#142 奇数に賭けた
ルーレットが回った。カラン! 玉が落ちた。「3」だった。
これがツキの始まりだった。キミは、奇数か偶数にしか賭けない。確率は1/2。そのたびに持ち金を全部賭けた。
キミは、その夜だけで3億円を稼ぎ出した。
だが、そのカジノでツキを使い果たしてしまったようだった。キミは、翌日、コースの下見にバイクで出かけたとき、タクシーにはねられ、頭を打った。ヘルメットをかぶっていなかったのがいけなかった。キミは頭蓋骨骨折で、その夜、病院のベッドの上で息を引き取った。
3億円の小切手を握りしめながら……。
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