#123 カエルの霊


 窓にカエルのシルエットが映っていた。それも人間ほどもありそうな巨大なカエルの影だった。
  ガシャーン! 窓が破られ、そのカエルが飛び込んできた。
 そのカエルは、宇宙服を着ていた。同室の仲間たちは、目を覚ます気配もない。
「よくも、私たちの仲間を殺してくれたな……。さぁ、来い」
 カエルが、キミの手を引っ張った。水掻きのついた手は、油でネトネトしていた。
 逃げ出したかったが、身体が動かなかった。カエルに手を引かれて、窓の外に飛び出すと、キミは、空中に吸い込まれた。そこには、巨大なUFOがいた。
「空飛ぶ円盤なんてチームに入ったのが間違いだった……」
 キミは涙を流した。
 キミを乗せた巨大なUFOは、一瞬のうちに小さな光の点となり、地球から宇宙に向けて飛び立った。 「カエルの星にも、F1はあるんだろうか……?」
 窓の外で小さくなっていく地球を見ながら、キミは、そんなことを考えていた。

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