• 表紙へもどる

  • 2002年12月下旬の日記

    21日 22日 23日 24日 25日 26日 27日 28日 29日 30日 31日

    12月21日(土) 水泳でハアッ

     午前中に起床し、次の小説の原稿に取りかかるが、昨日までの生活がハードだったせいか、昼食後、急に疲れがドッ。もういちど布団に潜り直して、しばし睡眠。午後4時半に再び起床し、雨の中、自転車で歯医者へ。部分入れ歯の調整をしてもらい、いちど帰宅してからフィットネスクラブへ水泳に。このところサボり気味なので、泳ぎはじめは、おっかなびっくり。それでも1000メートルほどを泳ぎ、ウォーキングも600メートルと、いつもより多め。露天風呂気分で屋外のジャクジーに浸かり、ああ、いい湯だな……。いつもより少しぬるかったけど。
     帰宅後、届いていた架空戦記小説のゲラを見る。

    ■今日いただいた本

     「トラマガ」 『ゲームセンターあらしA』第3回が掲載された別冊フロクは、昔の少年月刊誌のフロクと同じB6サイズ。こちらの原稿は、B5サイズ用の1.3倍で描かれているので、縮小されて線が飛んだり、トーンがつぶれたりしないかと不安になったが、最近は、印刷技術と紙の質が良くなっているおかげで、すごくきれいに出ていました。
     昔のザラ紙に凸版印刷だったら、完全につぶれるか、線が飛んで、見られたものじゃなかったですね、きっと。

    12月22日(日) 忘年会へ

     今日も睡眠時間4時間ほどで午前中に起床。午後になって眠くなり、また仮眠をとったところまで昨日と同じ。夕方、最寄り駅までせっせと歩き、西武新宿線とバスを乗り継いで高円寺へ。馴染みの飲み屋の忘年会に出席するため。
     途中、書店で「小説新潮」(新潮社/2003年1月号)を購入。もちろん目的は「ロングインタビュー・アキラ節のすべてを語ろう」(聞き手・吉川潮/小林旭)。小林旭が、映画ではなく、みずからが唄った歌謡曲の数々について語っており、電車の中で読みながらニタニタ。小学生のとき、「アキラのツーレロ節」とか「アキラのダンチョネ節」とか「アキラのズンドコ節」なんて歌を口ずさみながら通っていた映画小僧だったもので。「昭和歌謡パラダイス」という特集の中の1本だが、「ウエスタン・カーニバルの夜」(飯田久彦)だの「ザ・モップス奮戦記」(鈴木ヒロミツ)だの「フォークが最も熱かった日」(なぎら健壱)だのと、団塊の世代向けの読物がギッシリ。「小説現代」などは、若返りを図っている感じがするが、「小説新潮」のターゲットは完全にオヤジ世代。これはこれで大正解なのかも。
     高円寺に到着後、まだ少し時間があったので、コーヒーショップに入り、Palmと折り畳みキーボードを使って、頼まれものの短い原稿を書く。漢字変換には「ATOK for Palm」を使っているが、パソコンに比べて変換速度が遅いので、少しストレスが溜まる。まあ、短い原稿なので、なんとかなりましたが。
     時間が来て飲み屋に移動し、常連さんたちとワイワイ言いながら飲んだり食べたり。日付が変わらないうちに帰宅の途へ。入れ代わりに落語家の古今亭菊之丞さんたちが来たが、原稿もあるので失礼する。
     中温線で三鷹まで電車。そこからタクシーで帰宅し、Palmで書いた原稿をノートパソコンに移したり、小説の原稿のつづきを書いたりで、結局、朝まで。

    12月23日(月) 古今亭菊之丞さん、NHK演芸新人大賞受賞!

     午後1時5分からNHK総合テレビで放映された今年の「平成14年度NHK新人演芸大賞」を飲み屋のママから頼まれたビデオを撮りつつ見る。菊之丞さんが落語部門の大賞を受賞したことは、すでに知っていて、先月、お祝いの会もすませていたのだが、実際のコンテストの様子を見るのは初めて。菊之丞さんはトリで「幇間腹」という古典を演じたが、なるほど上手い! 納得の大賞でありました。
     その後、原稿を書きながら夕方までウダウダ。夕食は家族で和食レストランへ。牡蠣鍋と寿司を組み合わせる。帰途、書店に寄って、祭日なのに雑誌の配本があり、「トラマガ」3号が1冊入荷していたのも確認。ちなみにマンガ専門店系書店に多く配本されているみたいです。

    12月24日(火) 睡眠不足でヘロヘロ

     実は今日、とある場所に取材に出かける予定でいたのだが、怪しい物音で目が覚めてしまい、睡眠不足のため外出は中止。物音は暮れで庭の手入れに来てくれた植木屋さんの剪定の音だった。
     夕方、クルマで灯油を買いに出かけたついでに、酒屋に寄って今夜のクリスマスパーティー用のシャンパンと白ワインを購入。帰宅後、家族でチキン、生ハムなどを囲み、ささやかにクリスマス。家族はシャンパンを一口くらいずつ飲んだだけで、喜八のケーキに突入。しかたがないのでモノマネ番組を見ながらシャンペンをひとりで飲み干し、さらに白ワインもひとりで飲んでしまったら、睡眠不足のせいもあってヘロヘロになり、午前1時くらいにはダウン。
     その途中、今年の高専ロボコン決勝戦が、すでに20日に放映されていたことを知り、愕然。締切のピークで新聞のテレビ欄も見ていなかったからなあ……。残念。

    12月25日(水) 寝過ぎて取材中止

     今日は午前11時まで10時間くらい寝る。こんなに寝たのは久々だ。しかし、寝過ぎたおかげで今日も出遅れ、取材を断念。果たして明日は出かけられるのか? 夕方、ソバが食べたくなり、書店で「週刊アスキー」などを購入した後、保谷駅1Fの越後そばへ。ここで掻き揚げそばを食べる。でっかいカリカリの掻き揚げが、別の皿に載ってきて、これを熱々のそばの上に載せて食べるのだ。最初のうちはサクサク、カリカリだった掻き揚げに、最後の頃はそばつゆが染みてタヌキそば状態に。これをおつゆと一緒にすするのだ。ああ、またコレステロールがあ……。
     というわけで体内脂肪を燃やすため、フィットネスクラブで水泳。ウォーキング500メートル、水泳800メートル。室内の温水風呂の温度が高くて、少しのぼせた。
     喫茶店で読書後、帰宅し、さらに読書。

    ■今日購入した本と雑誌

    『江戸時代の歌舞伎役者』田口章子/中公文庫/2002年12月刊/952円+税)......将来執筆予定の時代小説の勉強のために購入。
    『鎌倉――湘南・三浦半島(旅・王・国)』(大日本印刷商印事業部・取材+編集/昭文社/2002年1月2版16刷/1,143円+税)......日記で触れている取材の資料として購入。いつ取材に行けるんだ?
    「週刊アスキー」(2003年1月7日14日合併号/アスキー/320円+税)......13ページに、すがやみつるのインタビューが掲載されています。内容はMSXの思い出。でも「週刊アスキー」って、プログラム言語の「BASIC」を「ベーシック」とカタカナ表記するんですね。『BASICは「Beginners All purpose Symbolic Instruction Code」の略』と「アスキーデジタル用語辞典」でも説明されているように、BASICは頭文字の集合体で、アルファベット表記が固有名詞になっているのかと思っていたのですが。でもマイクロソフトの「Visual Basic」は、大文字のアルファベットではなくなっているしなあ……。でも「C++」を「シープラプラ」なんて書かないだろうし。でも「Linux」は「リナックス」と書かれている可能性大だなあ。こんなことにこだわる私が古いんでしょうか? それとも「週刊アスキー」が文科系パソコン雑誌だから? 「Windows」も「ウィンドウズ」だし、ま、しかたないか。それにつけてもアスキーも25周年なんだそうで、青山のマンションの1室に編集部があって、「月刊アスキー」が同人誌みたいな雑誌で秋葉原にしか売ってなくて……なんて時代を知っている編集者は、アスキーにもいないらしい。あの時代、「月刊アスキー」と「I/O」がバイブルで、その後から出てきた「月刊マイコン」「RAM」なんて雑誌も、むさぼるように読んだものでありました。「月刊アスキー」と「I/O」は、合本まで買ってたぞ。

    ■今日届いた雑誌
    「週刊AUTOSPORT」(三栄書房/450円+税)......短期集中連載『長谷見昌弘伝』(黒井尚志)が最終回。第1回目から楽しみに読んでいた連載だったが、実に良かった。最後の最後でグッとこみあげてくるものが。F1ファンを自認する若者よ、かつて日本製マシンでF1に挑んだ日本男児(やまとおのこ)の最終章がここにある。
     筆者の黒井尚志氏の最近の著作も紹介しておこう。
    Zをつくった男――片山豊とダットサンZの物語』(黒井尚志/双葉社/2002年7月刊/1,500円+税)

    「ニフティSUPER INTERNET』......なんだか薄っぺらくなってるような気がするけど286円+税じゃ、こんなものか? でも「週刊アスキー」は320円で3倍もページがある。情報を並べただけの雑誌では、この年齢になると、必要な情報でない限り、読む気がしない。パソコン関連の情報なら、インターネットで間に合ってしまうわけだし。もっと大人向けの読物中心のパソコン雑誌も欲しいなあ。

    12月26日(木) 横須賀取材

     昨夜は午前3時に就寝。午前9時に起床して、あれこれ準備をした後、午前11時、カミサン同行で取材に出発。目的地は横須賀。西武新宿線、山手線、横須賀線を乗り継いで横須賀に着いたのは午後1時過ぎ。横須賀に行くにはJR横須賀線よりも京浜急行を使った方が早いのはわかっているが、今回の目的は、JR横須賀線がどんなところを走っているのか、JR横須賀駅から見える横須賀港の様子……といったものなので、横須賀線を使わざるを得なかったというワケだ。
     駅からは徒歩でショッピングモールに向かい、ここでラーメンの昼食。つづいてドブ板通りなどを見物の後、三笠記念公演で戦艦三笠を見学。帰りは京浜急行線横須賀中央駅から特急で品川へ。山手線に乗り換え、新宿でカミサンと別れて高円寺へ。いつもの飲み屋で「鈴々舎わか馬」さんの落語勉強会「鐙(あぶみ)の会」。今日のネタは「幇間腹(たいこばら)」など2席。「幇間腹」は、3日前に、NHK演芸新人大賞で菊之丞さんが演じていたのを聞いたばかりだったが、噺家ごとに演じ方が異なるのが面白い。
     落語会の後は鍋で宴会になり、その後、わか馬さんと客全員でカラオケに。結局、おひらきになったのは午前5時。電車とタクシーを乗り継いで、最寄り駅近くの駐輪場まで戻り、朝、置いていった自転車をピックアップし帰宅。長い1日だった。

    ■今日いただいた本

    『ウイルスバスター2003リアルセキュリティ徹底活用マニュアル――入られない・盗まれない失敗しないコツと設定』武井一巳/メディアテック/2002年12月刊/1,680円+税)........タイトルどおりの本。ウイルスが不安な方は参考に。このようなソフトを使う人は最新データへの更新を忘れずに。

    12月27日(金) 打ち合わせとオンデマンド本

     寝たのが午前8時過ぎ。午後1時過ぎに起床し、午後2時半から最寄り駅前の喫茶店で「トラマガ」編集者と次号の内容について打ち合わせ。基本路線が決まったところで編集者と一緒に電車で池袋まで。編集者とは池袋の駅で別れジュンク堂書店へ。とりあえず「遊歩人」というオンデマンド雑誌を購入するのが目的だったが、あれれ、注文するとコニカのオンデマンド印刷用マシンで、その場で印刷、製本してくれるシステムのはずなのに、バックナンバーまで出来合いが用意されていて、勝手にお持ち帰りください状態になっている。
     雑誌の告知などはネット展開が中心らしいが、雑誌の想定読者層は、どう見ても団塊の世代くらい。ネットユーザー層とは重ならず、これでは苦戦もしかたなさそう。ただし、廉価版の小説、マンガといったものになら充分使えそう。問題はキラーコンテンツが生まれるかどうかだろう。この出版形態でなければ読めない人気作家、人気マンガ家の作品でもないと、オンデマンド出版の存在も知られないまま終わってしまいそうな気が。
     その後、他のフロアもまわって本を買い、ラーメンを食べてから帰宅。

    ■本日買った本

    『クルマが先か? ヒコーキが先か?』岡部いさく/二玄社/2002年11月刊/1,800円+税)
    『ぼくらのゼロ戦』綿引勝美・編/立風書房・立風ムック/2002年10月刊/1,600円+税)
    『警察官の現場――ノンキャリ警察官という生き方』(犀川博正/角川書店/角川oneテーマ21/2002年12月刊/667円+税)
    『剣豪 その流派と名刀』牧秀彦/光文社新書/780円+税)
    『江戸人と歌舞伎――なぜ人々は夢中になったのか』田口章子/青春出版社/プレイブックス・インテリジェンス/667円+税)
    『最終戦争論』石原莞爾/中央公論社/中公文庫BIBLIO 20世紀/2001年9月刊/552円+税)
    殺陣チャンバラ映画史(永田哲朗/社会思想社・現代教養文庫/1993年2月刊/800円+税/版元倒産につき絶版、ジュンク堂にて400円)
    『日本映画俳優全史 男優編』(猪俣勝人・田山力哉/社会思想社・現代教養文庫/1977年11月初版/680円+税/版元倒産につき絶版、ジュンク堂にて400円)
    『世界映画俳優全史 男優編』(猪俣勝人・田山力哉/社会思想社・現代教養文庫/1977年4月初版/680円+税/版元倒産につき絶版、ジュンク堂にて400円)
    『日本海軍の爆弾』兵頭二十八/四谷ラウンド/1999年5月12日/1,400円+税/版元倒産につきジュンク堂で500円)......いい本を出していた出版社だけに惜しいなあ……。

    ■今日いただいた本、雑誌
    『レンテンローズ笑う月』太田忠司[HP]/富士見書房・富士見ミステリー文庫/460円+税)......太田さんの富士見ミステリーでのシリーズ2作目。
    「月刊 Racing On」(2003年2月号)ニューズ出版/980円+税)......今月おもしろかったのは、やっぱり「特集・最強マシン列伝 勝手に最強放談 私、コレを推します」ですな。

    12月28日(土) へぎそばを食べに

     午後まで寝るつもりが悪寒がして午前中に起床。どうも風邪ぎみらしい。起きたついでにノートパソコンに向かい、小説の原稿を書いたあと、届いていた『灼熱の艦隊』第2巻のゲラに取りかかる。
     しかし寒気がひどいので床暖房を入れることに。そう、寒さに震えていたくせに、暖房を入れるのを忘れていたのだ。
     身体が暖まってきたら眠くなって、夕方、1時間ほど仮眠。午後5時半、目が覚めたところでカミサンと西武池袋線保谷駅構内の「越後そば」まで、そばを食しに出かける。寒いのでクルマで出かけ、コイン駐車場にクルマを預けた後、そば店へ。25日に、掻き揚げそばを食べた店で、天麩羅の盛り合わせと「へぎそば」を頼む。「へぎそば」は1台(木枠で作った容器)が2〜3人前で、1人のときは食べられないため、カミサンに協力を依頼したもの。そばの麺自体は、いつもここで食べているものと変わらないのだが、冷たい水でキュッと締めてあるせいか、温かいそばよりもコリコリと歯ごたえがある。
     2人で満腹になるくらいの量で、とりあえずは満足。隣の西友で夜食用のインスタントラーメンなどを買って帰宅し、NHKのBS‐2で、ユーミンと吉田拓郎のコンサートを連続で見る。こちらは年齢的に、ユーミンについては初期しかわからない。吉田拓郎にしても同じなのだけれど……と耳で歌声だけ聞きながら、ゲラの赤入れ。明日には終わるかな。締切は年明けなので、まだ時間はあるのだが……。

    12月29日(日) カミサンの誕生日

     資料読みと原稿書きをつづけ、夕方、カミサンと2人で近所のレストランへ。今日はカミサンの誕生日なので、ささやかにディナー。子供たちは出かけて留守のため、夫婦ふたりだけの食事。少し早めに出かけたのに、それでも込んでいて待ち時間あり。手持ち無沙汰なので隣の書店に飛び込み、目についた出久根達郎氏の『おんな飛脚人』を購入。出久根氏の作品なら、まずハズレはない。レストランに戻って待ち時間のあいだにページを開くが、来年早々、NHKの金曜時代劇で『人情とどけます〜江戸・娘飛脚〜』としてドラマ化される作品で、設定からして面白い。順番が来てテーブルに案内されてからも、つい読みふけりそうになるが、さすがにカミサンの誕生日なので、なんとか押しとどめる。
     カミサンは舌平目、こちらはフィレステーキでディナーを楽しみ、そそくさと帰宅。ゲラを後まわしにして、やはり年明けに渡す予定の原稿の手入れをはじめたら、あっというまに朝。
    ■本日購入した本

    『おんな飛脚人』出久根達郎/講談社文庫/2001年8月初版/571円+税)

    12月30日(月) エアガンを買いに……

     午後、バスに乗って吉祥寺までショッピングに。ところが吉祥寺駅まで、あと少しのところで道路が大渋滞。そこで1つ手前の停留所で降り、近くの古書店に入り込む。さらに2軒の古書店、2軒の新刊書店をハシゴし、数冊の本を購入したあと、ユザワヤでエアガンの購入。ガス・ブローバックにしようかと思ったが、10歳以上の子供でも購入OKの東京マルイ製ベレッタM‐92Fミリタリーモデル(電動ブローバック)(定価2,980円/ユザワヤ価格2,600円)と予備のBB弾を購入。ついでにタイムスリップ・グリコを5ヶ購入。ユザワヤに来るたび5ヶずつ買っているのだが、いまだめざすホンダF1には出会えない。しかし、50歳を過ぎたオッサンの欲しがるものとは思えないなあ。ちなみに20年くらい前までは、毎年、大晦日になると、モデルガンかエレキットを買い出しに出かけるのが恒例になっていた。
     喫茶店に入り、書店で買った本(『マッカーサー伝説』)を読み、原稿を書く。帰途、寒いので居酒屋に寄り、焼酎のお湯割りを飲みながら『おんな飛脚人』を読了。あっさりしているが楽しめた。

    ■本日購入した本

    『マッカーサー伝説』工藤美代子/恒文社21/2001年11月初版/1,900円+税)......ダグラス・マッカーサーに関するものなら、とりあえず、どんな本でも購入することにしているのだが、この本は買い漏らしていた。大急ぎで読んだが、旧知のエピソードが大半で、目新しいところは特になし。「マッカーサー元帥マザコン説」は、他の文献からも窺えるエピソードだし。日本人によって書かれたマッカーサーの評伝は、どうしても戦後の連合軍最高司令官としてのマッカーサーが中心になる。しかし、こちらに興味があるのは、もっと若い時代のこと。日本人の手になる評伝になると、このあたりのことは、資料が少ないこともあり、あっさりとしか触れられていないのが残念。しかたがないので洋書を探すことになる……というわけである。
    『時刻表でたどる鉄道史』宮脇俊三・編著、原口隆行・企画執筆/JTB/1997年12月初版/1,700円+税)......執筆中の小説にチラリと出てくる鉄道のことを確認したくて購入。
    『物語江戸の事件史』加太こうじ/中公文庫/初版2000年4月/743円+税)......外出のときポケットに突っ込んでおいて目を通すための雑学本。
    『夏のロケット』川端裕人/文春文庫/2002年5月初版/638円+税)......第15回サントリーミステリー大賞優秀作品賞受賞作。ハードカバーで読もうと思っているうちに本を見かけなくなり、はっと気づいたら文庫になっていた。『竜とわれらの時代』も買わなくては。

    12月31日(火) 久々に紅白歌合戦

     少しくらいは仕事部屋の掃除をしようと殊勝なことを考えたが、ちらかっている原因になっているパソコンを捨てないとダメだなあ。あきらめてWindows 3.1時代の486デスクトップPCやNECのPC-9801VXなんてシロモノを処分することにする。念のため、残っているフロッピーディスクの内容をチェック。パソコン通信時代のログも残っているが、過去の自分の日記や手紙を読むような恥ずかしさがある。とりあえず単行本や雑誌の原稿が入ったフロッピーの中身だけレスキューしたが、9801の外付け3.5インチFDDが認識されず、5インチフロッピーから3.5インチフロッピーへのコピーには失敗。RS-232CケーブルとLap-Linkというソフトを使って吸い出す方法もあるが、吸い出しに使っていた古い東芝のダイナブックが起動しない。えい、もういいや! と、5インチフロッピーは、写真用カッターで断裁。
     夕食は恒例のすき焼き。午後7時半からは久々に紅白歌合戦を最初から見る。注目は中島みゆき。彼女が「プロジェクトX」の主題歌「地上の星」を歌った黒部第4発電所内の坑道には、週刊誌数誌に連載していた『エネルギーを考える』というマンガの取材で、ぼくも真冬に行ったことがある。そんなこともあって、黒部ダムからの中継に注目していたというわけ。雪のない季節に立山アルペンルートをたどったり、宇奈月からのトロッコ列車に乗るのが目下のささやかな夢でもあったりします。
     マンガの取材のときは、信濃大町で冬季は行き止まりになっているところから雪上車で、黒部ダムへ通じるトンネル入口まで向かい、そこから4輪駆動車でダムに向かって発電所などを取材した。中島みゆきやNHKのスタッフも、同じルートで、麓の信濃大町との間を往復しているらしい。発電所内部は、まるでショッカーのアジトみたいで、冒険小説の舞台になりそうだなあ……と思っていたら、まもなく、新潟の奥只見ダムをモデルにした傑作冒険小説『ホワイトアウト』(真保裕一/新潮文庫/781円)が登場。ちなみにこの作品が映画化されたとき、ロケは黒部第4ダムでおこなわれていた。かつて冬季も有人運転していた黒部第4ダムは、1990年代から完全無人運転となっている。
     NHKの「プロジェクトX」で扱われた関西電力黒部第4発電所(黒四ダム)建設の物語は、1968年、三船プロ・石原プロ共同製作で日活系で公開された映画『黒部の太陽』にもなっている。高校生のとき、映画館のビラ貼りのバイトをしていたとき、この映画のポスターも街の立て看板に貼って歩いたものだ。そんなこんなで黒4というと思い出が多いのである。

    ■関連推薦図書

    『ホワイトアウト』(真保裕一/新潮文庫/781円)......映画も大ヒットした傑作ノンストップ冒険小説。寒さが嫌いな人は防寒対策をしてから読むべし。
    『高熱隧道』(吉村昭/新潮文庫/400円+税)......太平洋戦争前の昭和15年に完成した黒部第3ダム発電所の建設経過を描いた記録小説。高熱の温水が噴き出す隧道(トンネル)、雪崩事故などの苦難を乗り越え、難工事を完成させる男たちの物語。黒4ダム取材のとき、発電所の対岸にある宿泊施設に泊めていただいたが、ここのお風呂が高熱隧道で噴出したのと同じ熱湯で、温度も45度くらいあったのではなかろうか。数秒もつかっていられない熱さで、すぐに湯船から飛び出したものだった。
    『黒部の太陽』(木本正次/信濃毎日新聞社/800円+税)......映画『黒部の太陽』の原作となった実録小説。「少年マガジン」で横山まさみち氏の手により劇画化されたこともある。


    日記一覧に戻る