#21 インに逃げる
インに逃げたキミの目の前に、高校生のマシンがスピンしてきた。
ガシーーーン!
激しいクラッシュ。キミは、マシンとともに草の上に投げ出され気を失った。
「相手の走行ラインを見てなくちゃ駄目じゃないか。その走行ラインを見ていれば、クラッシュはふせげたはずだ」
目が覚めると、ブッチギリの主人に怒られた。
「もう少し、センスがいいと思ってたんだが、俺の勘違いだったようだな。これじゃ、いくら腕を上げても、草レースで優勝できたら御の字だろうな」
主人に言われてキミは、がっくりとうなだれた。
F1のシートは、努力だけでは掴むことはできない。そこに至るステップを着実に上っていくためには、生まれついてのセンスが必要なのだ。キミは、そのセンスの無いのを宣告されたのだ。きみは、F1パイロットになることをあきらめた。
しかし……、このまま、F1の世界をあきらめるのは癪だった。何か方法はないか……? キミは考えた……。
10年後−−。日本GPに湧く鈴鹿サーキットのピット。そこにキミの姿があった。
二流チームのメカニックとして、キミは働いていた。しかし、その腕も次第に認められるようになっていて、一流チームに移籍するデザイナーに声をかけられ、キミも移籍することになっていた。いつかは、自分の手で、チャンピオンマシンを作ってやる。
キミは、新しい挑戦に燃えていた。
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