• その日暮らし日記へもどる
  • 表紙へもどる

  • 2000年04月上旬の日記

    01日 02日 03日 04日 05日 06日 07日 08日 09日 10日

    04月01日 え、エイプリルフールだったの?

     資料を読みながら新作架空戦記小説のプロットを作成中なもので、今日がエイプリルフールだったことにも気づかなかった。
    「写真図説・日本海軍航空隊」(講談社/定価は5,400円なんだけど古書店で8,000円で買ったもの)、「機動部隊」(淵田美津雄&奥宮正武/PHP文庫)、「太平洋戦争」(児島襄/中公新書)、「太平洋戦争と十人の提督」(奥宮正武/朝日ソノラマ文庫)、「日本の航空母艦」(長谷川藤一/グランプリ出版)、「The Carrier War(日米航空母艦の戦い/ライフ・大空への挑戦シリーズ)」、「大空の決戦」(羽切松雄/朝日ソノラマ文庫)などのページをひっくり返しながらWZエディターのアウトライン機能を使ってプロット作り。
    「大空の決戦」の著者・羽切松雄氏の名前を知ったのは、小学六年生のときだったかな。当時、戦記画ばかり描いて「少年ブック」の「小松崎茂の戦記画教室」なんてコーナーに投稿していたぼくは、資料用に小学生のくせして「丸」や「航空ファン」「航空情報」などを愛読していたのだが(ほかにラジオ雑誌も)、「丸」の記事で、同じ静岡県富士市に零戦の撃墜王がいることを知り、母に訊ねたら、富士トラックという運送会社の経営者で知り合いだという。そこで母に羽切氏に会わせて欲しいと頼んだのだが、結局、実現しなかった。もう38年くらい前の話だ。羽切氏は、その後、静岡県の県会議員選挙に立候補して当選。その後も県会議員を長年つづけ、県会議長まで務められていた。

     トップページに書いておいた探求書「男爵〜元祖プレイボ−イ大倉喜七郎の優雅なる一生〜」は、以前、スポーツi・ESPNでCARTレースの解説も一緒にやっていたレース史家のHさんから、貸してくださるとのメールが届く。ありがとうございます。6月頃から取りかかる架空戦記風・仮想レース歴史小説のために、ぜひとも目を通しておきたい本だったので、本当に助かります。ちなみに大倉喜七郎は、幕末に武器商人として活躍し、明治になって大倉財閥を起こし、帝国ホテルやホテル・オークラ、現在の大成建設などの礎を築いた大倉喜八郎の長男。1907年、留学中のイギリスで、イギリス初のサーキットで開催したレースに出場し、2位に入った経歴を持つ日本人初のレーシング・ドライバーで、帰国時に持ち帰ったフィアットのレーシングカー(?)に乗り、川崎競馬場で飛行機と競争したこともある。このクルマを預けてあった自動車修理工場の職工が、夜間、クルマを勝手に乗り回した挙げ句に事故を起こして数名が死亡。これが日本初の自動車での死亡事故となった。
     小説の舞台は1930年代のヨーロッパ。ヒトラーやムッソリーニが国威発揚のためにスポーツに力を入れ、メルセデスとアウトウニオン、アルファロメオなどをバックアップした時代のグランプリレースに、日本からも、自動車(と航空機エンジン)の技術向上のために乗り込む日本人&日本車チームの苦難と活躍を描くもの。以前、「オートコミックGT」という自動車コミック誌に連載した作品をベースに、新たに書き下ろすものだ。推理作家協会賞を受賞した藤田宜永氏の「鋼鉄の騎士」という同時代のグランプリを舞台にした傑作があるだけに、ちょっとやりにくいが、こちらは、よりレースに専念した物語にしたいと考えている。
     先日、取材を受けた「ジャスト・モアイ」の記事原稿がメールで送られてきて、内容をチェック。とくに問題はありませんでした。

    04月02日 家にいたら仕事にならん

     今日は意を決して(というほど大げさではないが)地元ケーブルテレビで見られるようになった有料チャンネルの「フジテレビ721+739」のセット(700円)を電話で申し込む。もちろんF1レースをナマで見たいがため。
     資料を開いてばかりいると、つい読みふけってしまい、肝心のプロットが進まない。すでに概略は頭にインプットされているので、ノートパソコンを背中に背負って吉祥寺まで出かけ、喫茶店でフィクション部分のまとめに入る。途中、3軒ほど書店をまわったが、「ゲームセンターあらし」復刻版は、パルコの地下の「ビブロ」に1冊あったのみ。売れているのか、それとも最初から置かれていないのか……ちと不安。
     1軒の書店で「清水次郎長(物語と史蹟をたずねて)」(竹内勇太郎/成美文庫)を購入し、喫茶店に飛び込んでノートパソコンのキーを叩き始めたが、周囲には酔客ばかり。なんでこんな早い時間から(午後7時くらい)と思ったら、皆さん、井の頭公園での花見の帰りだったようであります。
     帰宅後、ツインリンクもてぎのGT選手権第1戦(スカイスポーツで録画放映したはずだが、これも仕事のため見るのを我慢)の結果を英語に直し、コンピュサーブのモータースポーツ・フォーラムに掲載。深夜、楠木誠一郎さんから届いた日録を楠木さんのホームページに掲載する。また拙著をお読みいただいたようで、どうも申し訳ありません。


    04月03日 青春レース小説『ひらめきの風』を読もう!

     眠い目をこすりながら資料を読み、明け方までかかってなんとか有楽出版社の新作架空戦記プロットを完成。メールで送信しておいて昼過ぎまで寝る。
     起床後すぐに有楽出版社のMさんから電話。プロットは面白くできているとのことで、そのまま進行してよいとのこと。ついでに締切も延ばしていただいたが、それに甘えていては、次の仕事が押せ押せになるのが目に見えているので、即座に本番原稿に取りかかるため、クルマで田無のデニーズまで遠征。
     数軒隣にある郊外型書店に寄ったら、「ゲームセンターあらし」復刻版第1巻が、5冊ほど積まれていた。厚いもので5冊くらいでも、相当の高さがある。
     この書店で第1回角川春樹小説賞を受賞した『ひらめきの風』(辻昌利・著/角川春樹事務所・刊/1,700円+税)を発見して購入。実は、数日前にニューズ出版経由で辻氏から手紙が届き、ちょっと気になって探していたのだが、なかなか見つからず購入できずにいた本だった。
     辻氏からの手紙は、同じレース小説である拙著『龍の伝説』(ニューズ出版・刊)との類似点を知人から指摘されたとのことで、『龍の伝説』の存在も知らず、類似点が生じたのは他意がなかったという内容で、その類似点とは、『ひらめきの風』の風のサブタイトルに第1巻のつもりで「黎明篇」とつけたこと(『龍の伝説』の第1巻も「黎明篇」)、主人公の所属するチームの名前が『ひらめきの風』では「チーム・サンライズ」で、『龍の伝説』では「チーム・ライジング」になっているという点の2カ所らしい。

     おそらく『龍の伝説』の存在を知っていたら、辻氏も「黎明篇」とはつけなかっただろうし、チーム名も異なるものにしたことだろうから、他意はなかったのだろう。また、編集者からのチェックが入らなかったのも、いかに『龍の伝説』が文芸関係者には知られていないかの証左でもありそうで、ちょっとガッカリ。
     辻氏は、小説をあまり読んでいないとのことだが、ぼくはレース小説を書く前に、可能な限り先達の方々のレース小説を読んでいた。日本の純レース小説作家の草分けともいえる高齋正さんが書かれた『ホンダがレースに復帰する時』をはじめとする大半の作品、『ひらめきの風』の帯にも「大藪春彦の『汚れた英雄』を凌ぐ超大作!」と書かれていた『汚れた英雄』はもちろん、海老沢泰久氏の『F2グランプリ』や『F1地上の夢』『帰郷』、藤田宜永氏の『鋼鉄の騎士』等々……。ボブ・ジャッドのレース&スパイ小説群もだ。『女王陛下のユリシーズ号』や『ナバロンの要塞』で熱狂したアリステア・マクリーンには、『歪んだサーキット』というF1&スパイ小説で見切りをつけたが、いずれにせよ、先達の作品を読んでおくことは、その作品を生み出した諸先輩方に敬意を払うことでもあると考えている。
     辻氏の場合は、シナリオライターをめざしていて、予算の関係などで映画では表現できそうにないレースの世界を小説で書いてみた……ということらしいので、しかたがないところもあるが、これがミステリーや時代小説といった約束事の多いジャンルだったら、先行作品を読まずにはすまされないだろう。そういえば数年前の「歴史文学賞」で佳作になった『補陀落山へ』(大路和子・著/新人物往来社/1,800円+税)という作品は、作品の完成度は高いが、同じ補陀落渡海をテーマにした井上靖氏の作品があり、しかも切り口が似ていたということで、佳作止まりになったという。この方の場合も、井上靖氏の作品があったことを知らずに書いていたらしいが、それでも同じ題材の作品があったということだけで、それがマイナス点と見なされるのも、また事実だろう。ちなみに、こんな小説まで読んでいるのは、25年ほど前に井上靖氏の作品を読んで感銘を受け、新婚旅行で和歌山の補陀落山寺を訪れたという過去があるためです(笑)。
     とはいえ『ひらめきの風』は、読み出したら面白く(好きな世界でもあるので)、また何よりも作者の熱気がビンビンと伝わってくる小気味のいい文章で、同じレース者で、また、なんとかレース小説というジャンルが定着してほしいと願う1人としては、これからの健闘を祈らずにはいられなかった。
     ここを読んでいるレース好きの皆さん、書店で見かけたら、ぜひ、購入することで、新しいレース小説作家を応援してあげてください。売れるレース小説が出れば、こちらのレース小説の企画も通りやすくなるかもしれないし(笑)。
     デニーズでは、この本を読んでしまったために仕事が少ししか進まず。自宅に戻ってからつづきを書く。

    04月04日 辻氏に電話

     昼過ぎに起床し、『ひらめきの風』の作者である辻氏に電話。しきりに恐縮されていたが、とりあえず題名には著作権はないこと、また、類似点があっても、レースのシステムが同じなのだからしかたがないことを話、ノープロブレムであることを伝える。辻氏は、地方在住で、これまで出版業界とのつき合いもなかったとのことで、出版業界の現実に直面して驚いているところらしい。マンガと小説の違いはあれど、小説でデビューするまでに25年も出版業界の片隅で生きてきて、また、多くの小説家や編集者とも交流もあり、小説の世界がどんなところかも知ってのうえで……つまり覚悟を決めて飛び込んだぼくのような人間のほうが少数派であるのは間違いないが……。
     ホンダのF1復帰などで、レース界には復調の兆しも見えるが、レース小説ともなると、ジャンルとして確立しているわけではなく、また、いまのレースファンは活字メディアには興味を示さないのも事実。そんななかでレース小説を書いていきたい者としては、ライバル意識よりも同志的な意識のほうが強くなるもの。
     こちらのほうが年齢も上ということもあって、激励の言葉を伝えて電話を切る。小説を出しはじめて6年になり、その間に出した小説は27冊になるが、そのうちレース小説は5冊。自分では力を入れたつもりなのに、売れていないのもまた事実だが、いまだに小説の仕事で声をかけてくれる編集者の多くは、最も売れなかったインディカーレース小説『灼熱の走路』みたいなものを……と言ってくれるのが救いか……。今年後半には、もう少し小説らしい作品を手がけたいと考えているので、ぜひとも、お見限りなく。

    04月05日 「仮面ライダー」のインタビューと「まんがでわかるネット株入門」

     午後2時から保谷駅前の喫茶店で、双葉社から刊行されるという「仮面ライダー」をテーマにした本のインタビューをライターさんから受ける。こちらが質問されたのは「テレビマガジン」や「冒険王」で連載した「仮面ライダー」のコミカライズ作品のこと。「冒険王」で連載した「新・仮面ライダー」では、連載第1回目のゲラが出た直後、名物編集長でもあった壁村耐三氏が、石森先生と打ち合わせ中の京王プラザホテルの喫茶室に押しかけてきて、「こんなヘボは使えないから2回目から描き手を変えろ」と迫ってきたことなどを話す。
    「オレが責任持つから」と石森先生がかばってくれ、なんとかクビがつながったのだが、あそこで先生に見限られていたら、おそらく、マンガ家として生きていくこともなかったろう。石森先生は、まさに恩人中の恩人で、桜台の方角には足を向けて寝られない。
     その直後、壁村編集長は、「週刊少年チャンピオン」と「月刊少年チャンピオン」の編集長を兼任するのだが、「冒険王」の「新・仮面ライダー」にも目を通してくれていて、「だいぶうまくなってきたから……」と、「月刊チャンピオン」の「劇画ロードショー」という映画のコミカライズの仕事をまわしてくださり、「猿の惑星」「ベンハー」「ダーティーハリー」「ラスト・アメリカン・ヒーロー」(初のレースマンガになった)、「マックQ」などの映画をマンガ化することになった。
     そして「週刊少年チャンピオン」で、原作付きではあったが10回連載というチャンスを与えていただき、張り切って取材などを進めていたのだが、連載第1回目を描く直前にやってきたのがオイルショック。紙の値段の高騰で、マンガ雑誌はいずれもページが減り、「少年チャンピオン」でも1折(32ページ)が減らされることになって、ぼくの連載予定ページが消えてしまったのであった。
    「仮面ライダー」については、結局は、石森先生の思い出を語ることにもなり、話しているうちに、つい胸がキュンとなる。
     インタビューの後、大泉学園に出かけて書店で『淵田美津雄』(星亮一/PHP文庫/590円)と『軍用自動車入門』(高橋昇/光人社NF文庫/867円)を購入。喫茶店で買ったばかりの本を読んだ後、ノートパソコンを取りだしてシャカシャカと原稿。
     夜になってから保谷に戻り、『まんがでわかるネット株入門』(構成・すがやみつる/作画・くまの歩/監修・松本大)の見本を届けに来てくれたジャストシステムのKさんと一緒に焼鳥屋で、本の完成を祝してビールで乾杯。すごく手間はかかったけど、久々に編集者と一緒に仕事をした感じがあって、気分がよかった。
     この本はトップページでも案内のとおり、ジャストシステムの専用ページからネット通販でも購入可能。いまなら送料は無料(おそらく代金の振込代がかかる)。また、監修をしてくださった松本大氏が社長をつとめるマネックス証券のホームページにも、リンクのバナーがつけられている。
     なお、一般書店での発売は10日過ぎからになるようだが、それに先行して、8日、9日、神田神保町の三省堂本店で、先行発売されるらしい。また、21日には、本書の刊行を記念した松本大氏の講演会も開かれる予定。こちらの案内もジャストシステムのホームページで。


    04月06日 ああ、たった3日前のことなに、何をしていたのか思い出せない

     でも、原稿を書いていたことだけは確かだな……。

    04月07日 やっと『あらし』が届く

     家にいると、ついインターネットにつないだりして、原稿の進みが悪い。そこで、いつものようにファミレスか喫茶店に……と思っていると、宅配便で大きな段ボール箱が2つ到着。『ゲームセンターあらし』完全復刻版第1巻の献本が、ようやく到着。メールでも献本が届いたという連絡が、あちこちから入る。
     とりあえず『あらし』の本は部屋の隅に片づけておいて、リュックサックにノートパソコンと資料の本を詰めて自転車で外出。資料の本が重くて背中が痛い。
     で、起きてから何も食べていなかったので、ソバ屋に飛び込んだつもりが、隣の寿司屋だった。何をボケてんだよ、情けない。
     ソバ屋でカレーうどんを食べながら「週刊漫画TIMES」を読む。風野真知雄さんが原作を担当する探偵劇画が連載開始になっていた。昭和初期の風俗を紹介するものだが、チラリと小林旭の『銀座旋風児』を思い出してしまった。時代が違うが銀座を舞台にした探偵ものということで……。
     ソバ屋を出た後で喫茶店に飛び込み、カシャカシャとノートパソコンのキーを叩き、ひたすら原稿を書くが、途中で眠気が我慢できなくなって帰宅。少し居眠りした後、また原稿。F1サンマリノGPは、ミハエル・シューマッハーが快調だ。

    04月08日 『銀座旋風児』のシンクロニシティ

     結局、朝まで原稿を書き、寝たのは午前8時過ぎ。午後2時過ぎまで寝て、ボンヤリしながらケーブルテレビのチャンネルを回していると、日活チャンネルの「チャンネルNECO」で、なんと小林旭主演の『帰ってきた旋風児』を放映しているではないか。プログラム表を見たら1962年の作品。このあたりの日活映画は、ほとんどリアルタイムで見ているのだ。で、この『帰ってきた旋風児』が、昨日、風野さん原作の探偵劇画を読んでいて連想した『銀座旋風児』の続編。小林旭は「渡り鳥シリーズ」が有名だが、『銀座旋風児』の方がノーテンキ度が高い。まだ銀座を都電が走っていて、古めかしいパトカーが走り回っている。こんなイメージは、どことなく二階堂黎人さんの新本格ミステリのようでもある。
     その後は、原稿を書きながら、今月から加入した「フジテレビ721」で、F1サンマリノGPのフリー走行と予選を観戦。1カ月700円でF1がナマで見られるのなら安いものだ。やはりレースはナマがいい……はずなのに、予選の途中で眠気に負けて居眠り。ハッと気づいたら、予選終了後の記者会見をやっていた。

    04月09日 やっとケーブルネットワークが……

     郵便ポストにケーブルテレビ経由のインターネット接続が可能になったというチラシが投げ込まれていて、早速、電話。夕方6時くらいに説明に来てくれるというので、それまでファミレスに出かけて原稿書き……のつもりだったが、NHK−BS1で、2輪の日本GP。ちょうど500ccの決勝レースが始まるところで、つい見てしまう。すでに125ccと250ccでは表彰台を独占したらしいが、500ccでもノリックが優勝、岡田が3位。やはり日本人が活躍すると、テレビを見ていても、つい、「行けっ!」なんて声が出てしまう。
     ノリックの優勝を確認した後、あわててクルマでファミレスへ。ところが外はすっかり春。天気もいいせいか、近所のファミレスはどこも満席で、やっと3軒目でテーブルを見つけ、2時間ほど原稿。
     6時前に帰宅し、ケーブル会社の担当者の来訪を待っていると、時間どおりに到着。インターネット接続だけでなく、ケーブル電話もセットで加入すると安上がりになるらしいが、電話番号の変更通知を作ったりしている暇がない。とりあえずはインターネットだけでいいかなあ……。
     午後9時からは、原稿を書きながらF1サンマリノGPの決勝レースを観戦。フジテレビの録画中継よりも約3時間早く見られるのはいいですね、やっぱり。ケーブルテレビでなくても、スカイパーフェクTVで見られます。
     とはいっても日本人のいないF1は面白くない。しかも追い抜きはピットストップを利用したものだけ。このあたりがフラストレーションの残るところ。深夜にスタートするCART第2戦でウップンを晴らそうと思っていたら、ペンシルベニア州のナザレスは雪でレースは延期。よかった、これで原稿が進む。

    04月10日 え、エイプリルフールだったの?

     資料を読みながら新作架空戦記小説のプロットを作成中なもので、今日がエイプリルフールだったことにも気づかなかった。
    「写真図説・日本海軍航空隊」(講談社/定価は5,400円なんだけど古書店で8,000円で買ったもの)、「機動部隊」(淵田美津雄&奥宮正武/PHP文庫)、「太平洋戦争」(児島襄/中公新書)、「太平洋戦争と十人の提督」(奥宮正武/朝日ソノラマ文庫)、「日本の航空母艦」(長谷川藤一/グランプリ出版)、「The Carrier War(日米航空母艦の戦い/ライフ・大空への挑戦シリーズ)」、「大空の決戦」(羽切松雄/朝日ソノラマ文庫)などのページをひっくり返しながらWZエディターのアウトライン機能を使ってプロット作り。
    「大空の決戦」の著者・羽切松雄氏の名前を知ったのは、小学六年生のときだったかな。当時、戦記画ばかり描いて「少年ブック」の「小松崎茂の戦記画教室」なんてコーナーに投稿していたぼくは、資料用に小学生のくせして「丸」や「航空ファン」「航空情報」などを愛読していたのだが(ほかにラジオ雑誌も)、「丸」の記事で、同じ静岡県富士市に零戦の撃墜王がいることを知り、母に訊ねたら、富士トラックという運送会社の経営者で知り合いだという。そこで母に羽切氏に会わせて欲しいと頼んだのだが、結局、実現しなかった。もう38年くらい前の話だ。羽切氏は、その後、静岡県の県会議員選挙に立候補して当選。その後も県会議員を長年つづけ、県会議長まで務められていた。

     トップページに書いておいた探求書「男爵〜元祖プレイボ−イ大倉喜七郎の優雅なる一生〜」は、以前、スポーツi・ESPNでCARTレースの解説も一緒にやっていたレース史家のHさんから、貸してくださるとのメールが届く。ありがとうございます。6月頃から取りかかる架空戦記風・仮想レース歴史小説のために、ぜひとも目を通しておきたい本だったので、本当に助かります。ちなみに大倉喜七郎は、幕末に武器商人として活躍し、明治になって大倉財閥を起こし、帝国ホテルやホテル・オークラ、現在の大成建設などの礎を築いた大倉喜八郎の長男。1907年、留学中のイギリスで、イギリス初のサーキットで開催したレースに出場し、2位に入った経歴を持つ日本人初のレーシング・ドライバーで、帰国時に持ち帰ったフィアットのレーシングカーに乗り、川崎競馬場で飛行機と競争したこともある。このクルマを預けてあった自動車修理工場の職工が、夜間、クルマを勝手に乗り回した挙げ句に事故を起こして数名が死亡。これが日本初の自動車での死亡事故となった。
     小説の舞台は1930年代のヨーロッパ。ヒトラーやムッソリーニが国威発揚のためにスポーツに力を入れ、ルセデスとアウトウニオン、アルファロメオなどをバックアップした時代のグランプリレースに、日本からも、自動車(と航空機エンジン)の技術向上のために乗り込む日本人&日本車チームの苦難と活躍を描くもの。以前、「オートコミックGT」という自動車コミック誌に連載した作品をベースに、新たに書き下ろすものだ。推理作家協会賞を受賞した藤田宜永氏の「鋼鉄の騎士」という同時代のグランプリを舞台にした傑作があるだけに、ちょっとやりにくいが、こちらは、よりレースに専念した物語にしたいと考えている。
     先日、取材を受けた「ジャスト・モアイ」の記事原稿がメールで送られてきて、内容をチェック。とくに問題はありませんでした。


    日記一覧に戻る