#136 凱旋


 その秋には、ついに、日本でも、インディタイプのオーバルコースが完成し、そこでインディカーのイベントが組まれ、キミが優勝した。
 たった一人の日本人の活躍で、日本でのレースの人気は、F1からCARTインディカーに傾いてしまった。セナやプロストに代わって、アンドレッティ、フィッティパルディ、アンサーJr.などの特集が雑誌で組まれるようになり、CART速報誌まで誕生した。そしてついには、日本の自動車メーカーもCARTへの参入を始めることになった。
 もはや、キミは、F1に移る気はなかった。
「40歳になっても、50歳になっても、インディカーを続けてやる」
 キミは、ライバルのマリオや、A.J.フォイトの顔を見ながら、そう心に誓ったのだった。

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