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午前中に起床するが、完全に風邪。今日はおとなしく家に引き籠もることにする。午後、富士宮焼きそばが到着。7日に月島のもんじゃ店「夢や」で食べた富士宮焼きそばの評判がよかったので、お祝いをしていただいたマンガ家・小説家の仲間に贈ると同時に、自宅用も注文したもの。「夢や」では、ポピュラーなマルモ製ではなく、もう少し麺が細いめんの叶屋製の麺を使っていたので、今回は、同じものを注文してみた。富士宮焼きそばには不可欠の肉カスと鰯の削り粉がセットになっているもので、ホームページには掲載されていない商品だ。
さっそく夕食に焼きそばを食べたが、麺のシコシコ感はマルモのものと変わらず、いい感じ。おいしくいただきました。
家に籠もっておとなしく資料読み。プールに行く気にもなれない。困った。
脳出血で倒れた元アシスタントのアパートの片づけ。同業の友人夫妻、別の友人、そして古書店店主に来てもらい、室内の本の処分。3階の部屋から束ねた本を降ろすだけだったが、疲れた……。
小説を1冊読んだあと、『風濤の艦隊』(2)の執筆に取りかかる前に、気分を盛り上げようと資料を読む。自宅にいるとテレビを見たりインターネットをやったりで進まないため、バスに乗って吉祥寺へ。『漫画家BOX』で、たらさわみちさんのグッズを購入したあと、喫茶店をハシゴしながら資料読み。
午後8時過ぎ、高円寺に移動し、ビールを飲みながら資料読み。だいぶ景気がついた。
■今日、買った本
「小松左京原作コミック集」(小松左京・原作/石ノ森章太郎、さいとう・たかを、松本零士ほか/2003年12月刊/1,714円+税)......「くだんの母」(石ノ森章太郎)、「模型の時代」(松本零士)を読みたくて購入。
資料をまとめて原稿に取りかかるが、脳出血で倒れた元アシスタントのマンガ家のことで、あれこれ電話連絡しなければならないことばかり。落ちついて仕事ができない。とりあえず資料もまとめないと……。
……と思っていたら「漫画原稿を守る会」のことでメールマガジンとFAXマガジンの発送をしなければならなくなる。メルマガの送信は簡単なのだが、FAXマガジンで100箇所近くへの同報送信は時間がかかってツライ。
■今日いただいた本
『クリスマスローズの殺人 』(柴田よしき/原書房ミステリー・リーグ/2003年12月刊/1,600円+税)......柴田さんのオシャレで気軽に読めるソフトボイルド長篇書き下ろしミステリー。
『うつけ者は名探偵』(楠木誠一郎/講談社・青い鳥文庫/2003年12月刊/670円+税)......「名探偵」シリーズ第4弾。こういっちゃうとナマイキなんですが、いちおう、児童向けメディアで長年生きてきた人間の目から見ると、楠木さんの筆致もどんどん子供ものに慣れてきて、しかもノリノリです。岩波少年文庫育ちの身としては、ああ、こんな仕事してみたい。
それにつけても講談社の青い鳥文庫のこれからのラインナップ――『時間砲計画』(豊田有恒)、『なぞの転校生』『ねらわれた学園』(眉村卓)、『空中都市008』(小松左京)、『三丁目が戦争です』(筒井康隆)、『ポンコツタイムマシン騒動記』(石川英輔)と、涙チョチョギレものの作品が控えてます。エライぞ講談社、アッパレなり青い鳥文庫編集部。でも、なんで『三丁目が戦争です』の挿絵は永井豪さんじゃないの?
ああ、もう原稿に取りかからないといけないのに、元アシスタントのマンガ家のことで、今日もあれこれ連絡。気がかりなことが多く、つい早起きしてしまうため、連日、睡眠時間は3〜4時間。かなりヘロヘロになっている。病人が生活保護を受けられるようにするため、8月から、あれこれ動きまわってきたのだが、明日、ようやく、決着がつく予定。そうすれば、こちらも安心して仕事ができるのだが……。
12月17日(水) 元アシスタントの件、振り出しに/柴田よしきさんのクリスマスパーティー
今日も睡眠4時間で起床。8月に脳出血で倒れた元アシスタントのマンガ家のことで、友人のマンガ家夫妻とともに、入院のことやら生活保護の申請やらアパートの片付けやらで動きまわってきたのだが、それも今日で一段落する予定。病人が住んでいたアパートも引き払わないといけないため、近所に住んでいた友人のマンガ家夫妻が不動産屋さんを通じて部屋代も精算し(大家さんは、病人のことを気の毒がって部屋代もオマケしてくれた)、残金を預かって病院へ。これを病院に預けたところで福祉事務所に電話し、生活保護のお願いをする。
今月はじめに福祉事務所に行って交渉したときの話から、これで生活保護が受けられるものと思っていたのだが、病人の持っているお金の額が多すぎるという。少しくらい多くても、行政のほうでアパートの片づけなどの費用に充ててくれるものと思っていたら、アパートの引き払いなども、こちらでやるようにとのお達し。残金が10万円を切ったら、また電話しろという。
今日は夕方からミステリー作家の柴田よしきさん主催のクリスマスパーティーがあり、本来なら、病人のマンガ家の生活保護の申請も完了して、ホッと一息ついた状態で出席するはずだったのに、再び暗澹たる気分に逆もどり。
青山の会場ちかくの喫茶店に入り、開始時刻までノートパソコンで原稿を書いたが、どうもノリが悪い。それでも5ページほど書き進め、定刻にパーティー会場へ。今日のパーティーは、柴田さんのファンが集まるメーリングリスト参加者のクリスマスパーティーで、女性が数十人、男は2人だけという両手に花どころか、両手にお花畑の状態。最初に、ぼくのモータースポーツ大賞受賞を祝うコーナーもあって花束までいただいてしまう。お気づかいありがとうございました。
クイズからジャンケン大会、ビンゴまで、イベントがメジロ押しのパーティーで、落ち込んでいた気分もかなり晴れ、いい気分転換になりました。ありがとうござました>柴田さん、幹事の皆さん、出席者の皆さん。で、帰途、電車に乗っているうちに、また昼間のことを思い出し、高円寺で途中下車。いつもの飲み屋で焼酎のお湯割りを飲み、酔っぱらってタクシーで帰宅。睡眠時間を取りたいがために酔っぱらっているような気がする。
酔っぱらって倒れ込むように寝たせいか、久しぶりに7時間の睡眠を確保できた。
午後、元アシスタントのマンガ家のアパートへ。病人は、いまのままではアパートに帰る目算も立たず、おそらく残り一生を病院か施設で過ごすことになるだろうとの医師の診断で、アパートは引き払うことになっていたのだが、引き払いの手続きも、うちと友人のマンガ家夫妻とでやらねばならなくなり、今日は、建設業者に部屋の引き払いの見積もりに来てもらう。
大事な私物はトランクルームを借りて預けるようにと福祉事務所から指示されていたが、一生を病院や施設で送るのでは、テレビやビデオといった家財道具を保管しておいてもしかたがない。マンガ家にとって大事なマンガの原稿と著書、そしてアルバムや卒業証書、マンガ新人賞を受賞したときの賞状などだけまとめると、結局、段ボール5箱ほどに収まってしまう。トランクルームに預けるほどの量でもないので、わが家で預かることにしてクルマのトランクに積んで帰宅。
夜は、預かってきた原稿や著作の整理。ぼく自身は、「漫画原稿を守る会」ホームページの管理などを手伝っていても、自分の原稿に、さほどの愛着を持っているわけではない。貧しい生活から逃れるための手段として、食うため、稼ぐためにマンガ家という職業を選んだことも関係しているのだろう。マンガ家という仕事に執着を持たなかったのも、たぶん、そのせいだ。しかし、預かってきた元アシスタントの原稿を見ると、実に丁寧に描かれていて、彼がアシスタントだった時代、彼から「すがやさんは原稿の扱いが雑すぎる」と怒られたのを思い出したりもした。
最近、仕事が減って、他の仕事をしていたのも知っているが、その合間にも、多数の投稿作品、持ち込み作品を描いていたようで、そんな原稿も残っていたが、それにしても、50歳のヤモメ男の人生が、段ボール箱5つとは……。これも、ある意味、典型的なマンガ家の末路でもある。もちろん小説家だって、さほどちがわない。最近、自由業が人気を集めているようだが、自由業には彼のような終わり方をする者が多いことも知っておくべきだ。実際、彼の見舞いにいったマンガ家仲間は、誰もが彼の姿を見て、「明日は我が身」と思ってしまうため、気分が落ち込み、仕事にならなくなる。これが自由業の現実でもあるのだ。もちろんフリーターという名の自由業も同じはず。
結局、深夜まで元アシスタントのマンガ原稿の整理。気分が落ち込んで小説の原稿が書けず。
アパート引き払いの見積書が出たので、友人のマンガ家が病院に出かけて、費用を預かってくる。溜まっていた病院の精算もすませ、これで今度こそ元アシスタントのマンガ家は生活保護を受けられる……と思ったら、病院のソーシャルワーカーさんから電話があって、福祉事務所の担当者から、高額医療費の払い戻しがあるはずなので、病人の手持ち資金がもっと減らないと生活保護は受けられないと言われたという。なんだか意地でも生活保護を受けさせまいとしているように思えてしまう。たぶん自治体の財政の問題なども関係していたりするのだろうが、こちらも目先の原稿が書けず、ブチ切れそうになっている。友人のマンガ家夫妻だって年末進行の最中に、ネームや原稿ができずに弱り果てている。
すでに病人は、次の病院に転院させることになっていて、しかも次の病院では、生活保護がスタートした状態で渡して欲しいといっているらしい。次の病院への移送費なども計上すると、なんとか最後の関門もクリアできそうとのことなので、あとはソーシャルワーカーさんにまかせることにする。
とにかく原稿を急がねば……と思ったが、腰が痛くてダメ。一昨日は1万歩以上も歩きまわり、昨日は病人にアパートの3階の部屋から荷物を何度も降ろしていたために、腰が悲鳴をあげたらしい。夕方、少し仮眠したあとフィットネスクラブのプールに出かけることにする。なんと2週間ぶりではないか。水泳800メートル、ウォーキング500メートルの後、熱いジャクジーに浸かっていたら、のぼせてひっくり返りそうになる。冷たい水を飲み、ふうと落ち着いたところでファミリーレストランに出かけ、ノートパソコンで原稿書き。帰宅後、また朝まで原稿。
午後に起床し、まずは郵便局の本局に出かけ、福祉事務所から頼まれていた元アシスタントの住所変更届けを出しにいく。今日、建設業者によってアパートの部屋に残してきた一切合切が片づけられ、捨てられてしまい、部屋の契約も解除されるため。郵便物の転送先を来週転院する病院にして、転居届けのハガキをポストに投函してくる。
いったん帰宅後、自転車と西武新宿線を乗り継いで新宿に出かけ、今日が公開初日の映画「ミシェル・ヴァイヨン」を見る。コミックが原作のレース映画なので、実際のレース(のルール)を知っていれば、そんなバカな……というところは多々あるが、悪役はどこまでも悪役らしく、しかも悪役の役者たちは、まるでコミックの画面から抜け出てきたような悪役ぶりで、実に楽しい。スターローンの「ドリヴン」を見て怒ってしまったようなマジメなレースファンには薦められないが、「スパイダーマン」が面白かった人なら楽しめると思う。実によくできた娯楽レース映画だった。
しかし、公開初日で土曜日のラス前の回だというのに、観客は総計19名。ラストの回を待っている人も10人もいなかった。「ドリヴン」を初日に見たときは、長蛇の列だったのに。やはりフランス映画は弱いんだろうなあ……。
映画のあと、吉野家で牛丼の夕食をとり、喫茶店で原稿を書こうと思ったが、新宿あたりでは、落ち着いてノートパソコンを広げられるような喫茶店やコーヒーショップがない。そこで某ホテルのラウンジに行って原稿を書きはじめたが、テンポのいい娯楽映画を見たせいもあってか、これまで書いてきた原稿が、どうもモタついているようで気に入らない。そこで思いきって、ここまで書いた原稿を全部削除し、最初から書き直しすることに。こんなことをしていて、果たして間に合うのか……?
■今日買った本
『平賀源内捕物帖』(久生十蘭/朝日文芸文庫/1996年1月刊/699円+税)......講談調の時代小説のお勉強に。
『GALS PARADAISE 東京モーターショーコンパニオン』(三栄書房・SAN-EI MOOK/933円+税)......とくに東京モーターショーのコンパニオンを見たいというわけでなく、いまどきのレースクイーン事情を知りたくて。何のためにかはナイショ。