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  • 2002年10月上旬の日記

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    10月01日(火) あれ、入れ歯が……

     午前中に起床するも、胃袋のあたりがムカムカするので、もういちど寝直して午後2時前に起床。最寄りの駅に着いた某ラジオ局のディレクター氏をクルマで迎えに行き、近所の喫茶店へ。近いうちにラジオ番組に出演の予定があり、その内容に関する打ち合わせ。ただし、大きなニュースが入ったり、Jリーグの試合日程などの関係から、放送日などは、まだ決定せず。決まったらトップページでお知らせします。

     帰宅後、資料読み。これから書く原稿の取材先について編集者から連絡あり。この取材では、こちらがインタビューする側になる予定で、いまから楽しみ。

    10月02日(水) Palmを買ってしまった

     カミサンと母の法事の準備のため池袋まで買い物へ。ついでなのでビックカメラまで足を伸ばし、PDA売場で悩んだ末に店員に薦められるままPalm m505のゴルゴ13モデルを購入。ひとつ前のモデルで、しかも限定版だったらしいのだが、あまり人気がなくて売れ残ってしまったらしい。ゴルゴ13のロゴがついたごっついケースがついているんだけれど、持ち歩くのは、ちょっと恥ずかしいかも。とりわけこちらの目的は、折り畳みキーボードを使っての原稿執筆にあるので、この大きなケースは不要かも。それでも安くなっていたから、まあよしとしよう。

     で、東武デパートの地下に法事のお返しの品物を買いにいったのだが、目的の品の数が揃わないため、詰め合わせをしてもらうまでの間、お茶を飲んで休憩。デパートの上の階に行ったらコーヒーフロートが1,000円。東武の地下にあるホープセンターに行けば、もっと安いコーヒーショップがあるぞ……というわけで、そちらに移動。ほら、こっちはコーヒーフロートが650円だ。というわけでコーヒーフロートは頼まずにカプチーノを飲みながらPalm m505のマニュアルを読む。

     お茶した後、品物を受け取って電車で帰宅。もちろん帰宅後は深夜までPalmのセッティングとテスト。関連サイトで情報を集めてあったので、なんとか使えるようにはなる。

    10月03日(木) 打ち合わせとPalmのテストと

     朝から再びPalmのテスト。予定表やTo Doリストをパソコン側で記入し、Palmと同期を取る。ザウルスやらオアシスポケットやらWindows CEやらと、あれこれ携帯端末には手を出してきたが、結局、オアシスポケット以外は「軽快に原稿が書ける」という目的には遠く、また、書き下ろし小説が仕事の中心になってからは、スケジュール管理もカレンダーへのメモですむようになってしまって、個人情報管理なんてものとも無縁になっていた。
     しかし、最近になって、またもや雑誌やムック、放送関係など、細かい打ち合わせを要する仕事が増えてきて、スケジュール管理をしっかりやらないと、どこかでポカをしでかしそうな気配になってきた。そんなこともあってPalmを買ったのだが、予定帳やシステム手帳を1年間使いつづけたことのないズボラな性格なので、どうなることやら……。

     こんなことをしながら、この数日、仕事の合間に進めてきたホームページのデザイン変更を進め、夕方から「トラマガ」編集者と『ゲームセンターあらしA』第3話の打ち合わせ。第2回目は、かなり好評だったようでホッ。3回目もページが多いので、心してかからないと。

     打ち合わせの後はプールで水泳。体重を量ったら2キロ以上増えていてガックリ。800メートルの水泳と500メートルのウォーキングで1.2キロ減ったから、まあ、よしとしよう。

     プールの後は喫茶店に寄ってPalmで、とある名作マンガに関する原稿の下書き。作品が作品だけに緊張する。

    10月04日(金) 『劇画狂時代』の頃

     午前中に起床し、某名作マンガの解説原稿の続き。午後は吉祥寺まで法事の引き出物につける羊羹の買い出し。

     ついでにパルコ地下のリブロに飛び込み、『疾駆する夢』(佐々木譲/小学館/1,900円+税)、『劇画狂時代――「ヤングコミック」の神話』(岡崎英生/飛鳥新社/2,000円+税)を購入。前者は「週刊ポスト」に長期連載されていた企業小説で、架空の自動車会社を興した男の物語。喫茶店に置いてある「週刊ポスト」で連載中も読んでいたのだが、飛び飛びになることも多く、単行本になるのを待ちかねていた作品。分厚い本なので、どこかで気合いを込めて読まないと……。  帰宅後、マンガ解説原稿の続きを書いた後、『劇画狂時代』のページを開くと、ああ、もう止まらない。1960年代後半から70年代前半にかけての「ヤングコミック」がお祭りのように熱狂していた頃の思い出を、当時の編集者が綴った本。宮谷一彦、上村一夫、真崎・守、かわぐちかいじ……といった人たちの名前も登場してきて、当時の状況を知る者としては、涙チョチョギレになりそう。
     そもそも次のような書き出しからして、ついニヤリ。

     ぼくは、この当時、「女性自身」の劇画ページで、原稿取りと入稿の担当をつとめていた。「女性自身」で五木寛之氏の『海を見ていたジョニー』の劇画化が企画にのぼったとき、「この小説を劇画化できるのは、この人しかいません!」と、お使いさんも同然の若造だったぼくが推薦したのが宮谷一彦氏だった。ぼくは大事にしていた宮谷氏の全作品のスクラップを「女性自身」の担当編集者に貸し、五木氏に見てもらうことにした。「少年サンデー」に掲載された『75セントのブルース』あたりを読んでもらえれば、似たテイストを持つ『海を見ていたジョニー』の劇画化は、必ずOKになるだろうと思っていたが、事実、そのとおりになり、晴れてぼくが担当者となった。
     担当者といっても毎回8ページの原稿を受け取るだけだが、まずスンナリともらえることはない。ネームができあがると原稿にトレペを当ててセリフを写し、写植を打ってもらっている間に原稿を進めてもらうのだが、原稿が完成するまで徹夜でつき合うのが当たり前だった。その途中、突然、サウナに連れていかれたりすることもあったのだが、原作があり、また1回のページが少ないこともあって、それなりにスケジュール通りには進んでいた。
     その連載の最中に発生したのが、赤軍派による日本初の旅客機乗っ取り事件「よど号ハイジャック事件」だった。この事件が発生すると「女性自身」では、突然、『海を見ていたジョニー』を休載し、かわりに同じ宮谷氏の手になる「緊急事件劇画よど号事件」の掲載を決定。14ページの作品だったが「緊急事件劇画」だったから締切も緊急で、締切までは2日くらいしかなかったような記憶がある。先にネームを打っておき、原稿が3、4ページくらいできるたびに三鷹の宮谷氏の仕事場から市ヶ谷の大日本印刷に運び……という作業を繰り返していたが、当時、劇画に熱心だった「サンデー毎日」増刊号の締切も重なっていて、『劇画狂時代』にも登場するM氏が仕事場に押しかけてくるという。そこで宮谷氏は、原稿とペンと黒インクを持って近所の喫茶店に逃亡。そこのカウンター席で1段分ペンが入ると、カッターで切り取り、それをぼくが服の下に隠して仕事場に戻り、こっそりとアシスタントに渡してバックを入れてもらうという作業を繰り返していた。
     宮谷氏の仕事部屋に座り込んで帰りを待つM氏から、「宮谷氏、遅いねえ……」と話しかけられると、「そうですねえ。こっちも困ってるんですよ……」とウソをつきながら、「ちょっと出かけてきますので……」と宮谷氏が原稿にペン入れをしている喫茶店に行き、またペン入れがすんでいる原稿の1段分をもらってくるという作業を繰り返していた。
     バックが終わった原稿は、セロハンテープでつなぎ合わせてページ単位に復元し、やっと最後のページが終わったのが水曜日の夜。「女性自身」の発売は土曜日なのだ。最終に近い電車で市ヶ谷に向かい、大日本印刷で待ち受けていた「女性自身」の編集者に原稿を手渡し、「原稿校了」というチェックも何もできない状態で入稿したのが午前0時過ぎ。輪転機を止めて待っていたのだが、よくも間に合ったものだと今でも関心する壮絶なスケジュールだった。
    『劇画狂時代』には、上村一夫氏の初の単行本『江戸浮世絵師異聞アモン』のことも出てくるが、編集プロでこの原稿のまとめもやったのを思い出した。上村氏といえば、妖艶な絵柄で、ペンの線も綺麗だったが、実際の原稿は、やはりデザイン系出身のせいか、ペンの線も、いわゆるマンガ家、劇画家の伝統とは一線を画し、先が跳ねていないペタリとした太い線ばかりだった。劇画家のアシスタントの経験があったぼくの目には、実に荒い絵に見えたのだが、印刷されたものは、まるで印象がちがうのだ。その原因は原稿の拡大率にあった。通常、マンガ原稿は2割か3割拡大で描かれるだ、上村氏の原稿は5割拡大で描かれていたのだ。
     ぼくが「コロコロコミック」で『ゲームセンターあらし』を描いたとき、5割拡大という大きな原稿で描いたのは、『アモン』のことを思い出したからだったのだが、それはさておき、1970年頃は、このぼくも「劇画狂時代」の片隅でジタバタしていたのはまちがいないようだ。

    10月05日(土) 『灼熱の艦隊』のゲラチェック

     午前中に起床し、ジャストシステムから届いていた「ATOK for Palm OS」のインストール。その後、夕方までマンガ解説原稿を書きつづけ、キリのいいところで一時中断。残りはインタビューを終えてからとなる。
     パソコンの画面を見つづけたせいで目がショボショボ。プールに行って泳ぐことにする。パソコンで原稿を書いていると目が疲れて頭痛までしてくることがあるのだが、これもパソコンの細かい文字を見つめているのが原因らしい。水泳をするときは25メートル先の大時計を見ながらタイムを計ったりするので、けっこう、疲れ目にもいいようだ。最近、競泳用のゴーグルに買い換えたのだが、これが曇りやすいため、今日は曇り止めを購入。これは効き目バツグン。水中の視界も開け、遠くまでよく見える。
     で、たぶん1000メートルくらい泳ぎ、ちょっと呼吸数を減らして自由形のタイムを計ったら25メートルが17秒くらい。
     水泳の後、ファミリーレストランに回り、架空戦記小説『灼熱の走路』のゲラチェック。帰宅後も粛々とゲラのチェックをつづける。1巻目とあって設定の解説のようなところが多く、あれこれ悩みながら書いたところもあるせいか、ときどき舌が回っていないような文章がある。そんなところをチェックしていると、あっというまにゲラは真っ赤。

    10月06日(日) NHKラジオに出ます

     今日は8月に亡くなった母の四九日の法要。郷里から親戚が来てくれて、霊園付属の法要施設で法要後、納骨。そして近くの料亭で昼食をとり、さらに我が家に戻って二次会。お客さんが帰った後、食事のレシートをチェックしたら、お店の人のレジ入力ミスで5万円以上も得していたことが判明。つまり、お店は損をしているということで、お店に電話。結局、お店の人が差額を我が家まで取りに来てくれることになったのだが、サービス料をまけてもらったうえにカニシューマイまで持ってきてくれて、なんだか申しわけない気分。支払いをしたときにチェックすればよかったんだけれど、接待しながらで、いわれたままの金額を支払っていたのでありました。
     夕食後、寝不足もあって2時間ほど座布団の上で仮眠。その後、再びゲラに戻る。

     ところで10月12日(土)の午後4時〜5時まで、NHK第一ラジオに出演することになりました。「NHK土曜ほっとタイム」という生番組中の「思い出コレクション」のコーナーで、テーマは「インベーダーゲーム・ブーム」(NHKなので「スペースインベーダー」という商品名は使えないらしい)。

     この番組で、インベーダーゲームそのものに関する思い出、すがやみつるや『ゲームセンターあらし』に関連したインベーダーゲームについてのエピソードなどを募集しています。よかったら応募してみてください。詳細はこちらです。

    10月07日(月) 秋葉原で疲れた

     昨夜のうちに架空戦記小説『灼熱の艦隊』第1巻のゲラのチェックを終え、布団に潜り込んだのだが、ここで買ったばかりの『疾駆する夢』佐々木譲/小学館/1,995円+税)を開いてしまったら、ヤバイ、つい読み進んでしまって寝られなくなったぞ。原稿用紙1,867枚分の大長編なので、1日くらいで読むのは無理とわかっている。明日の仕事もあるので途中で読むのは断念し、そそくさと就寝。

     起床したのは午前11時過ぎ。本当は、もっと早く起きてマンガのカットを2点ほど描かなくてはならなかったのだが、まるで手つかず。あわてて絵を描いていると有楽出版社のM編集長からゲラを取りに来たいとの電話。カットの仕事が切羽詰まっているので、平身低頭して時間をずらしてもらう。そのかわりにゲラは銀座まで届けることになった。

     午後5時、西武池袋線、地下鉄有楽町線を乗り継いで銀座1丁目へ。カフェテラスでMさんと待ち合わせ、ゲラの突き合わせ。思わぬミスが見つかったりで焦ったが、内容については校正を担当してくださった方も面白いと言ってくださってとかで、少しホッ。会社に戻るMさんと別れた後は、地下鉄銀座線で末広町へ。ここから秋葉原に徒歩で戻り、SofmapでPalm m505用の革ケースとテーブルタップを購入。駅前でカレーを食べ、高円寺へ。電車の車中はもちろん『疾駆する夢』のつづき。

     馴染みの飲み屋に立ち寄り、ちょっとだけのつもりが、次から次に知り合いが来て、最後は編集者2名&校正者1名とカンバンまで。結局タクシーで帰宅したが、家にたどり着いたあとも読書。

    10月08日(火) 読書の秋

     昼前に起床し、分厚い『疾駆する夢』に専念していたら、目がヘロヘロ。夕方、プールに出かけて水泳900メートル&ウォーキング500メートル。帰宅後、また読書。

    10月09日(水) ホームセンターへ

     起床後、夕方までに『疾駆する夢』を読了。戦後、横浜本牧の焼け跡で産声をあげた自動車修理工場が、やがて、原付自転車からオート三輪の製造を経て自動車メーカーとなり、ル・マン24時間レース参戦、マスキー法対策、オイルショック、日米貿易摩擦、バブル経済、リコール隠し……といった障壁や節目を乗り越えながら、世界的企業に成長していく姿を、多聞大作という魅力ある経営者の目を通じて描いた“元気の出る企業小説”。目は疲れたけれど、いい作品を読ませてもらいました。

     やっと読書が終わったので家族とホームセンターへ買い物。購入したばかりの仏壇の下に敷くベニヤ板を買い、娘用に流行のデジカメ付き携帯電話を買って帰宅すると、「F1 CLUB」(双葉社)が届いていた。最新号の「Vol.45」では、『聖地――星野一義写真集』の書評を担当しています。

    10月10日(木) 読書の秋

     うーん。仕事で本が読めずにいた禁断症状が出たのか、立てつづけに本を読んでいて止まらない。資料の本を読んでいたのだが、その合間に、西谷祥子先生に送っていただいた『花びら日記』(小学館/714円+税)『奈々子の青春(「続・花びら日記」)』(小学館/552円+税)の復刻版(小学館フラワーコミックス・デラックス)を読みはじめたら、うう、やめられない止まらない。1968年に「週刊セブンティーン」に連載された作品だそうだけれど、なんだか石坂洋次郎あたりの青春小説を読んでいる気分になった。小説を読んでいるような気がしたのは、ネームの多さとも関係しているのかも。いまの高校生、こんなにネームの多いマンガが読めるのかなあ? もっとも少女向け小説は相変わらず隆盛だとか。かつての少女マンガの役割は、このような少女小説が担っているのだろう。

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    『花びら日記』  『奈々子の青春』


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