#71 社長を突き飛ばして逃げる
キミは、迫ってきた社長を突き飛ばした。
「うわッ!」
社長が声を上げてひっくり返った。そこは社長室である。
ゴキッ!
社長は、後頭部をマホガニーのデスクの角にぶつけ、不自然な姿勢のまま、絨毯の上に倒れ込んだ。
「社長……」
キミは、恐るおそる社長の顔を覗き込んだ。
社長の呼吸が止まっていた。打ちどころが悪くて死んでしまったのだ。
そこに秘書が入ってきて悲鳴を上げた。
「きゃーーーーッ! 人殺しーーーーッ!」
その声で社員たちが集まり、キミは取り押さえられ、警察に引き渡された。
過失傷害致死。懲役5年。それがキミの受けた判決だった。
高い塀の向こうに広がる青い空。その空の向こうから、エキゾーストノートが聞こえてくるような気がした。
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