#85 熱砂への脱出
人質はみんなおとなしかった。そのために、監視もさほど厳しくはなかった。
夜――。
キミとアメリカ人の二人は、監視の兵を殴り倒し、倉庫から抜け出した。
入り口に駐車してあったジープに忍び寄る。手入れのよさそうな1台を選ぶと、ほかのジープに積んであたガソリンの缶を、キミたちが使うジープに移した。
残ったガソリンは、他のジープにぶちまけた。追跡できないように焼き払うのだ。
アメリカ人がポケットから出したジッポで、ジープに火をつけた。
ジープが次々と炎上する。監視の兵士たちが騒ぎ出した。
キミは、アメリカ人が助手席に飛び乗ると同時に、ジープを発進させた。
監視兵たちが、ライフルやマシンガンを発射してくる。
キミは、かまわずアクセルを踏んだ。
背後で轟音が起こった。燃えていたジープのガソリンタンクに火が移り、爆発したのだ。兵士たちが吹き飛ばされ、射撃の音も止んだ。
キミは、夜の砂漠に向けてジープを走らせた。
1.続く