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  • 2002年01月下旬の日記

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    01月21日 マンガの原稿にミス発見

     起き抜けにメールをチェックすると、またもやMotorsports@niftyのトップページがNetscapeで見えないとの緊急連絡。ファイルをチェックすると、なぜか途中でファイルが切れている。IEやNetscape 6.2では、多少のミスがあってもページを表示してくれるのだが、Netscape 4.XXまでは、タグを厳格にチェックして、ちょっとでもミスがあると表示してくれない。HTMLファイルは厳格なNetscapeに合わせろ……という意見もあるが、ネコでもWebサイトが持てる時代に、そんなのは無理だって。だからNetscapeも6.Xではチェックの基準を緩めたのではなかろうか。Netscape 4.XXなんて嫌いだあ! もっとも、このサイトへアクセスしてくる人のブラウザーの内訳は以下のようにNetscape 4が過半数で、世間のシェアとは、かなり違っている。「それだけ濃い人が多くアクセスしているんだ」と言った人もいるが、真実やいかに……? おそらくマンガ関係のMacユーザーなども多いのだろう……と予想しているのだが。

    _件数__ブラウザ_____%__
      551  Netscape 4   55.2% 
      409  MSIE 5       41.0% 
       20  Netscape 5    2.0% 
       16  MSIE 4        1.6% 
        2  Netscape 3    0.2% 
    

     サイトの問題を解消後、こんどは、昨日MOで送ったマンガの原稿にミスがあるのを発見。あわててPhotoShopで画像ファイルを修正し、TIFFファイルに変換したデータをPageMaker 6.53Jに読み込んでAcrobatでPDFに変換。このPDFファイルと変更した画像データ、加えたネームのテキストデータをインターネットのストレージサービス(ジャストシステムのInternetDisk)にアップロードして、そのアドレスを担当者にメールで知らせる。容量が大きくてメールに添付するのは厳しいため、ストレージサービスからダウンロードしてもらうことにしたというわけ。

     以上の作業がすんだあと、またデスクトップ・パソコンで小説の原稿。やはりノートパソコンよりも進みがいいようだ。現在、ノベルスのページ割りで190ページ。予定では残り30ページなのだが、実は全2巻のうちの1巻目だったりする。残る下巻は、いつ取りかかれるのか……? 夕方、編集プロの担当者から新作マンガについての連絡。このマンガに時間がかかりそうなため、小説もいまのうちに追い上げておかないといけないのだ。でも、その前に『蒼天の艦隊』第2巻の締切が……。
    『ライバルに大差をつける超速読トレーニング』

    01月22日 謎の電話

     昼過ぎに起き出すとカミサンが、読者の若い人から電話があったとメモを見せてくれた。もう15年も前に書いた『ライバルに大差をつける超速読トレーニング』(徳間書店)を読んだ男子学生だそうで、速読教室を教えてほしいという内容だ。この本は、高田馬場にあった速読教室に体験入学し、さらに体験者に取材して書いたものだが、この教室もすでになくなっているらしい(本は、いまだ増刷中なのに……)。そこで、どこで調べたのか、こちらの自宅の電話番号に電話をかけてきて、上記の質問となったようだ。カミサンは、ぼくが起きたら折り返し電話をかけると返事し、大学の学生寮のものだという電話番号を訊ねてメモしておいたのだが、そこに電話してみると、電話に出た管理人らしき人は、メモに書かれていた「3年生のMさん」という学生はいないという。

     電話番号の市外局番をチェックしてみると、奈良県T市のもの。ここにある大学といえば、宗教団体に関連したT大学が有名だが、電話をかけてきたのも、この大学の学生だったのだろうか? おかしな勧誘などから学生を守るため、そんな学生はいないと返事したことも考えられるのではあるが、はたして真相は……?

     いずれにせよ3年生で、しかも速読を習いたいということは、就職を前にしてのことだろうか? 速読も、できればできたにこしたことはないが、就職のためだとか、能力開発といったような理由でなく、純粋に「本が好きで、たくさん読みたいから」といった理由で試してみてほしいものだ。でも、本が好きで、本を読むのが楽しければ、速読術などにはこだわらないようにも思うのだが……。それ以前に学生なら、自分でパソコンを持っていなくても、大学でインターネットくらい利用できるだろうになあ……と、ちょっとタメイキ。

     ところで、ぼくもかつては、かなりの速読だった。しかし、最近はまるでダメ。とくに小説を読んでいると、文体や言葉のつかいかた、句読点の振り方までもが気になって、同じ文章を行きつ戻りつするもので、つい時間がかかってしまうのだ。『ゲームセンターあらし』で最多忙だった時代にも、年間300冊以上の小説を読み、さらにノンフィクションやら雑誌まで読んでいたのに、このところ、読書のペースが落ちている。老眼のせいもあるが、それ以上にいけないのは、やっぱりインターネットだな。

     今日は、先日、帯のキャッチコピーを頼まれた『マンガ古書マニア』江下雅之・著/インターメディア出版/1,800円+税)が到着。あらま、もうひとりのコピー担当者は夏目房之介さんではないか。

     夜は、まもなく集英社系のホーム社から文庫で刊行される石ノ森章太郎先生のマンガ入門書『石ノ森マンガ学園』に寄せた卒業文集のゲラがFAXで届き、これを校正。うーん、修正しすぎてゴチャゴチャになってしまったぞ。恩師の本に寄せた原稿なので、どうしても緊張してしまいます、はい。

    01月23日 謎の電話のつづき……

     昨日、速読教室のことで電話をかけてきた若者から再び電話がかかってきた。精神集中のトレーニングのために速読を習いたいのだという。電話で話した限りでは、とても大学3年生とは思えないほど真面目そうな(気弱そうでもある)若者である。こちらも最近の速読事情はわからないので、インターネットで検索することを勧めたが、インターネットもやっていないという。それでも近所でインターネットを利用できるところがあるというので(マンガ喫茶あたりだろうか?)、インターネットや他の速読本などで、広範な情報を集めて検討することを勧めておく。でもやはり、日常的にインターネットを使っている人と使っていない人とでは、情報の収集力だけでなく、その真贋を見分ける判断力に差があるのは事実だよなあ……。

     パソコン通信時代からインターネット時代の現在に至るまで、ネットに触れた人は、最初に、こんな便利なものがあったのかと興奮し、見知らぬ人との出会いに狂喜し、仕事や趣味や睡眠を犠牲にしてネットにのめり込み、その結果、ネットの人間関係で失意を味わったり、疲れ切ってしまったり。そこでネットをやめてしまう人もいれば、パソコンの画面との間の距離を置き、冷静な利用を心がけるようになる……てな経緯をたどる人が多いのであります。失望したり、騙されたと逆上したりするのは、大抵、ネットに過大な期待を持ちすぎて、それが裏切られるからなんでありますが……なんてことを書けるのも、ネット歴17年の経験ゆえか。ブロードバンドで8Mbpsだって? ぼくが最初にパソコン通信をはじめたときは、300bpsだったぞ。「8,000,000÷300=」で何倍になったんだろう?

     夕方まで小説の原稿を追い上げ、夕食はとらずにスポーツクラブに出かけて水泳&水中ウォーキング。パソコンに向かってばかりいるせいで、おそらく眼精疲労が原因の肩凝りがひどく、首筋から背中まで痛くなって、さらに、歯茎まで腫れ上がってしまったもので、少し、凝りをほぐそうと思って出かけたのだが、体重を計ってビックリ。いつもより1kgも少ないのだ。この数日、歯痛で、おかゆやオジヤ、そして流動系の食物しか取っていなかったせいらしい。さらに水泳のあとの計測では、昨年からの懸案だった75kgをついに切り、74.68kg。おお、お祝いせねば! と思ったが、そんな暇はなく、モスバーガーに寄ってピリマメバーガーを食べつつノートパソコンで小説の原稿。バッテリーがなくなるまで3時間ほど粘って原稿を書いたが、周囲の席も大学の受験勉強、高校・大学の定期試験の勉強をする学生たちばかりで、ちょっと気がラク。センター試験の前には、「センター試験、がんばってください」と張り紙をする店だけあります。

     帰宅して体脂肪も計ったら、21%。目標体重&体脂肪まで、もう一歩……だな。

    01月24日 とりあえず1冊終了

     午後、用事があって郵便局まで出かけた後、帰宅して再びノートパソコンの前に。昨年から遅れ遅れになっていた上下2巻本の小説を書き進めていたのだが、とりあえず上巻分のメドをつける。それにしても眼精疲労がひどい。とりあえずメドがついたところで、今日は休憩。

    01月25日 水泳のちカラオケ

     2月は締切があれこれ重なる予定なので、喫茶店に出かけてとりあえず『蒼空の艦隊』(2)に着手。その後、プールで水泳800メートル&水中ウォーキング500メートル。体重は74.68kg。一昨日と10グラムの単位まで同じ。

     水泳で水分が足りなくなったので、高円寺まで生ビールを飲みにいくことにする。しかし、仕事をサボるような後ろめたさがあるので、保谷から練馬までの西武池袋線の電車内でも、練馬から高円寺までのバスの中でもノートパソコンで原稿書き。しかし、バスの中で下を向いての執筆はまずかった。高円寺駅に着いたときにはクルマ酔い状態でヘロヘロ。

    「洗濯船」という飲み屋に行くと、あれれ、磐紀一郎さんとT書店の編集者Mさんが。磐さん、打ち合わせなのだが、別件の用事を先にすませないといけないのだそうで、その間、Mさんの相手をしていてくれと頼まれる。明日も高円寺に来ないといけないため、今日は、早々に帰宅予定だったのだが、ちょっとヤバい予感が……。

     で、Mさん他1名と3人で歓談後、このメンバーで原画展の追い込みに入っている「ノラや」へ。Mさんに、上司の分も含めて“復刻版「鳥よ、飛び立て!!」”を押し売りし、戻ってきた磐さん(=石津嵐さん)と二人で買っていただいた本にサイン。高円寺の「ノラや」ほか2軒で売れた復刻版は50冊に届きそう。「ノラや」の在庫もなくなりかけているので、明日、追加を持参することにする。お買いあげいただいた方、ありがとうございます。

    「ノラや」にいるうちに電車はなくなり、結局、磐さん、Mさんたちと朝までカラオケ。帰宅は午前6時でありました。

    01月26日 また高円寺へ

     夕方、みぞれ混じりの雨の中、追加の“復刻版「鳥よ、飛び立て!!」”を持って高円寺へ。吉祥寺までのバスの車中から楠木誠一郎さん『森鴎外の事件簿』を読みはじめたら、やめられない止まらない。吉祥寺から総武線の電車に乗り、座席に坐ってつづきを読んでいたら、あれれれ、いつのまにか中野駅。ひょえ、乗り過ごしてしまった。小説を読んでいて乗り過ごしたのはフォーサイスの『悪魔の選択』以来かもしれない。『森鴎外の事件簿』は、鴎外の娘の茉莉が、おしゃまでかわゆくて良い。

     中野駅はホームの数が多くて、別のホームに行かないと、下りの電車に乗ることができない。大急ぎで別のホームに移動し、発車まぎわの三鷹行き電車に乗る。

     高円寺の「ノラや」で待ち合わせたのは、石ノ森章太郎ファンクラブのメンバー4人。明日、ファンクラブの新年会のために京都、長野、神奈川から上京した人たちが、地元高円寺在住のメンバーとともに原画展に来てくれたのだ。そこでマンガの話、石ノ森章太郎先生の思い出などを語りつづけていたら、時刻は、いつのまにか午後11時過ぎ。皆さんに買っていただいた復刻版にサインした後、店内に居合わせたプロのカメラマンさんにデジカメで記念撮影用の写真を撮ってもらう。解散後、ぼくだけちょこっと店に残り、最終1本前の電車で帰宅。

    01月27日 デジャヴな映画

     どうも外出つづきで原稿が進まないので、今日は家に籠もって原稿。途中、眠気に負けて昼寝し、夕方からまた復帰。午前5時になって、そろそろ寝ようかな……と思ったら、ケーブルテレビの映画に目が行き、つい最後まで見てしまう。サイコ・サスペンス系の映画で、島に流れ着いた記憶喪失の男が、若い彫刻家の女性に「飼育」される話。どこかで見たような既視感があるが、初めて見る映画なのは間違いない。スタートを見逃して題名もわからなかったので、あとでネットで確認したら、『ドリフト・ウッド/ガラスの檻』という97年のアイルランド映画だった。ネットで検索した映画のPRには、「『ミザリー』を超えた……」というような惹句もあったが、スティーヴン・キングに失礼かも。でも、どこかで見たことのある既視感が消えない。ああ、どこで見たんだ……と悶えながら就寝。

    01月28日 マンガ出版記念パーティーと鉄塔武蔵野線とデジャヴの正体と

     昼過ぎに起き、シャワーを浴びて、そそくさと着替えをすませ、西武池袋線&地下鉄有楽町線経由で有楽町へ。本当は、青山1丁目のホンダ本社で開催されたCARTもてぎ戦の発表会にも出かける予定だったのだが、こちらは時間がなくなりパス。有楽町に出かけた目的は、「『幻の小松左京 モリ・ミノル漫画全集』を祝う会」というパーティーに出席するため。小松さんが作家になる前、マンガ家だった一時期があり、そのとき出版されたマンガが小学館から復刻されたもの。

     有楽町に着いたのは午後4時で、パーティーのはじまりまでには2時間以上ある。そこで近くのスターバックスに入り、カプチーノを飲みつつノートパソコンを広げて『蒼天の艦隊』(2)の原稿を書く。プロットができているので原稿は着々と進み、午後6時、パーティー会場の東京會舘に移動。

     エレベーターホールで『マンガ古書マニア』の著者・江下雅之さんと待ち合わせ、会場へ。

     大森望さんとは、大森さんの掲示板で話題になっていた『鉄塔・武蔵野線』(銀林みのる・著/新潮社・刊)のことで、ちょっと立ち話。この作品が第6回日本ファンタジーノベル大賞を受賞したとき、一挙掲載された「小説新潮」で読み、もう「男の子ゴコロ」みたいなものをくすぐられ、ちょうどニフティのチャットで大森さんと出会って、傑作だと喚いたら、なんでも予選選考を担当したのだそうで、原稿には、大量の鉄塔の写真までついていたことを知らされた。このとき、前にどこかで読んだ少年小説に雰囲気が似ている……と話したものの、その題名が思い出せない。アーサー・ランサムの名前を出したりしたんだと思うが、そのときに大森さん、「『スタンド・バイ・ミー』でしょ」とあっさり。老人力のつきはじめで、このような固有名詞が出てこなくて困るのだが、そう、そのとおり、原作の短編も読んでるし、もちろん映画も見ていたのだが、実に雰囲気がよく似ていた。で、写真がついていたことも聞いて、いちど雑誌で読んでしまったにもかかわらず、単行本まで買ってしまったというワケ(二度目に読んだときも傑作だと思った)。この作者の方、岩波少年文庫の世界のような方向に行けばいいのに……と思っていたのだが、その後、作品は拝見していません。第15回サントリーミステリー大賞優秀作品賞受賞作品の『夏のロケット』(川端裕人・著/文藝春秋社・刊)にも、ちょっぴり似たようなテイストを感じたのでありますが、広い意味で「(理系)男の子小説」ということかもしれません(今日の日記の題名の「デジャヴ」は、こちらの話題ではありません)。

     で、あちらに挨拶、こちらに挨拶しながら、マンガ家のとり・みきさんに、家から持参した『コンピュータ・マッピング入門』(小松左京・監修/構成・すがやみつる/作画・岩田和久/コクサイクリエイティブセンター・刊/1989年)を差しあげる。この本、小松さんからのご指名によって全国のコンピュータ・マッピング事情を取材し、マンガにまとめたもの。とりさんが「小松左京マガジン」で、小松さんの顔が出てくるマンガを探していたことを思い出し、持っていったのだが、喜んでいただけただろうか?

     石川県小松市から上京した谷甲州親方とも久しぶりに会い、一緒にミンククジラのステーキを食す。東京會舘では、オムレツやカレーライスなどの「懐かしい味」もパーティーの売り物で、これがまた美味しい。コレステロールの数値が気になるこちらとしては、たくさん食べられないのがツラいところだが。

     パーティーの発起人の松本零士先生にもご挨拶。松本先生と言葉をかわすのは、実に32年ぶり。もちろん松本先生は覚えてらっしゃいませんでしたが、1969年秋、光文社の「女性自身」が、初めて「劇画」の連載を開始したとき、五木寛之氏の小説をマンガ化して連載したのが松本先生で、そのとき下請け編集プロの担当編集者として、原稿取りをしていたのがワタクシめだったのであります。その前の高校生時代は、松本先生にマンガの原稿を見てもらったりしていた……ということは、「ぼくのマンガ青春期」でどうぞ。

     パーティーの後は、江下さんの車に、高齋正さん、ひかわ玲子さんと一緒に同乗し、「高円寺ノラや」の私のマンガの原画展へ。マンガの原作者の石津嵐(磐紀一郎)さんも引っ張り出して歓談。そのとき、今朝、寝る前にケーブルテレビで見た映画のストーリーを話したら、いきなり磐さんが、「なんだ、そりゃ、『砂の女』じゃないか」。ああ、そうだ、その『砂の女』だ! 安部公房の小説で、岸田今日子主演で映画にもなった。『砂の女』は海外でも翻訳出版されているから、そのあたりがヒントになって、『ドリフト・ウッド/ガラスの檻』という映画ができたのだろうか? もっとも『砂の女』は、小説も映画も、もっと前衛的な印象で、よくわからなかった記憶があるが……とりあえず、引っかかっていた「デジャヴ」の問題は、これで解決! めでたし!

     なんてことを話していると、ノラやにT社の編集者H嬢が登場。江下さんの本の担当者でもある彼女は、突然、江下さんとの打ち合わせモードに突入。そして、ひかわさん、江下さんの帰宅後は、こんどはこちらがH嬢と出版企画の密談。午前1時過ぎ、家が近い高齋さんと一緒にタクシーで帰宅し、一休み。ふう、今日は濃密かつ長い1日だった。

    01月27日 デジャヴな映画

     どうも外出つづきで原稿が進まないので、今日は家に籠もって原稿。途中、眠気に負けて昼寝し、夕方からまた復帰。午前5時になって、そろそろ寝ようかな……と思ったら、ケーブルテレビの映画に目が行き、つい最後まで見てしまう。サイコ・サスペンス系の映画で、島に流れ着いた記憶喪失の男が、若い彫刻家の女性に「飼育」される話。どこかで見たような既視感があるが、初めて見る映画なのは間違いない。スタートを見逃して題名もわからなかったので、あとでネットで確認したら、『ドリフト・ウッド/ガラスの檻』という97年のアイルランド映画だった。ネットで検索した映画のPRには、「『ミザリー』を超えた……」というような惹句もあったが、スティーヴン・キングに失礼かも。でも、どこかで見たことのある既視感が消えない。ああ、どこで見たんだ……と悶えながら就寝。

    01月28日 小松左京さんのマンガ出版記念パーティー&デジャヴの正体

     昼過ぎに起き、シャワーを浴びて、そそくさと着替えをすませ、西武池袋線&地下鉄有楽町線経由で有楽町へ。本当は、青山1丁目のホンダ本社で開催されたCARTもてぎ戦の発表会にも出かける予定だったのだが、こちらは時間がなくなりパス。有楽町に出かけた目的は、「『幻の小松左京 モリ・ミノル漫画全集』を祝う会」というパーティーに出席するため。小松さんが作家になる前、マンガ家だった一時期があり、そのとき出版されたマンガが小学館から復刻されたもの。

     有楽町に着いたのは午後4時で、パーティーのはじまりまでには2時間以上ある。そこで近くのスターバックスに入り、カプチーノを飲みつつノートパソコンを広げて『蒼天の艦隊』(2)の原稿を書く。プロットができているので原稿は着々と進み、午後6時、パーティー会場の東京會舘に移動。

     エレベーターホールで『マンガ古書マニア』の著者・江下雅之さんと待ち合わせ、会場へ。

     大森望さんとは、大森さんの掲示板で話題になっていた『鉄塔・武蔵野線』(銀林みのる・著/新潮社・刊)のことで、ちょっと立ち話。この作品が第6回日本ファンタジーノベル大賞を受賞したとき、一挙掲載された「小説新潮」で読み、もう「男の子ゴコロ」みたいなものをくすぐられ、ちょうどニフティのチャットで大森さんと出会って、傑作だと喚いたら、なんでも予選選考を担当したのだそうで、原稿には、大量の鉄塔の写真までついていたことを知らされた。このとき、前にどこかで読んだ少年小説に雰囲気が似ている……と話したものの、その題名が思い出せない。アーサー・ランサムの名前を出したりしたんだと思うが、そのときに大森さん、「『スタンド・バイ・ミー』でしょ」とあっさり。老人力のつきはじめで、このような固有名詞が出てこなくて困るのだが、そう、そのとおり、原作の短編も読んでるし、もちろん映画も見ていたのだが、実に雰囲気がよく似ていた。で、写真がついていたことも聞いて、いちど雑誌で読んでしまったにもかかわらず、単行本まで買ってしまったというワケ(二度目に読んだときも傑作だと思った)。この作者の方、岩波少年文庫の世界のような方向に行けばいいのに……と思っていたのだが、その後、作品は拝見していません。第15回サントリーミステリー大賞優秀作品賞受賞作品の『夏のロケット』(川端裕人・著/文藝春秋社・刊)にも、ちょっぴり似たようなテイストを感じたのでありますが、広い意味で「(理系)男の子小説」ということかもしれません。

     で、あちらに挨拶、こちらに挨拶しながら、マンガ家のとり・みきさんに、家から持参した『コンピュータ・マッピング入門』(小松左京・監修/構成・すがやみつる/作画・岩田和久/コクサイクリエイティブセンター・刊/1989年)を差しあげる。この本、小松さんからのご指名によって全国のコンピュータ・マッピング事情を取材し、マンガにまとめたもの。とりさんが「小松左京マガジン」で、小松さんの顔が出てくるマンガを探していたことを思い出し、持っていったのだが、喜んでいただけただろうか?

     石川県小松市から上京した谷甲州親方とも久しぶりに会い、一緒にミンククジラのステーキを食す。東京會舘では、オムレツやカレーライスなどの「懐かしい味」もパーティーの売り物で、これがまた美味しい。コレステロールの数値が気になるこちらとしては、たくさん食べられないのがツラいところだが。

     パーティーの発起人の松本零士先生にもご挨拶。松本先生と言葉をかわすのは、実に32年ぶり。もちろん松本先生は覚えてらっしゃいませんでしたが、1969年秋、光文社の「女性自身」が、初めて「劇画」の連載を開始したとき、五木寛之氏の小説をマンガ化して連載したのが松本先生で、そのとき下請け編集プロの担当編集者として、原稿取りをしていたのがワタクシめだったのであります。その前の高校生時代は、松本先生にマンガの原稿を見てもらったりしていた……ということは、「ぼくのマンガ青春期」でどうぞ。

     パーティーの後は、江下さんの車に、高齋正さん、ひかわ玲子さんと一緒に同乗し、「高円寺ノラや」の私のマンガの原画展へ。マンガの原作者の石津嵐(磐紀一郎)さんも引っ張り出して歓談していたら、T社の編集者H嬢が登場。江下さんの本の担当者でもある彼女は、突然、江下さんとの打ち合わせモードに突入。ひかわさん、江下さんの帰宅後、こんどはこちらがH嬢と出版企画の密談。午前1時過ぎ、家が近い高齋さんと一緒にタクシーで帰宅する。ふう、今日は濃密かつ長い1日だった。

    01月29日 推理作家協会新年懇親会のち高円寺でまったり

     今日は日本推理作家協会の新年懇親会。当初、会食の予定があったため欠席の予定だったが、会食の予定が延期になったため、急きょ、事務局に電話して、出席させてもらうことにする。

     夕刻まで『蒼天の艦隊』(2)の原稿を書き、パーティー会場に向かうために乗った西武新宿線の電車のなかでも原稿を書き、会場のホテルへ。待ち合わせていた太田忠司さん水樹和佳子さんとロビーで合流して会場へ。

     会場の入口で辻真先氏にお会いし、辻氏が最近開設されたホームページについて、ちょっと先輩風を吹かせて(?)アドバイス。画像ファイルの表示方法などを後ほどメールでお知らせすることにする。

     会場では、薄井ゆうじさんはじめ多数の作家さんや編集者とご挨拶。先週、原稿を送った編集者とも遭遇できたが、プリンターが不調で、まだ原稿は読んでもらえていないらしい。ま、2年もかけてしまった原稿なので、ゆっくり行きましょう。

     パーティーのお開きの後、太田さん、水樹さんとティールームでコーヒーを飲み、飯田橋から電車で高円寺へ。ノラやの原画展で展示している原画の撤収方法の打ち合わせをするはずだったのに、店に着いてみると小川大樹さんが。わざわざ横浜から足を運んでくれたのだそうで、結局、ノラやのお開きの時間(午前2時)まで居座り、さらにワインバーに寄って赤ワインを飲み、午前4時半過ぎの電車で帰宅。

     しかし、さすがに2日連続で、革靴を履いたままの立食パーティーは、腰と背中に堪えたぞい。明日は休養にしよう……。

    01月30日 背中が痛い……

     パーティーで立ちっぱなしがつづいたせいか、背中が痛い。おとなしく家で原稿を書き、夕方、自著の荷造りに取りかかる。パーティーなどで編集者と話した拙著の文庫化、復刻などの見本として送るため。腰を伸ばすため、スポーツウェアに身を固めて徒歩でクロネコヤマトの営業所まで出かけ、出版社数社に荷物を発送。

     そのまま帰宅し夕食を取ったら、もう眠くて起きていられない。座椅子にもたれて、うたた寝していたらテーブルの上に置いてあった携帯電話が鳴った。ノラやの原画展にライターの女性が来てくれたとの連絡。ちょっと体力が限界なので、『蒼天の艦隊』(2)の原稿を追い上げないといけないので、高円寺に出かけるのはパスさせてもらう。ああ、2月は出かける日も少なくなりそうだなあ……。

    01月31日 原画展最終日

     午後1時に起床。メールをチェックしていると電話が鳴り、昔、「コロコロコミック」で『ゲームセンターあらし』を担当してくれた編集者T氏が、「鳥よ、飛び立て!!」原画展に来てくれるとのこと。午後8時に高円寺ノラやで待ち合わせすることにして、ギリギリまで『蒼天の艦隊』(2)の原稿を執筆。風呂に入ってサッパリしてからバスと電車で高円寺へ。

     約1年ぶりに会うT氏とビールで乾杯し、ついでだからと近くに仕事場を持つマンガ家ながいのりあきさんを引っ張り出し、即席の「コロコロコミック」同窓会。

     そこに宝島社のH嬢が訪れ、「別冊宝島・お宝コミックランキング」文庫化承諾の書類をわたされる。さらに、こんどH社のマンガの仕事で編集を担当をしてもらう編集プロのHさんも、原画展最終日ということで来店。磐紀一郎(石津嵐)さんまで来て、さながら原画展最終日のフェアウェルパーティー状態に。

     ノラやの閉店後は、近くのショットバーに出かけ、最後に残ったHさんとふたりでワインバーへ。結局、帰宅は午前6時。久々に酔っぱらって、帰宅と同時にバタンキュー。メールのチェックもしなかった。


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