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  • 2000年08月上旬の日記

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    08月01日 ついに歯医者

     このところ虫歯がうずき、とくに食事をしたときに、ガンと脳天に突き抜けるような痛みが来ていたのだが、今日は、寝ている最中に、突然、ズキンと痛みが走り、何度も目が覚める。
     これじゃ仕事にもならないと、ついに観念して歯医者へ。予約なしだったのだけれど急患扱いで、待っている人の間に割り込ませてもらい、とりあえず傷む歯の処置。歯医者は15年ぶりくらいですが、最初に麻酔のスプレーを歯茎にかけてから麻酔の注射をするせいで、注射の痛みも感じません。虫歯がひどいので、抜くかも……といわれたのですが、とりあえずは神経を抜くだけですんだようでありました。神経を抜くときに、ちょっとズキンと来て、追加の麻酔を打たれたりしましたが、なんとか治療も無事にすみ、来週からは予約日に通院することになる。
     帰途、喫茶店にまわってノートパソコンで原稿。唇が麻酔でしびれているので、うまくストローがくわえられなかったぞ。

    08月02日 今日も喫茶店で仕事

     家にいると、ついインターネットにつないでしまうので、クルマに乗って家を脱出し、喫茶店で仕事。しかし、また腰の痛みが激しく、長時間の仕事ができない。家に戻って座椅子にもたれ、膝の上で原稿を書く。でも、膝がCPUの放熱で熱いぞ。
     高齋正さんが送ってくださった「欠陥●自動車業界」(論創社/1500円)を読む。自動車業界、自動車ジャーナリズムを批判したもの。高齋さんが特に主張していることは、歴史を大事にしろということだが、これにはまったく同感。
    「世の中に○○○マニアほど煩(うるさ)きものはなし。ブンカ、ブンカと夜も寝られず」というのが、いまの日本の実状だ。「○○○」の部分に入る言葉は、「F1」「レース」「マンガ」「アニメ」「ゲーム」など、なんでもかまわない。どちらかというと、少し前までは日陰の存在で、一部の根強いマニアによって支えられていたジャンルが、広告代理店やメディアの主導によって「メジャー」な存在になった結果、それに浮かれたニワカ・マニアやニワカ・オタクが声高に「ブンカ」という言葉を発するようだ。ぼくは、F1もレースもマンガもアニメも、そしてゲームも文化の一部であると確信しているが、でも、いまの「ブンカ」と一緒にされたくないので、自分から口にするのは控えている。
     深夜、ミステリー作家の吉村達也さんから、WZエディターの使い方について質問のメールが届き、その返信を書くと、すぐにまた返信が来て……と何通ものメールが往復する。どうも同じ時間帯に仕事をしているせいらしい。

    08月03日 睡眠不足はつらいよ

     エアコンを止めて寝ているせいで、昼近くなると汗だくだく。髪の間を汗が流れ落ちる感触で、つい目が覚めてしまう。いちど目が覚めると寝直しできない悪いクセがあるため、そのまま起床。だらだらと原稿を書く。


    08月04日 逆上して深夜にファミレスへ

     また暑くて短時間で起床。頭に霧がかかったようで原稿の能率が上がらない。夕方、座椅子で仮眠をとるも、目が覚めない。これじゃダメだと午後11時にクルマでファミレスへ出撃。ところが、どこも混んでいて席がない。結局、環八の内側まで行って、やっと空いているファミレスを見つけ、ここで午前2時過ぎまで原稿を書く。
     帰宅後、朝まで原稿を書くが、腰が痛い。

    08日05日 中華街でお祝い

     マンガ家の水樹和佳子さんの早川文庫に入って増刷を重ねている「イティ・ハーサ」が、パシフィコ横浜で開催中のSFコンベンション「ゼロコン」でSFファンが選ぶ星雲賞という賞を受賞したとのことで、急きょ、中華街でお祝いの会を開くことに。
     ならばついでに横浜のホテルに泊まってしまおうと考え、あちこち当たったが、観光地とあってかホテルの予約は全滅。しかたがないので、よく使っている都内のホテルに電話すると、ここも今夜はダメ。うーむ……と考え、同じホテルに明日から自主缶詰にすることに。インターネットで予約したら、明日からはサマーキャンペーンで通常料金のほぼ半額。ラッキーではないか。
     カミサンに駅までクルマで送ってもらい、電車を乗り継いで中華街に出かけたが、よく考えたら電車で中華街に出かけたのは20年ぶりくらい。JR京浜東北線・石川町駅周辺は、すっかり景色が変わっていて、危うく中華街とは反対側に行きそうになる。
     正面に小高い山が見えたので、逆方向だということに気づき、なんとか徒歩で中華街へ。時間が余ったので甘味喫茶に入って氷アズキを注文。冷たいかき氷で頭をキンキンとなり、眠気が覚める。ここで時間まで原稿を書き、数軒離れた中華料理店に移動。
     お祝いの会の出席者は主賓の水樹さんのほか、マンガ家のTさん、作家のTさん、作家のOさん、ライターのEさん、ベンチャー企業家(^_^)のOさん。二次会は近くのパブに移動し、ここで話し込んでいたら、あっというまに電車もアウト。結局、Eさんの実家に泊めてもらう。ああ、原稿がかなりヤバいぞ……。

    08月06日 自主缶詰

     午前中にEさんの実家で起床し、まだボーッとする頭で、昔、陸軍航空隊の整備兵だったというお父さんにご挨拶。所沢の整備学校で学び、一式戦闘機「隼」の整備を担当していたとか。いま書いている架空戦記には、四式戦闘機「疾風」が登場するが、この「疾風」に搭載されていた「ハ‐45(誉)エンジンの空冷フィンが、カミソリのように薄くて、よく手を切った」……などというお話をうかがい、これは作品に生かせるとニンマリ。
     まっすぐに帰宅し、メールをチェックすると、あえて名を秘す作家のUさんから、ぼくが贈呈した「まんがでわかるネット株入門」を読んでネット株取引をはじめたのだが、この本でも紹介しているマネックス証券の株を買うことができ(4日に東証マザーズに上場)、ストップ高でウハウハとのことで、そのお礼のメールだった。
     少し座椅子でうたた寝した後、着替えを詰めたリュックサックを背負ってバスで吉祥寺のホテルへ。汗まみれだったのでチェックイン早々にシャワーを浴びて、仕事の再開。午後9時過ぎになってから吉野屋に出かけ、牛丼の夕食。即座にホテルに戻り、仕事のつづき。腰が痛くなってきたので持参した資料を読んでいるうちにグ〜。深夜に目が覚め、再びノートパソコンに向かう。

    08月07日 ホテルの部屋でシコシコ仕事

     3時間ほど寝てバイキングの朝食を取り、部屋で原稿。廊下で工事が始まってうるさいので、近所の喫茶店に出かけて、ここでまた原稿。目が霞んできたためホテルに戻り、ベッドに寝転がったが、1時間も経たないうちに、ひどい雷雨で目が覚める。しかたがないので、また原稿を書き、午後10時頃になって、再び1時間ほど仮眠。それから朝まで原稿を書きつづけるが、午前6時過ぎにチェックアウトして帰宅。どうもベッドだと、身体がゆらゆら揺れて、安眠できないんです。

    08月08日 睡眠不足でダウン

     午前6時にホテルをチェックアウトして、そのままタクシーで帰宅。昼過ぎまで寝たが、ホテルでの睡眠不足がたたり、頭がボワ〜。とりあえずできているところまで原稿を送り、そのまま歯医者へ。
     すでに神経を抜いているせいか、麻酔なしでも痛みはなくホッ。さらに、奥歯の治療も開始。帰宅後、原稿に取りかかろうとするが、頭がボンヤリしてダメ。仮眠をとって夜中にファミレスへ出撃。

     今日は、某出版社を通じて、コミック作家の著作権を考える会についてのアンケートが届いた。要するにブックオフなどの新古書チエーンとマンガ喫茶の隆盛で、コミックスが売れなくなり、その対応を考えようということらしい。マンガは、雑誌連載を持ったりすると、アシスタントの人件費や事務所の維持費などで、原稿料は消えてしまう。コミックスが出て、やっと一息つけるのだけれど、最近は、コミックスの初版部数も減って、マンガ家の生活も大変になっているらしい。さらに、長編のコミックスも、既刊の増刷が止まり(新古書店で揃える人が多い)、マンガ家もそうなら出版社も書店も収入が大幅ダウン。最近、減少の一途をたどっているマンガ家志望者が、さらに減ることになるのかも……。
     もっともこれはマンガだけの問題ではなく、新書ノベルスや文庫も同じ。うちの近所の新古書店では、「お引き取りできない作家」の一覧表が貼ってあったりする。ほとんどがベストセラー作家の作品で、理由は在庫過多のためだとか。
     こういう時代にマンガ家、小説家として生き残るには、「一刻も早く読みたい」マンガ家/小説家になるか、「本を保存しておきたくなる」ほどの作品を送り出すしかないってことだろう。「アミューズメント(一時の遊興)型」の作品は、もう増刷なんて考えない方が健全かもしれない。あ、もうとっくに、そうなってるか。

    08月09日 今日もファミレスで原稿

     ホント、何も変わりばえはない。ただ原稿の毎日。夜中にファミレスへ出かけ、3軒ハシゴ。夏休みのせいで、どこも高校生くらいの若者がたむろしていてうるさい。
     今日は「ゲームセンターあらし」に関する記事が掲載された「週刊宝石」が届く。「マンガ喫茶でサボリ中のサラリーマン100人」に質問した「続きを読みたいマンガ」で、「あらし」が第8位に選ばれたとか。それに関連したインタビューがあったので、「マンガ喫茶でマンガを読まないで、書店で買いなさい」と答えておいたら、そのまま掲載されていた。

    08月10日 今日はファミレス3軒ハシゴ

     寝不足で目の調子が悪いのが原稿が進まない原因なんだけど、この暑さでは、ゆっくり寝てなんかいられない。
     深夜、我が家はコミケ軍団に占拠され、しかたがないので、また朝までファミレスへ。帰宅すると、まだコミケ軍団の作業は続いていて、カラープリンターで表紙を印刷したり、コンビニへカラーコピーを取りにいくアッシーになったり。漫画賞受賞経験もあるマンガ家をアシスタントにコキ使うなんて、ひでえヤツらだ。おかげで徹夜につきあう。もっとも、こちらも高校生のときは、静岡から上京して、同人誌仲間の家で、徹夜で同人誌(肉筆回覧誌)を作ったものだった。こういう作業は楽しいんですよね。


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