2008年06月の日記

2008年6月30日 (月)▼プレ卒論終了&仕事のつづき

 あ、早稲田大学人間科学部eスクールの授業も、きちんと受けています。今期は卒業研究以外の専門科目は3科目だけなので、日曜日の深夜24時に受講を開始し、月曜日の朝までには受講を終え、毎回の課題も提出しています。

「ライフコース論」「障害者自立生活論」「情報メディア教育論」の3科目を受講していますが、どれも興味を惹かれるトピックが多く、卒論とは別に研究してみたいテーマでもあります。

2008年6月29日 (日)仕事中……

 なれど、明日が「プレ卒論」の締切なので、そちらの追い上げも。

2008年6月28日 (土)また引き籠もってます

 デジタルペンが届いたりしながらも、あとは、ひたすら引き籠もりをして、架空戦記小説を書いてます。

2008年6月27日 (金)▼「バーチャルウォーカー」に『あらし』のマンガ

 本日発売の「バーチャルウォーカー」第2号(角川クロスメディア)に『ゲームセンターあらし』のカラーマンガが掲載されています。国産仮想空間のダレットワールドを舞台にしたマンガです。

 右のカットはマンガの一部ですが、な、なんと、ノーブラボイン撃ちをするインベーダーウーマンの胸にチクビが……!

2008年6月26日 (木)▼MV Penをマウスのかわりに使ってみる

 昨日届いたMV Pen、マウスがわりにも使えるんです。

 しかもですね、空中に浮かせた状態でも使えちゃうんです。

 つまり「空書」ができるってこと。

 仕組みとしては「Wiiリモコン」と同じってこと?

 ブログの方で空書で絵を描いてみましたので、ご覧になってみてください。もちろんヘロヘロです。

2008年6月25日 (水)▼ハイテクデジタルペン MV Penを買った!

『MVPenテクノロジーズ MVPen(エムブイペン) MVP-1』『MVPenテクノロジーズ MVPen(エムブイペン) MVP-1』

 こんなペンを買いました。赤外線と超音波でペンの位置を検知し、メモリーに記憶してくれるというもので、センサーがUSBケーブルでパソコンにつながっていれば、リアルタイムでパソコンの画面に、いま書いている文字や図が表示されます。また、文字はOCRでテキストファイルに変換してもくれます。

 あちこちの通販サイトで売られていますが、値段はどこも同じ12,600円(税込み)。そのなかで送料が無料になることから、結局、Amazonで買ってみました。

 ブログに紹介してありますが、OCRの性能もかなり良好で、けっこう使いものになりそうです。

2008年6月24日 (火)▼インディカーで武藤英紀が2位&らりー・ジャパン

 やった! めでたい! GAORAのテレビが楽しみだ!

 それから北海道の十勝周辺で開催されていたWRC(世界ラリー選手権)の「ラリー・ジャパン」が、今年は札幌方面に場所を移すのだとか。しかもスペシャルステージは札幌ドームで開催されるらしい。

 スポーツ新聞の記事などによると、日本ではドームスタジアムでのモータースポーツイベントは初めてとのことだが、もう10年以上も前に、おいらが東京ドームまで見に行ったモンスタートラックの競技は何だったんだ? モトクロスからバギーのレースまでやってたのに。もっとも公式イベントではなく、エキシビションの扱いで、観客の入りも良くなかったせいか、1回こっきりで終わってしまったけれど……。

 球場でのモータースポーツイベントですと、スーパークロスが神宮球場などで開催されていたことがあります。

2008年6月23日 (月)▼オベ・アンダーソン

 昨日はF1フランスGPがあって、フジテレビ721で見ていたのですが、3位入賞したトヨタのヤルノ・トゥルーリが、F1トヨタ・チームの立ち上げに貢献した元チーム代表のオベ・アンダーソン氏が、アフリカのラリーイベントで事故死したことを受け、腕に喪章をつけていました。

 アンダーソン氏ひきいるトヨタ・チーム・ヨーロッパ(TTE)は、ルマン24時間レースでも活躍しましたが、やはり、なんといっても記憶されてしかるべきは、WRC(世界ラリー選手権)での活躍でしょう。チームとしてだけでなく、アンダーソン氏も世界的なラリー・ドライバーでした。

 F1トヨタチームの代表だったことばかりが採りあげられ、過去の実績がさっぱり報道されないのが、古くからモータースポーツを追いかけている者としては(ラリーには、そんなに詳しくない身であっても)、ちょっと寂しく思ったのでありました。

2008年6月22日 (日)ブログが始まってます

 トップページには記載ずみでしたが、18日から「オタクの電脳blog」というところで「すがやみつるblog」がスタートしました。あちらの書き込みもあって、こちらの書き込み頻度が落ちているところがありますが、どちらもご贔屓に。

「すがやみつるblog」バナーすがやみつるblog

2008年6月21日 (土)オフ会2連チャン

 本日は、夕方から中野に出かけ、古いネット仲間との「オフ会」。10名ちょっとの参加者の中に大学教授・准教授が4名、大学生が2名、高校生(フランス人女子)が1名というアカデミックな集まりで、日本語のほかに、英語、フランス語の飛び交うインターナショナルな集まりでもあった。

 大学院の合格祝いに、お花もいただきました。ありがとうございました。

 そのあとは、早稲田大学人間科学部eスクールのサークル主催の新入生歓迎コンパの2次会へ。ダーツバーに若い人がたくさん。睡眠不足だったせいで、疲れて椅子にヘタリ込んでいました。

2008年6月20日 (金)▼大学院に合格しました

 早稲田大学人間科学部eスクールに入学して3年ちょっとが過ぎ、いまは卒論に向けて研究に取り組んでいるところですが、3年生までの成績で、大学院の推薦試験を受ける資格が得られたもので、それならと受験してみました。

 その結果が、本日、早稲田大学所沢キャンパスで発表になりました。不安と期待が入り交じった気分で確認に出かけたところ、なんとか受験番号が張り出されており、晴れて合格と相成りました。

 あまり寝ていなかったせいもあるのですが、今日、ひとくぎりつけないといけない原稿が、もうちょっというところで少し気が抜け、家に戻るなり、倒れるように寝てしまいました。

 気がついたら夜……。編集者からは連絡がなかったようですが、ひええ、ごめんなさい。目が覚めたあと、必死に、原稿をまとめたのでありました。

2008年6月19日 (木)▼また原稿

 当分、こんな調子です。

 あすは、落ち着いて仕事ができるといいのだけれど。

2008年6月18日 (水)▼仕事は続くよ、どこまでも

 こんどは必死に文字原稿を書いてます。でも、ちょっと落ち着かないことがあって、少し気もそぞろなところもある。精神一到、火もまた涼し……にせねば。

2008年6月17日 (火)▼マンガの原稿、おわり!

 なんとかマンガの原稿が終わった。すぐさま架空戦記小説の原稿にもどる。

2008年6月16日 (月)▼色塗り

 ふう……。だんだん息が切れてきた。

2008年6月15日 (日)マンガの原稿に専念

 ペン入れが終わり、色塗り。オール4色のカラーなんです。

2008年6月14日 (土)マンガの追い上げ

 マンガの原稿にかかる。ペン入れ。久しぶりのでペースが悪い。手がペンに慣れてきた頃に仕事が終わるのがパターン。

2008年6月13日 (金)▼ひたすら仕事

 座りっぱなしで、尻にコケが生えそう。

 最近、我が家で飼いはじめたメダカをながめるのが、仕事の合間の息抜きです。

2008年6月12日 (木)▼仕事してます

 小説とマンガの仕事に追いまくられています。

2008年6月11日 (水)▼ぷらっとホームの本多会長、亡くなる

 夕方、mixiでマイミクが書いていた日記で、ぷらっとホームの本多弘男会長が6日に亡くなったことを知る。

 最後にお会いしたのは5年前。ぷらっとホームが店を畳んでからは、ついぞ会う機会もなかった。

 秋葉原の名物オヤジだった本多さん、8日の通り魔事件のことを、どのように思っていることだろう。
 
 合掌。

(写真は、1985年に、ぷらっとホームの前身、本多通商で購入したパソコン通信用ソフトの画面)

2008年6月10日 (火)▼マンガのネーム完了

 午後、ネームができあがり、編集部に送る。返事が来るまでの間に外出してノートパソコンで架空戦記小説の原稿を書く。

 帰宅後、さらに原稿。

2008年6月9日 (月)▼マンガのネーム

 架空戦記小説の原稿を書き、さらに読み切りマンガのネームに取りかかる……が、夕方、激しい雷雨で、しばしパソコンの作業を中断。雷鳴が遠ざかったところでパソコンの電源を入れると、再び雷雨接近。こんどは、さっきよりもひどい雷雨で、あちこちに落雷が。

 以前、落雷でテレビが壊れ、モデムも壊した経験があったので、ふたたび電源を切る。このおかげでネームの作業が遅れ、翌日にずれ込むことに。

2008年6月8日 (日)秋葉原で通り魔事件/クビサ、優勝!

 昨夜は眠気に負けて、F1カナダGPの予選もQ2まで見たところで沈没。今日になるまで結果を知らず。

 午前中に起きて仕事をするも、途中で眠気に負けてダウン。午後遅くになって起床し、ネットのニュースで秋葉原の通り魔事件を知る。容疑者は沼津から出てきたらしい。気が重くなる事件だ。

 夜、メタボが気になり、Wii Fitを開始。けっこう効くな、これ。

 午前零時からeスクールの授業を受講。午前2時からF1カナダGPを見て、レース終了後、また授業に復帰。午前6時に受講を終える。

2008年6月7日 (土)面接にドキドキ

 今日は朝から早稲田大学所沢キャンパスに出かけ、先生方の面接を受ける。人前で喋るのは平気なのに、面接というものには慣れていないので、もう上がりまくってしまい、自分でも声がうわずっているのがわかる状態。

 途中から少し落ち着いてきたけれど、面接終了後になっても、しばらくドキドキという動機がおさまらなかった。

 借りていた本を図書館に返し、やはり面接に来ていた学友の女性3人と連れだってバスで小手指に出て、駅前のファミレスでランチ。向学心に燃える女性たちの迫力あるトークに耳を傾ける。

 食事後、そのまま帰宅するが、ドッと疲れが出て昼寝。目が覚めると夕方だった。

2008年6月6日 (金)▼Wii Fitを始める

 今年の1月、日本推理作家協会の新年懇親会のパーティーで、恒例のビンゴをやったところ、なんと、いきなりの1等賞が当たり、賞品のWiiとFitをもらってきた。

 でも、Wiiは、すでに1台あったりしたこともあって、ついセットアップを延ばし延ばしにしたままだった。でも、メタボが気になることもあって、本日、ついにセットアップを完了。

 さっそく試してみたけれど、BMIは「25.09」。「25以上」がデブなので、ほんのちょっとデブ状態。これを「24.0」になるよう目標を設定して、まず、フラフープなんてのからやってみたけれど、ほんの2分くらいで背中に汗がジンワリ。ほほう、けっこう効きますね。はたして休まずにできるか?

2008年6月5日 (木)▼雨で予定変更

 ひたすら引き籠もって原稿を書く。

2008年6月4日 (水)▼病院をめぐる旅

 今日は朝から近くの救急指定の総合病院に出かけ、入院していた親類のリハビリ専門病院への転院の手伝い。予約してあった介護タクシーに患者を運んでもらい、こちらはクルマであとからついていく。さすが地元のプロだけあって、介護タクシーの運転手は、混んでいる幹線道路を避けて、裏道を抜けながら目的地へ。

 リハビリ専門病院は、まだ新しく、介護の体制もしっかり整っている。入院の手続きなどをすませ、医師から入院計画の説明を受け、足りないものを買いに出かけたりして、午後になってから帰宅。寝不足だったため、昼寝してしまう。

 夕方に起床し、明け方まで仕事。寝る前に30分ほど早足で歩いてくる。

2008年6月3日 (火)▼今日いただいた本:『文化社会学の視座』

『文化社会学の視座』(南田勝也・辻泉ほか編著/ミネルヴァ書房/2008年5月刊/2,940円)

 今日は、こんな本が贈呈本として届きました。なんだか最近、すごくアカデミック!

 なんでこんな本が……? と思ったら、昨年、大学の教科書として使われる予定だという『デジタルメディア・トレーニング―情報化時代の社会学的思考法 (有斐閣選書 1667)』(富田英典・編/有斐閣/2007年5月/1,995円)という本に、『ゲームセンターあらし』のカットを使わせてほしいと依頼してきた木島由晶氏が、こちらの本でも執筆者になっており、その関係で送ってくださったもののようです。

(『デジタルメディア・トレーニング』は、先日、講師を頼まれた明治大学のゼミでも、テキストとして使われていました)

 木島氏が書かれているのは、『なぜキャラクターに「萌える」のか――ポストモダンの文化社会学』というパート。紀州備長炭を頭に載せた「びんちょうタン」という少女の萌えキャラの存在から稿を起こし、芳賀ゆいのような架空のキャラ、松田聖子のような人造的なアイドルなどについて考察していくもの。伊藤剛さんが『テヅカ・イズ・デッド』で示した「キャラとキャラクター」の延長線上にあるような論文です。

 マンガやアニメ、特撮といったものがアカデミックの場で語られることに違和感を覚えている人も多いらしいのですが(こちらも少し前までは、そうだった)、ここまで来ると、もう手遅れですね。たぶん、かつて文学部で論じられていた文学の役割を、いまマンガが社会学部やコミュニケーション学部といったところで果たしているのかもしれません。

2008年6月2日 (月)▼『デバッグではじめるCプログラミング』(山本貴光・著)

『デバッグではじめるCプログラミング』『デバッグではじめるCプログラミング』『デバッグではじめるCプログラミング』(山本貴光/翔泳社/2008年5月刊/2,604円).............昨日、こんな本が献本として我が家に届いた。著者は知らない人だし、なぜだろうとクビをひねっていた。

 昨年、「コミック・ガンボ」の旧刊で中止になった『サラリーマントレーダーあらし』が、いま、翔泳社が運営する「MONEYzine」というwebサイトで再連載中なのと関係あるのかな……なんてことも考えたけれど、でも確証はない(このマンガを担当する女性は、偶然ですが、高校の大後輩(?)で大学では先輩になるらしい)。

 そうしたら今日、カミサンが、この本が入ってきた封筒を処分しようとして、中に小さな封筒が入っているのを発見し、持ってきてくれた。小封筒の中には手紙が2通。著者と担当編集者からのものだ。

 著者、編集者とも、26年前に上梓した拙作『こんにちはマイコン』を読んでパソコンにめざめた世代で、この本を書くにあたって念頭にあったのも『こんにちはマイコン』だったとのこと。

 著者は慶應義塾大学を卒業後、ゲームメーカーに就職してゲームを作り、現在は、哲学関連の本なども書きながら、専門学校でゲームのプログラミングを教えているらしい。

 いまの若いゲームプログラマー志望者たちは、最初から高性能のコンピューターで大規模なゲームをプレイしていたせいか、いざゲームを作ろう、プログラムを組もうとしても、どこから手をつけていいのかわからないという人が少なくないのだとか。

 そこで『こんにちはマイコン』時代のようなキャラクターベースのゲームをつくる解説書を書くことにしたという。しかも、サンプルプログラムには、最初からバグが仕込まれていて、このバグを退治していくことでプログラミングのスキルを上げていくスタイルになっている。

 そういえば『こんにちはマイコン』も、〈あらし〉たちは「SYNTAX ERROR」に悩まされながらプログラミングを進めていったものだった。 著者は、そんな『こんにちはマイコン』のトライ&エラー(試行錯誤)なやり方に共感を抱いてくださっていたらしい。

『こんにちはマイコン』が生んだたくさんの波紋のひとつをお目にかけたいと思い、敬意と感謝の念とともに送らせていただく次第です。

 手紙は、こんな文章で締めくくられていたが、なんだか面はゆいやら恥ずかしいやら。でも、「学習マンガ」をテーマにした卒論を、ふうふうと呻吟しながら書いているところだったので、ちょっとドリンク剤でも飲んだような気分になりました。どうもありがとうございました。

2008年6月1日 (日)本の買い出し

 午後、喫茶店をハシゴして本を読みつつ新宿方向に向かい、紀伊國屋書店とジュンク堂書店で本を購入。

 買ったのは以下の本。

『School Rumble Vol.1 (1) (少年マガジンコミックス)』『School Rumble Vol.1 (1) (少年マガジンコミックス)』(小林尽/講談社/2003年5月刊/410円)........『漫画をめくる冒険』で採りあげられていたマンガ作品だが、図版が小さく、よくわからなかったため、買ってみた。「週刊少年マガジン」は、たまに買っていたけれど(「『仮面ライダー』を作った男たち」なんて作品が掲載されたとき)、この手の絵柄のマンガは、団塊の尻尾世代には、ちと苦手。「ラーメン屋においてある「マガジン」を開いたときでも、目を通したことはなかった。でも、きちんと読まないで印象批評だけするのも嫌なので、とりあえず1巻目だけ買ってきたのだけれど、なんだよ、メチャクチャ絵がうまいじゃないか(流行系の絵だけれど)。しかも面白い。
 ただ、「漫画をめくる冒険」で、これを採りあげるのは、ちょっとアンフェアな気もしないでもない。その理由は、この作品が「ギャグマンガ」だから。「ポリフォニー(多声化)」的な表現になっていることを期待して読んでみたのだけれど、確かに、そのような表現はあるけれど、少女マンガで使われている「内声」の表現と大差ないように思う。
 ネーム(セリフ)の書体が目まぐるしく変わるが、ここぞというところだけに絞った方が効果的ではないのか。この作品だけでなく、「少年マガジン」の掲載作品のなかで、最近、読んでいて疲れるのは、この、ネームの数が多く、また、吹き出し一杯までネームを大きくし、しかも肉太のフォントを使うことが関係しているのではないか。吹き出しに多少の空白部分がないと、息が詰まるような印象を受けるのだけれどなあ。
 それから、この『School Rumble』もそうなんだけれど、「5W1H」が「瞬時に」わからない。「わかりやすい」のもマンガの特性のはずだが、読者の側に強いリテラシーを求める作品が増えている。「マンガのチカラ」(売り上げといってもいい)が衰えている要因のひとつは、このあたりにあるのではなかろうか。


 ほかに、以下のような本も……。

『マンガ批評の新展開』『ユリイカ(6月号)――マンガ批評の新展開』(青土社/2008年5月刊/1,300円)........マンガは「大衆」(そんなものが現在もいればだけれど)のもとから遠くに飛び去っている。


『東大オタク学講座 (講談社文庫 お 103-1)』『東大オタク学講座 (講談社文庫 お 103-1)』(岡田斗司夫/講談社文庫/2008年5月刊/820円)........「電脳オタクBlog」のスタート前に、ちょっと勉強を……。


 読了したのは、こちらの本……。

『隠された昭和史 マッカーサーが探した男』『隠された昭和史 マッカーサーが探した男』(香取俊介/双葉社/1998年11月刊/絶版の模様)..........先週、早稲田大学中央図書館に卒業研究に必要な本を借りにいったとき、書架の間を巡回中に目に止まり、借りてきた本。昨日、読みはじめたら止まらなくなって、一気に読了した。

 浜本正勝。明治38年(1905)、北海道生まれ。父は広島県出身で、ハワイ移民の経験を持っていた。さとうきび農園で働いていた父は、労働争議の指揮をとったことで職を失い、オアフ島で漁師になった後、嵐で船も網も失い、無一文になって妻の親戚を頼って北海道に戻ってくる。そこで生まれたのが正勝だった。

 浜本の両親は、子どもを連れて再びハワイに渡り、こんどは魚の養殖で成功する。

 地元の高校に通った浜本は、ハーバード大学に合格してボストンに渡り、ここで卒業までの4年間を過ごす。政治経済学を優等の成績で卒業した後は、自分の祖国でもある日本に渡り、まず1年間、慶應大学で学ぶ。ここで学んだのは、江戸文学だった。日本を知りたかったためである。

 つづいて浜本は、服部精工舎を経て、日本GM(ゼネラル・モータース)に職工として就職する。自動車のメカニズムを学ぶためには、職工になるのが一番と考えたからである。しかしハーバード出身の浜本を会社側も放ってはおかず、すぐに出世の階段を駆けあがっていく。当時、日本にはフォードの工場が横浜に、GMの工場が大阪にあって、どちらも部品をアメリカから輸入するかたちでの現地組み立てをおこなっていた。

 これでは国産車の技術が進歩しないため、陸軍が国産メーカー優遇措置をとり、アメリカメーカーには部品に高額の関税を加えるなどして圧力を強めてくる。やがて日中戦争がはじまり、日米間の情勢が焦臭くなってくると、米国車の日本国内での販売も不可能になり、浜本はGMの責任者として満州に渡って自動車の売り込みに奔走する。昭和16年12月8日、日米開戦を知ったのは、満州の奉天においてであった。

 あわてて帰国したが、当然、敵国の自動車会社は接収されてしまい、職を失ってしまう。

 そこで浜本は、何か日本のために役立てることはないかと考え、陸軍に志願する。英語が使える占領地で通訳などとして働けないかと考えたのだ。米国企業で働いていたことから最初は警戒されたが、陸軍の自動車学校に出向き、自動車修理の技術を教えていたこともあって、希望がかない、アメリカの植民地だったフィリピンに向かう。

 ここでは東条首相の通訳をつとめたりしたあと、日本の後押しで成立したフィリピン共和国のラウレル・フィリピン大統領の特別補佐官となり、日比間の調整役を担当する。ラウレル大統領には絶対的な信頼を得て、片時も離さずそばに置かれるような状態となった。

 やがてフィリピンに、「アイ・シャル・リターン」の公約を果たすべく攻め寄せるマッカーサーの軍が迫り、浜本はラウレル大統領や新任のフィリピン防衛司令官・山下奉文大将らとともに、マニラを捨て、ルソン島の北部山岳地帯に逃れる。ここで敗戦を迎えたとき、浜本は伝染病にかかり、瀕死の状態だった。それを救ってくれたのは、進駐してきたアメリカ軍の指揮官で、ハーバードの後輩だった。

 マニラに連れていかれた浜本は、捕虜収容所に収容され、山下大将の軍事裁判で通訳を担当する。山下大将の死刑判決後、その他のBC級戦犯の証人として出廷した浜本は、まもなく「戦前からマニラに住む商人」であるとして捕虜収容所から釈放され、帰国を許された。なぜ「商人」になったのかは不明であったが、収容所長をしていたドイツ系の軍人に、ドイツ語が堪能な山下大将が口添えしてくれたのではないか……と、浜本は後に述懐していたらしい。

 帰国後、極東裁判に提出される東条英機大将関連の書類の作成に従事。さらに大沢商事でビジネスを開始した頃、アメリカ国務省の役人から、フィリピンでマッカーサーが浜本を探していたことを知らされる。すでに時効になっていたため逮捕されることはなかったが、もし、フィリピンに残っていたら、戦犯になっていた可能性があったらしい。

 浜本は、戦後、大沢商事の一員として、国際ビジネスの先頭に立ち、恩義のあった服部精工舎がIT分野に進出するときも、アメリカのベンチャー企業との間で、さまざまな交渉を取りまとめていく。ボストン訛りの英語とハーバード仕込みの交渉術が、彼の武器だった。

 1996年5月、東京の九段会館で山下奉文大将に縁のあった人たちが集まる巨杉会という会が解散した。その会に出席した浜本は、半年後の同年11月、脳溢血で倒れ、そのまま人生を終えた。享年91歳。このような人物こそが、真の国際人ではなかろうか。

 昨年、eスクールで「異文化間教育論」を受講したとき、課題のブックレポートには『マレーの虎 ハリマオ伝説』という本を選んだが、もし、この『マッカーサーが探した男』を先に読んでいたら、こちらの感想をレポートに書いたかもしれない。


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