#42 一人で鈴鹿へ


「これ以上、家族に迷惑をかけることはできない。一人で鈴鹿にいくよ」
 キミは姉に告げた。
「私を独りぽっちにするの?」
 姉の目に涙が浮かんだ。「いやよ、いやっ! 一人にしないでっ」
 姉は、キミの身体の中に飛び込んできた。
 甘美な姉の髪の臭いがキミの鼻をついた。思わずキミは、姉の身体を抱きしめた。
 どうやらキミにも、両親の血が流れていたらしい。キミは、姉の身体を強く抱きしめていた。
「もう、レースなんてどうでもいい……。姉さんと一緒に暮らせるなら……」
 キミは、レースよりも、もっと危険な世界に身を躍らせていったのだった。

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