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  • 03年08月下旬の日記

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    08月21日(木) 墓参りと腰痛と

     午前中に起床し、今日もゲラのチェック。今日は母の命日なので、午後、クルマに乗って家族で墓参り。帰途、途中で落としてもらって喫茶店に入り、小説のゲラの追い込み。喫茶店のエアコンがききすぎて寒気がしてきたため、2時間ほどで退散。書店に寄って『腰痛放浪記 椅子がこわい』(夏樹静子/文春文庫)を購入。
     徒歩で帰宅し、ひとやすみした後、『腰痛放浪記 椅子がこわい』を持って自転車でフィットネスクラブへ。こちらも腰が痛いため、いつもの水泳の前にエアロバイクを漕ぐ。45分間ペダルを踏みながら『腰痛放浪記 椅子がこわい』を1/3ほど読んだあと、水泳600メートル、水中ウォーキング500メートル。
     帰宅後は『腰痛放浪記 椅子がこわい』の残りを一気読み。腰痛の犯人を捜し、その犯人を退治するという意味では、まるでミステリーのよう……と思っていたら、解説で、関川夏央氏も同じことを書かれていた。柳田邦男氏の『マッハの恐怖』や『新幹線事故』を読んだときの感動に通ずる爽快感があった。

    ■今日、買った本

    『腰痛放浪記 椅子がこわい』(夏樹静子/新潮文庫/2003年7月刊/400円+税)......1997年に文藝春秋社から単行本が出たとき、腰痛持ちだったこともあって気になったのだが、つい買いそびれてしまい、3年後、文春文庫から出たときも、またも買いそこねていたのだが、今回の新潮文庫版で、ようやく購入できたもの。腰痛再発中であるため、身につまされながら読んだが、いくらなんでも、この本の著者ほどの痛みではないのが救いか。でも、著者の腰痛の犯人、スケールは違えど、わかる気がする。

    ■参考文献
    『マッハの恐怖』(柳田邦男/新潮文庫/1986年5月刊/781円+税)......ノンフィクション作家・柳田邦男氏のデビュー作。1966年春に日本で立てつづけに3件起きたジェット旅客機墜落事故の原因を追った本。
    『新幹線事故』(柳田邦男/中公新書/1977年2月刊〔在庫切れ〕/620円+税)......東京品川の東海道新幹線車両基地で発生した謎の脱線事故の原因を探る本。犯人は意外なところに潜んでいたのだが、その犯人を捜していく過程が、まさにミステリー。同じ事故を扱ったノンフィクションでも『墜落の夏』(吉岡忍)などは、最後が情緒に流れてしまってガックリだったが、柳田作品は最後まで理詰めで押していく。そんなところにミステリー作家たる夏樹静子氏の『腰痛放浪記』と相通ずるものがるのかもしれない。

    08月22日(金) 落語会へ

     けたたましい拡声器の声で目が覚める。網戸貼り替えのセールス案内をでっかい声で流しながら、のろのろと巡回するクルマが一台。時計を見ると午前7時半。世間一般は、すでに起床しているのかもしれないが、いくらなんでも早すぎないか? それに病人や赤ん坊がいる家だっているだろうに。最近、この手の巡回セールスが多いのだが、どこか怪しい……。
     再び寝ようと思ったが、つい寝そびれて、そのままノベルスのゲラをチェック。
     午後、転院が決まった元アシスタントのマンガ家を見舞い、その足で池袋へ。駅で家族と合流し、池袋演芸場で開催された橘家文左衛門さんプロデュースの落語会“夏の噺家(おとこ)達”へ。出演と演目は、柳家三三「佃祭」、入船亭扇辰「藁人形」、橘家文左衛門「ちりとてちん」、古今亭菊之丞「不動坊」。仲入りで菊之丞さんの真打昇進を報告する顔見せが入る。いずれも熱演で面白い会だったが、途中、寝不足のせいもあった少し居眠り。誰の噺のときに寝たのかはナイショ。
     落語会の後は家族と食事し、電車で帰宅。疲れが出て座椅子に寄っかかったとたんグー。午前4時に目が覚め、そのまま7時過ぎまで残っているゲラのチェックをしたあと、あらためて寝室へ。

    08月23日(土) ゲラが終わる

     ゲラのチェックや次の仕事の着手が予定よりも1週間以上遅れているので、必死に追い込み。昼前に起床してノベルスの赤入れを進め、午後は歯医者。そのあと吉祥寺まで出て喫茶店をハシゴしながらノベルスのゲラの追い込み。夜になって何とかゲラのチェックを終了。上下2巻で、しかも1冊分が厚く、さらには資料を確認しながらの赤入れだったため、予想外に時間がかかってしまった。とりあえず4年がかりだった作品の赤入れが終わったので、ひとりで居酒屋に入り、軽くビールを一杯。つづいて次の仕事(架空戦記小説のプロットとマンガのネーム)に着手。どちらも月曜日が締切。

    08月24日(日) 新作のプロット

     あれこれあって予定が遅れに遅れている新作架空戦記のプロット作り。大量に買い込んであった資料の読み込みができていないので、ゲラを宅配便で発送するついでに自転車でファミレスに出かけ、資料を読みながらノートパソコンにプロットを書き込んでいく。
     エアコンのせいで気分が悪くなってきたので1時間ほどで退散し自宅に戻るが、鍵を忘れて家に入れない。家族も留守。しかたなしにハンバーガーショップに出かけてプロットのつづき。こちらはエアコンが弱くて助かるが、それにしても外は暑い。
     午後8時過ぎに帰宅し、暑さに負けて自宅でもエアコンを入れる。午後9時からはF1ハンガリーGP。ルノーのアロンソが史上最年少ウィナーに。深夜は世界陸上を見ながらプロットのつづき。エアコンのせいで、また気分が悪くなる。 

    08月25日(月) プロットのつづき&BSマンガ夜話

     プロットが終わらず朝からノートパソコンに向かう。暑さに負けて睡眠不足のため、途中で少し居眠り。午後もノートパソコンに向かってシコシコ。夕刻、電動ドリル兼ドライバーを買いにホームセンターへ。これで古いパソコンから抜き出したハードディスクに穴を開ける予定。帰宅後は、ひたすらプロット。
     午後11時からNHK−BS2で「BSマンガ夜話」を観る。題材は「無用之介」(さいとう・たかを)。「少年マガジン」に劇画が登場した理由について、手塚治虫系のマンガ家が「少年サンデー」に行ってしまったために、貸本劇画系の作家を起用したと言っていたが、さいとう・たかを作品の雑誌への登場は、昭和38年(1963)頃の「少年サンデー」増刊号に掲載された「燃えろ忍びの森」(題名は少し違うかもしれない)という作品あたりが最初ではなかったか。「無用之介」よりも5年くらい早いことになる。この直後、小学館から創刊された「ボーイズライフ」という雑誌に掲載されたのが、さいとう・たかをの「007・死ぬのは奴らだ」。あのイアン・フレミング原作のジェームズ・ボンドを主人公にした「劇画」で、貸本劇画とは比較にならない精細な描き込みがなされていたりでビックリ仰天したものだ。その後、さいとう・たかをは「週刊少年サンデー」に「デビルキング」を連載し、「冒険王」では「0011ナポレオン・ソロ」を描き、「別冊少年マガジン」で何作かの読み切り作品を発表したあと、「週刊少年マガジン」で「無用之介」の連載に入ったはず。(念のため、さいとうプロのWebサイトを調べたら、メジャー雑誌初登場は1961年の「日の丸」。さいとうプロのサイトでは発行元が「小学館」となっているが、これは集英社のまちがいですね。なお、「燃えろ忍びの森」という作品は、さいとうプロの作品リストには掲載されていない)
     このような経過をリアルタイムで体験してきた身には、さいとうプロ作品の雑誌登場が、講談社が最初だったかのような発言には、ちょっと抵抗があったりしちゃうんですよね……とオタク的な感想。
     番組中、いしかわじゅん氏が、さいとう作品に関連して「日活ニューアクション」という言葉を多発していたが、日活の「ニューアクション」は渡哲也の「東京流れ者」あたりを中心とする1960年代後半の作品群で、石原裕次郎や小林旭、赤城圭一郎、宍戸錠などが活躍した作品群は「日活無国籍アクション」と呼ばれている。内容的にも無国籍のことを話していたので、ちょっと勘違いしたのだろう。いしかわ氏は同世代だが、小学生時代がピークだった日活無国籍アクションは、リアルタイムではご覧になっていないのかも。あんな映画の大半を観ている私のほうが、変な小学生だったのにちがいない。
     ちなみに、もう20年以上も前だろうか、師匠の石ノ森章太郎先生のお供をして新宿のクラブに行ったとき、さいとう・たかを氏も同席されたことがあった。そのとき、さいとう氏は、「宍戸錠のチッチッチッて有名なジェスチャーはな、わしの劇画がヒントなんやで。宍戸錠が使わせてほしいと言ってきたからOKしてやったんや」とおっしゃっておりました。本当なのか、それともからかわれたのかは不明でありますが。(一部敬称略)

    08月26日(火) マンガのネタしぼり

     午前中に起床し眠い目をこすりながら新作架空戦記のプロット3巻分をまとめてメールで送信。当初の予定よりも2週間遅れ。修正後の予定よりも1日遅れ。ただちに、これも遅れているマンガのネームに取りかかるが、その前にアイデアをまとめるために付け焼き刃で資料読み。
     午後、あまりに暑くてファミレスへ避難。ここでアイデア出しをやり、あるていど出そろったところでフィットネスクラブに出かけて水泳800メートル、ウォーキング500メートル。書店に寄って資料探しをしてから帰宅。資料を読みながらマンガのネタ整理をするが、あれこれ雑念が入ってノリが悪い。

    ■今日、届いた本

    『あなたを買った夜』(内藤みか+後藤さくら/KKベストセラーズ・ベストロマン文庫/2003年8月刊/895円+税)......内藤みかさんの体験的(?)官能小説短編集。「あなた」とは「若いホスト」のことです。なんだか元手のかかっていそうな本だなあ……。
    ■今日、購入した本
    『敷島隊の五人―海軍大尉関行男の生涯』(上)(森史朗/文春文庫/2003年7月刊/733円+税)
    『敷島隊の五人―海軍大尉関行男の生涯』(下)(森史朗/文春文庫/2003年7月刊/733円+税)......「敷島隊」とは、太平洋戦争後期フィリピンで、日本海軍最初の神風特別攻撃を敢行した航空隊のこと。架空戦記作家としては良心がチクリとする本だが、とりあえず海軍兵学校や霞ヶ浦航空隊のバックグランドを知るための参考資料として購入。
    『太平洋戦争 日本海軍戦場の教訓』(半藤一利・秦郁彦・横山恵一/PHP文庫/2003年8月刊/819円+税)......太平洋戦争における連合艦隊の作戦と、それについての評価・感想を表記三名の方が語った鼎談集。これも基礎教養書として購入。
    『活火山富士―大自然の恵みと災害』(読売新聞特別取材班+小山真人他/中公新書ラクレ/2003年8月刊/720円+税)......富士山関連の書籍を収集中なので。いつか郷里に戻りたい……という望みもチョッピリ持っているのだが、富士山噴火の可能性が高くなってくると、ちょっと二の足を踏む。

    08月27日(水) ストーリー作りでウーン……

     昨日送信した全3巻分の架空戦記小説のプロットは、1日もかからずにまとめあげたのに、たった6ページのマンガのプロット作りでウーン……。ページ数に入るエピソードの量などが、長年マンガを描いていないせいで、勘が掴めなくなっている。吉祥寺に出かけ、パルコ地下の書店リブロでゲームやサブカル系のコーナーをうろうろ。マンガはスペースインベーダー25周年を記念して発売されるムックのための『ゲームセンターあらし』の新作なのだが、うーん、どんな内容を入れたらいいのかわからず悩みながら、いつのまにかマンガとは無関係の本を買っていた。
     夜になって阿波踊りで賑わう高円寺に出かけ、馴染みの店で、少年時代に「あらし」のファンだったゲーム業界関係者に、いま「あらし」の新作が描かれるとしたら、どんなストーリーのものを読みたいかを取材。そこに新作「あらし」を掲載するムックの編集者が次々と2人も現われるが、チームが違うせいで「あらし」の新作のことは知らなかった。
     バスのある時間に帰宅し、ストーリーをまとめているうちにグー。

    ■今日、購入した本

    『日中戦争見聞記―1939年のアジア』(コリン・ロス著/金森誠也&安藤勉・訳/講談社学術文庫/2003年8月刊/2005円+税)......ドイツ人の目から見た1939年の日本、満州、中国の様子を知りたくて購入。

    08月28日(木) マンガで頭が茹であがる

     睡眠4時間で起床し、マンガのプロットのまとめに煮詰まり、同じ編集部から依頼のあった「あらし」の画像整理に逃避。担当編集者からは、困っている様子を見てか、「ストーリーを作りましょうか?」のメール。そういうマンガ家もいるのかもしれないが、小生の場合、そういうことはしてもらったことがない。「自分でやります」と返事して、再びウーン。七転八倒しつつも夜中にストーリーをまとめあげ、メールで送信。深夜、編集者から返信があり、明日、編集部で内容について協議するとのこと。とりあえず今夜は寝られる。

    08月29日(金) パソコン修理と個展と

     午後、西武池袋線、地下鉄有楽町線を乗り継いで、京橋のY出版社まで打ち合わせとパソコンのチェックに出かける。編集作業に使っていたパソコンが不調なので見て欲しいと頼まれ、新作架空戦記の打ち合わせかたがた点検に。パソコンはWindows 98で、Cドライブの残り容量がほとんどなくなっていたのが不調の原因だった。どう見ても不要なファイルを削除し、ドライブもFAT32に変更して、700MBちかい空き容量をつくる。これでしばらくは保つだろう。
     新作架空戦記のプロットもOKになり、ホッ。これでマンガが終わったら新作架空戦記に専念できる。こんどの作品は、これまでの戦争政治や戦略的視点のものと違い、空戦シーンが中心の作りなので、いまから書くのが楽しみ。
     編集長に近くのケーキ屋さんでケーキとコーヒーをご馳走になったあと、ケーキ屋さんの向かいにある画廊に寄って絵の見学。昨年、小さな絵を買ったことのある女性画家さんの個展が開かれていて、ちょっと立ち寄ってみたもの。前に見たのは小さな絵ばかりだったが、こんどは畳2枚分もありそうな大きな絵もあって迫力。画家さんご本人にもお会いし、絵の製作方法なども質問してしまう。
     帰途、八重洲ブックセンターに寄り、資料の本を買い込み中央線経由で帰宅。深夜、世界陸上で末續選手の銅メダルを見る。パチパチパチ。マンガのプロットにもOKが出て、明日からネームと作画。

    ■今日、届いた本

    『さよなら』(森青花/角川書店/2003年9月刊/1,500円+税)......1999年『BH85』で第11回ファンタジー大賞を受賞した森青花さんの長篇第2作。95歳で死亡した独居老人。しかし「こころ」だけは生き残り、愛する人を守ろうとする……。
    ■今日、購入した本
    『第二次大戦のワイルドキャットエース』(バレット・ティルマン・著/岩重多四郎・訳/大日本絵画/2001年3月刊/1,800円+税)......架空戦記小説の資料。
    『第二次大戦のヘルキャットエース』(バレット・ティルマン・著/佐田晶・訳/大日本絵画/2002年3月刊/1,800円+税)......架空戦記小説の資料。
    『図解・軍用機シリーズ4 雷電/烈風/百式司偵』(雑誌「丸」編集部・編/光人社/1999年9月刊/2,000円+税)......架空戦記小説の資料。
    『零戦の誕生』(森史朗/光人社/2003年1月刊/2,000円+税)......『敷島隊の五人』の著者のノンフィクション。これも架空戦記小説の資料と基礎教養のために購入。

    08月30日(土) マンガの仕事が進まない……

     マンガの原稿が進まない……というよりも、絵を描くのを身体が拒否している感じ。夏樹静子さんの『腰痛放浪記』を思い出す。そういえば先日外出したとき、近所に心療内科のクリニックを見つけた……。
     実際、腰も痛いので夕方からプール。水泳600メートル、ウォーキング500メートル。帰宅後、マンガの下絵。

    08月31日(日) 続・マンガの仕事が進まない……

     今日もマンガの仕事が進まない。ペン入れさえ終われば家族にも手伝ってもらえるのだが……。目の調子も悪い。またメガネを変えないとダメかも。


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