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インディカーレース小説
『灼熱の走路』
第1部 〈挑戦! インディカーシリーズ〉(1995年10月発売)
第2部 〈激闘! インディ500〉(1995年12月発売)



(有楽出版社・発行/実業之日本社・発売/800円+税)
・日本でF3000レースに参戦していたレーシングドライバーの片桐優作は、独立してチームを持つが、スポンサーの企業が倒産して巨額の借金を背負う。その挙げ句に富士スピードウェイのレースでクラッシュし、生死の境をさまようが、奇跡的に生命をとりとめる。片桐が意識不明の重態に陥っている間に、妻の香織は、借金の返済のために住んでいたマンションと、自分が経営していたマンションを手放した末に、一人息子を連れて片桐の元から離婚して去っていく。
【著者独白】
「いちど挫折した男の復活物語」――この冒険小説の王道をレースの世界で描いてみたいと思ったのが執筆の動機となった。いちど失敗したら、二度と浮き上がることのできないF1や、それに準じたヨーロッパ系レースは、男の復活物語の舞台には似合わない。コースアウトしても再びレースをやり直すことのできるアメリカのレースこそが、男の復活の場所にはふさわしい。そこで私は、主人公の片桐優作を、ためらわずにアメリカのインディカー・シリーズに抛り込んだ。  この作品は、販売体制の問題などもあり、思ったほど売れなかったが、著者としては、最も愛着のある作品であり、かつ、ちょっぴり自信作。
・意識を回復した片桐は、もはやどこのチームからも相手にされず、タクシーの運転手となるが、香織が借金を払い切れずに暴力団の取り立て屋に一夜、身をまかせたことを知り、自棄を起こして暴走する若者の乗った車をクラッシュさせ、交通刑務所に送られる。出所した片桐に、かつて所属していたチームのオーナーが声をかけてきた。アメリカでインディカーレースに挑戦しないかというのだ。日本にいても永久にレースができるチャンスはありそうにない。片桐はアメリカでの再起を決意して、ライセンスを取得するためにカリフォルニアのレーシングスクールに入学、ここからインディカーレースへの挑戦を開始した。
・インディカーの世界には、並みいる強豪ドライバーたち、そして初めてのオーバルコースが待っていた。時速400キロ近い速度の出るミシガン・スピードウェイで大クラッシュし、脳震盪を起こすなどの苦難に遭いながらも片桐は、着実に速さを見につけ、最終戦のラグナセカを迎える……。
・ここまでが第1部。第2部では、阪神大震災の影響で再び苦難に陥った片桐のインディ500決勝レースまでの長く果てしない挑戦を描いている。2巻とも550枚以上の長編で、これを読むと、ホンダやトヨタが参戦するインディカーがどんなものかもわかるはずだ。

"インディカー・CGイラスト・ギャラリー"
イラスト・米田 裕(菅谷充作「灼熱の走路」のカバー、本文イラスト)



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