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■ 05年12月下旬の日記

21日 22日 23日 24日 25日 26日 27日 28日 29日 30日 31日

12月21日(水)▼課題提出

 メールで仕事の打ち合わせが多数。夜になってから「エジプト文明論」の課題のための読書を再開し、明け方になってからレポートを書き始め、えいやっと提出。これで気がかりがひとつ減った。

12月22日(木)▼打ち合わせと忘年会と

 今朝は寝たのが午前10時。午後2時前には起床し、西武池袋線〜都営地下鉄大江戸線経由で新宿都庁前駅まで。午後4時に某所を訪問し、来年の仕事に関する打ち合わせ。熱を込めて喋っていたせいか、ハッと気づいたら午後7時直前。今日は午後7時から高校の同級生との忘年会だってのに……。
 あわてて会議を切り上げ、山手線で原宿へ。忘年会場は原宿駅前にある老舗の中華料理店。パリの自動車メーカー本社に出向している同級生の一時帰国に合わせた忘年会で、国家公務員やら大学教授やら大企業社員やらの同級生が参集。にぎやかに食べて飲み、二次会は近所のカラオケ店へ。年代が年代なので、カラオケといえばGS(グループ・サウンズ)にフォークソングに加山雄三に……。
 午前零時近くにお開きとなり、原宿駅から山手線に乗ろうと思ったら、電車がさっぱり来ない。10分以上待って、やっと来たと思ったら、寿司詰めの満員で乗れそうにない。3本見送って、やっと身体を押し込むことができた。
 新宿で総武・中央線に乗り換えようと思ったら、ここでも1本目は見送り。次の電車に乗り込んだが、もう身動きがとれない。中野までは乗降客も少なかったが、次の高円寺でどどっと乗客が降り、その流れに押されてホームに。ここで降りたのが100年目。再び混んでいる電車に乗るのがイヤになって、ここで下車して馴染みの店に。結局、2軒ハシゴして、朝、始発電車+タクシーでの帰宅となりました。

12月23日(金)▼至福の読書タイム

 しばし時間ができたので、読みかけたままだった『覇権の標的』(阿川大樹)の封印を解く。仕事や授業が忙しいときに読みはじめると大変なことになりそうな予感があったので、一段落するまで封印していたのだが、その予想はピッタシカンカン。読みはじめたら、やめられない止まらない。
 途中、急ぎのサイト更新が飛び込んできたため、しばしの中断があったものの、その後は必死に読書。結局、徹夜となりました。
 この小説、帯には「ハードボイルド」と謳われているが、このコピーには、ちょっと意義あり。「ハードボイルド」は、「魂」の問題ではなく、文体を含めた「様式」でもあるからだ。ただし、面白さには意義はない。翻訳小説に多い多視点型のタイムリミット・サスペンスで、マイクル・クライトンの最先端情報サスペンス作品を彷彿とさせるところがある。最後のオチは、こうなったらいいのに……と思っていたとおりになってビックリ。でも、読後もさわやかで、カタルシスもいっぱい。ハリウッド映画の原作みたいでもあり、満足できた1冊でした。

■今日届いた本
『牛若丸は名探偵!―源義経とタイムスリップ探偵団』『牛若丸は名探偵!―源義経とタイムスリップ探偵団』(楠木誠一郎/講談社・青い鳥文庫/2005年12月刊/704円)........ジュブナイル向け歴史ミステリーシリーズの最新作。作者の楠木誠一郎さんからいただきました。刊行ペースも快調で、子どもたちの人気も上々。この調子でいけば、『ズッコケ探偵団』をしのぐ長寿シリーズになるかも。

12月24日(土)▼磐紀一郎さん生誕記念パーティー

 今日は、夕方から中野で、毎年恒例の時代小説作家・磐紀一郎(石津嵐)さんの生誕記念パーティー。もちろん、それは口実で(?)、なかなか会えない人たちが年に一度くらいは集まろうという会で、もう40年ちかくもつづいている。ボクが出席しはじめてからだけでも30数年になる。
 今日は、わが家は家族全員で出席。吉祥寺のユザワヤで買い物をすませ、早めに中野に着いたので、衆議一決して中野ブロードウェイの地下で、名物のソフトクリームを食べる。とはいえ寒い季節なので、3種類の小(220円)にしておく。さすがに特大の8種類(300円)を食べる根性はない。
 ソフトクリームで冷え切った身体のまま宴会の会場へ。和食の店で、ビールを飲みながら、ワイワイガヤガヤ。家族は先に帰り、こちらは高円寺の飲み屋へ二次会に。ここに飛び込みでゴスペル隊がやってきて、ライブでハッピーバースデーやらクリスマスソングやら。
 二次会は早めに脱出し、別の店のクリスマスパーティーに顔を出し、深夜、タクシーで帰宅。これで年内の忘年会などは、すべて完了。明日から仕事に専念します。

石津嵐さん
 中野ブロードウェイ名物のソフトクリーム。これは小の3色で220円。特大は8色まであり300円。
石津嵐さん
 67歳の誕生日を迎えた磐さん。
宮本昌孝クンと
 時代小説で奮闘中の宮本昌孝君。
石黒昇さんと
 虫プロ出身のアニメ界の重鎮・石黒昇さん。最近、アニメの現場仕事は若い人にまかせっぱなしだとか。
鈴木良武さんと
 同じく虫プロ出身の脚本家・鈴木良武さん。

12月25日(日)▼仕事に専念

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 今日は、起き抜けからひたすらマンガの仕事に専念……のはずが、先日届いたオモチャにハマり、ああ、やめられない、止まらない。必死に中断して仕事にもどる。
 ちなみに、このオモチャ、来年2月に発売だそうで、一部のネットショップでも予約を受け付けているようです。

12月26日(月)▼『マンガでわかる小説入門』アマゾンで売り切れ

 12月18日(日)、朝日新聞朝刊読書欄の「著者に会いたい」というコーナーで、わたくしめと『マンガでわかる小説入門』が採りあげられて以来、1万位以下まで落ちていたアマゾンの売上ランキングが急上昇。こちらがチェックした範囲での最高位は105位だったが、一時的に2桁にも入っていたらしい。さすが朝日新聞である。
 紀伊國屋書店やジュンク堂でも売り切れになったが、すぐに追加注文してくれたらしい。ありがたいことである。
 こちらは、来年早々が締切のマンガのネームに着手したものの、久々のマンガの仕事でカンが取りもどせない。1ページに入るネームの分量などは、大量にマンガを描いているときは、ネームを入れる腕の筋肉細胞に染み込んでいたような感じだったが、いまは、まるでダメ。7ページのマンガのネームができずに悪戦苦闘。
 悪戦苦闘の合間に、磐紀一郎さんから頼まれていた日本語ワープロ「オアシス」の文書フロッピーを、パソコン用のテキストファイルにコンバート。磐さんは、愛用の「オアシス」がついに壊れ、富士通も「オアシス」の後継機を販売していないため、泣く泣くWindows XPパソコンを買ったのだが、オアシス文書フロッピーが読み込めずに困っているとSOSがあったもの。
 パソコン通信時代に入手してあった「オアシス→MS-DOSファイル変換」のフリーソフトが手元にあるため、このような作業もできるのだが、このソフト、フロッピーディスクドライブが必需品。古いパソコンがあるので、こんな作業もできるが、あと数年もしたら、うちのパソコンも粗大ゴミになりそうな気配。そうなったらコンバートもできなくなる。こうして文化資産がまた消えていく……ってのは大げさ?

12月27日(火)▼まだネームができない

 パソコンのエディターでネームを打ち込んでいるのだが、この方法だとネームの文字数が多すぎて、7ページには入りきれない。うーん……と悩んだ挙げ句にパソコンでネームを打つのはヤメにして、深夜、ファミレスに出かけて手書きでネーム。なんとか大まかな構成が見えてくる。
 昼間、注文してあった本が届いていたが、読んでいるヒマはあるのか……?

■今日届いた本

洋書『The Plot Against America』(Philip Roth/Vintage Books/2005年9月刊/1,578円)........2004年にハードカバー版が出たフィリップ・ロスの最新作。しかも内容は「仮想戦記」。1940年、小学生だったフィリップ・ロス自身や家族(ユダヤ人)の生活ぶりを紹介するところから物語はスタートする。この年、大統領選挙で、2期連続で大統領をつとめたフランクリン・ルーズベルトが敗れ、かわりに孤立主義者として名高いチャールズ・リンドバーグが大統領に就任する。ナチスと親しかったリンドバーグは、ドイツと同盟を組み、そして、アメリカ国内でもユダヤ人狩りが始まる……という物語で、(ぼくが書いているような)日本の新書ノベルス版架空戦記とは、一味(ひとあじ)も二味(ふたあじ)も違う。もちろん原書なので、読み終わる前に翻訳が出るのではないかと半分期待しているのだが、果たして……?

『トラヴェルズ―旅、心の軌跡〈上〉』『トラヴェルズ―旅、心の軌跡〈上〉』(マイクル・クライトン/ハヤカワ文庫NV/2000年11月刊/819円).......クライトンの作品は、ほとんど読んでいるのだが、エッセイだったせいか、この作品は読みのがしていた。

『トラヴェルズ―旅、心の軌跡〈下〉』『トラヴェルズ―旅、心の軌跡〈下〉』(マイクル・クライトン/ハヤカワ文庫NV/2000年11月刊/819円)........上に同じ。このほかに何冊か日本人作家の小説を購入しているが、そちらはナイショ。

12月28日(水)▼ネームの直し

 昨日の深夜、手書きで入れたネームをパソコンのエディターに打ち込み、PageMakerでコマ割り。それをプリントアウトしたものに鉛筆で人物の当たりや背景のラフを入れ、FAXで送信。すぐに返事が来て、内容で勘違いしていたところを指摘される。知っていたことなのに、完全に失念していたこちらのミス。すぐにデータを調べ直して、修正に取りかかる。

12月29日(木)▼カミサンの誕生日は回転寿司

 午後、ネームの直しを送り、なんとかOKをもらう。これで本番原稿に取りかかるのだが、締切は1月4日。正月休みなんかないぞ。
 夕方、カミサンと近所にできた回転寿司店へ出かけ、カミサンの誕生日祝い。毎年、この日は、お台場の方で大きなイベントがあり、残る家族が出かけてしまうため、カミサンの誕生記念パーティーは、たいてい2人だけ。昨年は吉祥寺まで出かけてフグを食べたのだが、今年は仕事や大学の課題を抱えているため、近場ですませたもの。帰宅後、「認知心理学」に目をとおす。

12月30日(金)▼年賀状づくり

 昼過ぎに起床し、マンガの下絵を3ページほど入れたあと、年賀状づくりに取りかかる。例年は年が明けてから作業するが、今年はマンガの仕事があるので、少し早めに片づけることに。レーザープリンターが不調なためインクジェット・プリンターで印刷したが、時間のかかることかかること。プリンターも、そろそろ買い換えどきかもしれない。

12月31日(土)▼ランニングで郵便局へ

 昨日、印刷した年賀状を出しに郵便局までジョギングで出かける。そのまま走り続け、最寄り駅ちかくの新刊書店と古書店に寄って本を数冊購入。正月休みもないので、すぐに読めるわけではないのだが、昨今の書籍流通事情では、読みたいと思った本は、その場で買っておかないと、いつまた手に入るかわからないので。
 買い物のあとは再びランニングで帰宅。夕食は、毎年、大晦日恒例のすき焼き。紅白歌合戦を見ながらマンガの下絵を開始。

■今日、買った本

『演技と演出』『演技と演出』(平田オリザ/講談社現代新書/2004年6月刊/735円)........今年は「教え」について考えることが多くなりそうで、ふと、こんな本が参考になるのでは……と思って購入。パラパラと拾い読みしただけだが面白そう。

『コーチングの技術―上司と部下の人間学』『コーチングの技術―上司と部下の人間学』(菅原裕子/講談社現代新書/2003年3月刊/735円)........これも「教え」について考えるための本。もちろん「教えは学びの半ばなり」であるのは当然。

『日本の公安警察』『日本の公安警察』(青木理/講談社現代新書/2000年1月刊/756円)........あれこれ構想している作品の参考に。

『参謀本部と陸軍大学校』『参謀本部と陸軍大学校』(黒部耐/講談社現代新書/2004年3月刊/756円)........これまで架空戦記では海軍について書くことが多かったのだが、あらためて陸軍のシステムについて考えてみたくなって購入。フィリップ・ロスの『The Plot of America』を読みかけているのだが、これを自分に置き換えたら、どんな「仮想戦記」「仮想伝記」ができるだろうかと考えてのこと。もちろんぼくは戦後生まれだが、たとえばぼくの父(明治40年生まれ)は、陸軍幼年学校出身で、軍縮の時代に遭遇していなかったら、そのまま士官学校や大学校にも進んだ可能性がある。もしもそうなっていたら年齢的にも、死ぬまで変わらなかった陸軍下士官タイプの精神構造的にも、2・26事件あたりに関連していた可能性もある。幼年学校のシステムについても調べていく予定だが、当時のシステムからすると、貧乏農家の次男だった父だが、学業優秀だったというのは本当だったのだろう。そうでなければ幼年学校に推挙されることはないからだ。

『モジリアーニ・スキャンダル』『モジリアーニ・スキャンダル』(ケン・フォレット/新潮文庫/日暮雅通・訳/1997年1月刊/580円)........ケン・フォレットはファンでもあるのだが、最近は作品が出る出版社が、あちこち移動するため、書店で見つけることが困難で、読みのがしていることが多い。これもそんな1冊。新潮文庫だったのにである。ピンと来ていなかった理由のひとつは、この作品が、『針の目』以前に別名義で書かれた作品のうちの1作だったことだろう。まだ途中までしか読んでいないが、ジェフリー・アーチャーの初期作品を彷彿させるようなところもあり、実に面白い。でも、『針の目』以前に書かれたということは、20代半ばの作品ではないか。ちょっと気分は複雑である。

 ほかにも数冊、時代小説などを購入したが、そちらは、お楽しみ……ということで。



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