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■ 06年06月下旬の日記

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06月21日(水)▼DVDで映画を見る

 深夜、昨日届いた映画のDVD2本を見る。
『恐るべき子供たち (トールケース仕様)』(DVD)(ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品/アイ・ヴィー・シー/2003年11月刊/3,990円)と『マンハッタンの二人の男』(DVD)(ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品/紀伊國屋書店/2005年9月刊/3,990円)の2本。

『恐るべき子供たち』(アンファン・テリブルですね)は、まだ若かりし頃(十代の終わり)にジャン・コクトーの原作を読んでいるが、内容は憶えておりません。たしか、石原慎太郎の『太陽の季節』に触れた評論か何かで、この作品に対比される形で『恐るべき子供たち』が採りあげられていて、ちょっと興味をもって文庫を買ったように記憶しています。あまり面白いとは思わず、半分くらいで投げ出したんじゃなかったかなあ。ただ、その後、竹宮恵子さんの『風と木の詩』とか萩尾望都さんの『トーマの心臓』を読んだとき、唐突に、『恐るべき子供たち』の題名が脳裡に思い浮かんだことも憶えています。たぶん、この作品に出てくる「リセ」というフランスの学校制度が(その制度について、理解していたわけではありませんが)、竹宮・萩尾両氏のマンガ作品に出てくる寄宿学校制度(ギムナジウム)から連想されたのかもしれません。

 とりあえず今回は、ジャン=ピエール・メルヴィルの長編第2作ということで、しかもゴダールやトリュフォーたちが影響を受けた作品でもあるということで、DVDを購入してみたわけでありますが、メルヴィルらしさは映像の面にしか出ておりませんでした。そもそもこの映画、メルヴィルの長編第1作『海の沈黙』を見たコクトー本人が、メルヴィルに直接映画化を持ちかけ、みずからシナリオを書いた作品だとか(『海の沈黙』は、第2次大戦中に秘密出版されたレジスタンス小説を映画化した作品ですが、日本ではWOWOWで一度放映されたことがあるそうですが、そういうわけで、もちろん未見。しかたがないので、ストーリーだけでもわかれば……と、岩波文庫の原作を買いました)。

 しかし、映画『恐るべき子供たち』は、発端から違和感バリバリです。「リセ」というと日本でいえば高校生くらいのはずですが、この映画の冒頭、雪玉を投げ合うシーンに登場するリセの生徒たちは、半ズボンこそ履いているものの、全員が、どう見ても20代、主人公などチョット見には30代で、ものすごい無理がある。しかし、DVDについていた解説を読むと、この作品のような性的なイメージのある作品、あるいは暴力的なイメージのある作品への未成年の出演はタブーだそうで、そのため、このように、大人が思春期の少年を演じることになっているのだとか。日本製バイオレンス映画の『バトルロワイヤル』も公開禁止になっている国が多いのは、このような事情によるものだそうです。

 ちょっと妖しい思春期の男女4人の行動を描いた作品ですが、やはり、ここは、もう少し「少年&少女」の雰囲気の残る俳優陣で行ってほしかった……というところでしょうか。でも、この映画を見つつ、やはり竹宮恵子&萩尾望都さんのマンガを思い浮かべてしまったのですが、いま検索したら、あれま、萩尾さんが『恐るべき子供たち』をマンガ化しているんですね。ああ、これは、お似合いかも……と思ってしまいました。機会があれば、こちらも読むことにしてみます。

 というわけで『恐るべき子供たち』は、シナリオもコクトー自身の手によっているせいか、メルヴィルらしさは感じられません。しかし、もう1本の『マンハッタンの二人の男』(1958年公開)は、その後のメルヴィルらしい映画の萌芽がたくさん見られます。

 こちらの作品は、ニューヨークの国連本部で開催されていた会議に出席するはずのフランス代表が姿を見せず、AFP通信社の記者モロー(メルヴィル本人が演じている)が行方を捜すことになります。モローが手を借りたのは、カメラマン(今ならパパラッチという表現が適当なスキャンダル専門のカメラマン)のデルマス。そうした裏事情に詳しいデルマスは、フランス代表が交際していたとおぼしきニューヨークの女性たち(女優や歌手)の存在を教え、二人で、そんな女性たちを訪ねて歩きます。

 このフランス代表は、二人が訪問した女性の一人のアパートで、心臓発作を起こして死んでいるのが二人によって発見されます。モローは、フランス代表と大戦中にレジスタンス活動の同志だったAFPの上司の判断に従い、スキャンダルを隠す手助けをします。しかし、パパラッチのデルマスは、フィルムを持ったまま行方不明になり……という内容。物語の発端から終わりまで、12時間くらいのできごとです。

 画面はモノクロで、マンハッタンでのロケが多く、地下鉄内のゲリラ撮影部分などが、後のヌーヴェル・ヴァーグの監督たちに影響を与えたのだとか。

 メルヴィルは、第二次大戦中、本人がレジスタンス活動に身を投じていたこともあってか、長編デビュー作の『海の沈黙』や、そのものズバリのレジスタンス映画『影の軍隊』はもちろんですが、この映画でも、最後の作品となった『リスボン特急』でも、あるいは他のギャング映画でも、何らかのかたちでレジスタンス活動に関係を持つ登場人物が出てきます。

 おもしろいのは、レジスタンス活動が必ずしも正義の活動ではなく、本来なら一般市民だったはずの男たちが、レジスタンス活動に身を投じたことにより、武器を持ってナチスと戦うという血が沸き起こるようなスリルを体験。その結果、戦争が終わっても日常の生活に戻れなくなった……あるいは戻っても、その生活に馴染めず、再びドキドキするような体験=犯罪に手を染める……といったシチュエーションが特徴です。レジスタンスという非合法破壊活動に手を染めたことで、一方では、日常的に死と接し、あるいは自分や家族の命を守るために見方を裏切り……といった場面から生まれる虚無感、そして、その活動に身を投じていた者同士の「同志愛」。そこにメルヴィルはギャングの生活を投影させてもいきますが、日本でも、「特攻帰り」というシチュエーションにこだわったヤクザ映画があったことを考える、国は変われど、「戦争」は、同じようなものを経験者に与えるのかもしれません。

 というわけで、大学の「フランス文化論」の最終レポートでは、このジャン=ピエール・メルヴィル監督の作品について、レジスタンスとの関係から書いてみたいと思っているのですが、果たして、うまくまとまるかどうか……。まだ授業では出てきていないところだけに、ちょっと不安がありますです。授業で「ヌーヴェル・ヴァーグ」が出てくるのは7月17日からの最終回の授業。その週末がレポートの締切ってわけなので、いまから準備しておかないと、とても無理なわけです。

 仕事の合間に、小説『海の沈黙』にも目をとおしてみます。60ページくらいの短編なので、すぐ読み終えられそうです。そういえば、この小説、第二次大戦中、ナチスドイツ占領下のフランスで、レジスタンスによって「深夜叢書」という名前で発刊された地下出版物のうちの1冊なのですが、1960年代後半、五木寛之氏が「週刊朝日」に連載した『深夜草紙』というエッセイのタイトルも、確か、この「深夜叢書」がヒントになっていたんじゃなかったかなあ……。

06月22日(木)▼というわけで仕事

 必死に仕事をしています。

06月23日(金)▼同じく仕事

 変わりばえしません。

06月24日(土)▼『日本の名レース100選』にコラム

 本日発売の『日本の名レース100選』(インターTEC特集号/三栄書房)にコラムを書いています。第1回インターTECに監督として参戦しながら、スピードウェイの近くで故障車のお守りをしていたという情けない思い出を書きました。

06月25日(日)▼ジャック・ヴィルヌーヴ、CDデビュー

 F1ドライバーで、いまBMWチームに所属するジャック・ヴィルヌーヴが、音楽CDでデビューしました。

  http://www.myspace.com/jvofficial

 こちらでプロモーションビデオが視聴できますが、いい仕上がりになってます。

 1992年F1日本グランプリが終わったあと、鈴鹿サーキットで、当時、全日本F3を走っていたジャック(やF3000を走っていた故ジェフ・クロスノフなど)とカラオケをしたことがありますが、ここでジャックは、プレスリーのモノマネで「監獄ロック」を聴かせてくれました。低くて太い声(もちろんマネしたもの)は、プレスリーにそっくりで、意外な芸に驚いたものです。

 でも、今回のCDは、とてもさわやか系。これも結婚したせいでしょうか。

06月26日(月)▼「ちくま」に対談掲載

 たぶん書店に行くと無料でもらえるのではないかと思う筑摩書房のPR誌「ちくま」7月号(いちおう税込み100円)で、文筆家兼編集業の竹熊健太郎さんと、『今、マンガ評論がおもしろい!』という対談をしています。書店で見かけたら、ぜひ、お手にとってみてください。

 ベクトルが同じ方向を向いているせいで、論争などは皆無。話すことに慣れている竹熊さんが、こちらの数倍は話しています。こういうのって、遠慮してたらいけないのだなあ……と実感いたしました(^_^;)。

06月27日(火)▼打ち合わせとパーティーと

 今日は午後から六本木ヒルズの高層階にあるオフィスで打ち合わせ。梅雨の合間にピーカンの快晴となって、東京タワーはもちろん、お台場あたりまで見とおせる。なんとなく観光気分でありました。
 打ち合わせのあとは新橋の第一ホテル東京に移動し、日本推理作家協会の授賞式。今回の長編賞は恩田陸さん。新入会員となった阿川大樹さんを先輩作家、編集者に紹介……といってもこちらが知っているのは一部なので、鈴木輝一郎さんに助けてもらう。鈴木さんは、こういうとき、非常に面倒見がいいのです。
 パーティーのあとは阿川さんとゴールデン街に行き、2軒ほどハシゴして帰宅。

06月28日(水)▼i-revoゲームにコラム掲載

 描き下ろしの新作『ゲームセンターあらし』が掲載されているエンターテインメント系ポータルサイト「i-revo」のゲームサイトに、書き下ろしのコラムが掲載されました。高橋名人に次いで2人目の登場です。

06月29日(木)▼ひたすら原稿

 特記事項なし。ほかに大学のレポートも重なっていて、パッツンパッツン状態なんです。当分、捜さないでください。

06月30日(金)▼ひたすら原稿

 特記事項なし。ほかに大学のレポートも重なっていて、パッツンパッツン状態なんです。当分、捜さないでください。


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