#104 哀愁のロングビーチ
キミはディズニーランドに行くのをやめた。初めての公道レースを前に緊張していて、そんなゆとりがなかったのだ。
その緊張が仇になった。神経性の胃炎と腸炎を起こし、吐き気と下痢が一緒に襲ってきたのだ。
すっかり衰弱して、フラフラになりながら、キミは、レースに臨んだ。
コックピットにシートベルトで固定される。ウォームアップに出発すると、マシンの震動が腹に響き、また、吐き気と下痢を催した。それでも我慢していたが、途中で我慢できなくなった。走りながら吐いた。走りながらもらした。途中で意識を失いそうになり、退避路でストップした。
オフィシャルが駆け寄ってきた。しかし、キミの身体から発する悪臭に、誰も手を触れようとしなかった。キミは汚物にまみれて、コックピットの中で意識を失っていた。
以後、レース界では、誰もキミのことを相手にしてくれなくなった。
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