#118 ピットに戻る
キミのマシンはオフィシャルの手でピットに押し戻された。
なかなかマシンが動かない。ギアがスタックし、1速から抜けなくなっていたのだ。
キミは、レースをあきらめるしかなかった。ピットで、他の選手の走りを、指をくわえて見ているしかなかったのだ。
このつまずきがケチのつき始めだった。まるで呪われてでもいるように、このシーズンはリタイアの連続で終わってしまったのだ。
そうすると、スポンサーとなっていた社長夫人の心も離れていった。来シーズンもF3000に出るためには、スポンサーを探さなければならない。しかし、今年の成績では、スポンサーがつくはずもなかった。
キミは、最後の賭けに出ることにした。F3のマカオGPに出るのだ。あそこでヨーロッパから来る選手を相手にして勝てば、周囲の見る目も変わるはずだ。メカトラブルの連続で、リタイアの連続だったとはいえ、F3000ドライバーなんだ。間違っても、F3ドライバーに負けるわけがない。キミは、F3000を売り払うと、F3を1台購入して、マカオGPにエントリーした。
1.続く