#140 偶数に賭けた
ルーレットが回った。カラン! 玉が落ちた。「3」だった。
キミは、あっというまに全財産を失っていた。
キミは、かえってさっぱりした気になって、翌日のF3レースに挑んだ。
あきらめの境地がそうさせたのか、キミは、ホットなF3ボーイズのバトルの中で、冷静なレース運びをした。予選こそ10位とふるわなかったが、1台、また1台と先行車をパス。レースが終わったときには、キミが優勝していた。
とたんに、国内F3000チームから声がかかった。2台のマシンを走らせているチームで、キミをセカンドドライバーに採用したいという。体制もしっかりし、そこからは、何人ものトップドライバーが育っている。
ワンマンチームから、きちんと体制の整ったチームに移り、1からやり直してみよう。もう、失うものは何もないんだ。
キミは、そのチームに所属することにした。F1まで何年かかるかわからない。でも、一歩一歩のぼっていけば、きっといつかは……。
キミの目は澄んでいた……。
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