記の版元さんからお歳暮にいただいたマンゴープリンと杏仁豆腐で飢えをしのぐ。別の版元さんからもお歳暮が届くが、こちらの版元さんの原稿は、いまだに書き上げていない。それなのにお歳暮をいただいてプレッシャー大なり。
     朝まで原稿を書き、寝たのは午前9時。

    12月04日(水) 歯の痛みひかず

     午後3時に起床。まだ歯茎が痛い。歯医者に行ったほうがよさそうだが、その暇もない。歯の痛みをこらえて今日も原稿。歯茎というと『瞼のチャット』(清水義範/講談社文庫『ビビンパ』所載/1993年刊/369円+税)という短篇の横書き小説を思い出すなあ。幼いころ生き別れになった兄と妹が、パソコン通信のチャットで再会を果たす涙なくしては読めない爆笑小説(なんのこっちゃ?)で、この兄の職業が歯科医師で、そのハンドルが「歯茎」だったのだ。チャットの会話だけで成り立っている小説でしたが、初出の「小説現代」で読んだとき、思わず爆笑でした。

    12月05日(木) 大学で講義

     今日は埼玉の某私立大学で講義。昨年も依頼されたのだが、好評だったとかで、今年も、また頼まれたもの。このところ連日、仕事をしながら明け方までNHK総合テレビで「ロボコン」の予選大会を見ていたせいで、睡眠不足になっていたのだが、昨夜は、講義の資料作りでテレビも見ずに朝まで。
     睡眠3時間でクルマを運転して出かけたのだが、外郭環状線の降り口をまちがえて、だいぶ先まで行ってしまう。しかたがないのでUターンして、再び外郭環状に乗って何とか定刻前には大学に到着できた。
     講義は「ハッカーの歴史と文化」について。ハッカーとクラッカーのちがいや、電話のタダがけマニアのフォーン・フリーカーたちの歴史などについて説明。昨年は、教室を暗くして、パソコンの画面を投影していたのだが、今年は明るいままで投影可能になっていた。そのせいで学生たちの様子がよく見える。半数は寝ているし、起きている学生も勝手に教室に出たり入ったり。小学校の学級崩壊や授業崩壊が問題になっていたが、どうも小学校のことだけではないらしい。講義していても何の反応もなく、ノレンに腕押し状態で、少しうろたえてしまった。前にも高校で1回、農協関係で1回、講演を頼まれて、うろたえ、とっちらかったことがあるけれど、いずれも動員されてきた講演のテーマに興味のカケラもない人が大半だった。何を話しても受けないため、つい戸惑い、うろたえてしまうのだ。
     ちょっと気を引くつもりで、「フジテレビのF1中継を見ている人?」と訊ねたら、手を上げた学生はゼロ! 佐藤琢磨に日本企業のスポンサーがつかない遠因も、きっとこのあたりにあるのだろうなあ……。
     講義後、ひとりの学生から質問を受けた。質問の内容は、「『仮面ライダー』に石ノ森章太郎先生が出演しているというのは本当ですか?」というもの。ぼくが「石森プロ出身」と自己紹介したせいだ。で、回答は、「出てるよ。『イソギンジャガーの巻』ってのに釣り人の役で。監督も石ノ森先生だった回だね」
     講義が終わったとたんに眠気に襲われ、駐車場のクルマの中でしばし目を閉じた後、帰途につく。2〜3日前、NHKの「クローズアップ現代」で、長距離トラック運転手の過酷な労働環境が紹介されていたのを思い出した。前は2〜3時間の睡眠でもヘッチャラだったけど、最近は、7時間は寝ないと脳が停滞してしまうようだ。
     午後3時過ぎには帰宅し、座椅子にもたれて、しばし仮眠。夕方に起き出し、原稿に戻る。眠気をこらえて、深夜に「ロボコン」予選を鑑賞。

    12月06日(金) 歯医者で緊急治療

     歯の腫れがひどくなり、激痛で早々と目が覚めてしまう。これでは仕事にならないと、歯医者に電話して緊急治療を施してもらうことに。これが治らないと、来週、出来上がってくる予定の部分入れ歯も入らない。麻酔をかけられ化膿した箇所の膿を絞り出してもらい、痛み止め、消炎用の抗生物質、胃薬をもらって帰宅。治療のせいでズッキンズッキンと脳天に突き抜けるような痛み。痛み止めが効き出したら眠くなって3時間ほど仮眠。ああ、まとめて寝たいなあ。夕方から、また原稿。

    12月07日(土) 母の郷里へ

     昨夜は原稿を書きながら「ロボコン」地方大会の東北編、北海道編を見てから就寝。午前中に起きて歯医者に行き、昨日の治療の点検修理。痛み止めの追加をもらって帰宅し、大あわてで荷造りして東京駅へ。叔父の三回忌に出席するため。
     東海道新幹線の「こだま」で原稿を書きつつ静岡駅まで。東海道本線で興津駅まで戻り、ここで迎えに出てくれていた従兄弟の息子と合流。軽4で興津川(鮎釣りで有名)の上流にある母の実家へ。
     夕食はトロロ汁。歯痛でも、これなら食べられる。あまり美味くて小さめのドンブリ2杯も食べてしまう。
     満腹になったせいと睡眠不足とで、午後10時には就寝。信じられないほど健全な生活だなあ、こんなにうまくいくはずがない……と思ったが、予期したとおり午前2時に目が覚めてしまう。しかも空腹。隣の部屋で設計の徹夜仕事をしていた従兄弟の息子に泣きつき、台所から缶ビールとパンを調達してきてもらい、これらを飲食しながら2時間ほど原稿を書く。再び寝たのは午前4時すぎ。

    12月08日(日) 食い過ぎた

     午前8時前には起床し、昨夜のトロロの残りで朝食。またもやおかわりしてしまう。ダイエットしていたはずなのに。午前10時から、近くのお寺でお経をあげてもらい、雨のなかを墓参りに行き、母の実家に戻って再び和尚さんにお経をあげてもらい、そのあと、料理屋さんで食事。この店のメニューが豪勢で、とても食べきれないが、もったいないので、食べられるだけ食べる。これが貧乏育ちの浅ましいところ。散会後は、清水に住む別の従兄弟に興津駅までクルマで送ってもらい、静岡駅経由で東京へ。うまいぐあいに静岡停車の「ひかり」に乗ることができ、東京までの1時間、シコシコと原稿。
     帰宅し、ネットをサーフィンすると、二階堂黎人さんのサイト(「原稿城」のページ)から当サイトの『電脳文章作法』のページにリンクが張られているのを発見。二階堂さんのサイトから飛んできた場合のみ表示されるページを作成したりするが、肝心の『電脳文章作法』は版元の小学館のサイトからも消失。もしも絶版になったようなら、二階堂さんの関連だけでなく、他からもリクエストの多い「パソコンを使った(文字)原稿の書き方」の部分だけでも抜粋して、こちらに掲載してみたいと思います。ただし、いま取りかかっている原稿が終わってからね。
    「いちおう小説も書いてるみたいだが、本業はマンガ家のくせに、なんで、偉そうに原稿の書き方なんか説明するんだ?」と思った方、すみません。マンガ家のアシスタントをやった後、編集プロで編集者&ライターのタマゴをやった経験があり、ベテランの編集者に怒鳴られながら、原稿の書き方や編集、校正のイロハを叩き込まれたせいで、パソコンでの文字原稿の書き方や、ワープロソフト、エディターなどについても、つい気になってしまうんですね。編集をしていた約30年前は、活字の時代が終わりかけ、写植が幅をきかせはじめた頃でした。そんな経験があったから、マンガ家のクセして、文字原稿の書き方にこだわったり、本や記事まで書いてしまうわけであります。
     もちろんパソコンで原稿が書けたからといって、それがそのまま記事に採用されたり、本になったりするわけではありません。
     今日はジョン・レノンの命日でもあり、真珠湾攻撃(現地時間12月7日)から61年目でもあり。

    12月09日(月) 歯の痛みが止まってきた

     明け方、布団に潜ったが、その時刻には、もう雪が降っていたらしい。昼前に起きると、外は一面の銀世界。寒さに震えながら原稿を書き、夕方になって、雪の中、ゴム長を履いて歯医者へ。
     歯医者では歯茎のチェック。腫れと痛みは、ようやく治まってきたかな……という感じ。夕食のとき、久々に普通のご飯と納豆を食べたら、胃がキリキリキリ。この1週間ほど、おかゆや雑炊、とろろ汁……といった噛まずに食べられる流動食系のものばかり食べていたせいかも。
     今日はメールとFAXで忘年会のお誘いが1件ずつ。それも同日同時刻。毎年恒例のものを優先し、もう片方は出席を辞退。

    12月10日(火) 新しい部分入れ歯ができる

     昨日の胃痛が下に降りたのか、今日は腸のあたりが痛い。冷えたのかなあ。昼前に起床し、夕方まで原稿。その後は、またまた歯医者。先週末から昨日までは、歯茎の痛みの治療で急患あつかいだったが、今日は、本来の予約どおりの治療で、先日、型を取った部分入れ歯を入れる日。これで壊れた部分入れ歯ともおさらばできる……が、ガッチリはまりすぎて、はずすのに一苦労。慣れるまでに時間がかかりそうだ。
     帰宅後、某社単行本に寄稿した原稿のゲラの一部が届き、これをチェックして送り返す。さらに来週、某週刊誌の編集部に出向いてインタビューを受けることになっているのだが、その日時と場所を確認するためのFAXが到着。あとは、ひたすら架空戦記の原稿。能率が悪いため、久々に深夜になってからクルマでファミリーレストランに出撃。キリのいいところまで3時間ねばり、店を出たのは午前3時。駐車場に置いたクルマは、フロントウィンドウが凍りついていて、これを取るのに一苦労。


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