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赤塚不二夫センセイ的「キャラ」の考察

『テヅカ・イズ・デッド』を読んで一番おもしろかったのは、やはり、「キャラクター」と「キャラ」のちがいについて。5月から6月にかけて早稲田大学エクステンションセンターで開催されたマンガ表現についての講座でも、伊藤さんのキャラとキャラクターに関する解説があり、なるほどと膝を打ちながら講義を聴いていたが、本でまとめて読むと、さらに伊藤さんの言わんとしていることがよくわかる。

 本書を読んでも同じ感想を持ったのだが、早稲田の講義を聞いたとき、ぼくはノートにこんなことを書いていた。

「キャラクターは立てるもの、キャラは萌えるもの」
「キャラクターには人生がある。履歴書が書ける。ビジュアル優先のキャラには、人生や履歴書がなくてもかまわない」

 講義の後、この話を、やはり早稲田の講座で講師をしていた瓜生吉則さんに話したら、深く頷いてくれていた。

『テヅカ・イズ・デッド』では、『地底国の陰謀』(手塚治虫)に登場する耳男を「キャラ」の嚆矢として採りあげているが、ぼくが伊藤さんの早稲田での「キャラ」に関する講義を聴いていたときメモをとっていたノートには、「ヒョウタンツギ&ブグツギキュ」と書いてあった。伊藤さんの「キャラ論」を聴いていて反射的に想起したのが、この手塚キャラだったらしい(なぜ、ヒョウタンツギやブグツギキュの名前を書いたのか、その状況を憶えていないんです)。

 本書にも竹熊健太郎さんのブログ「たけくまメモ」の長谷邦夫先生のコメントにも、「キャラ」の例として、べし、ケムンパス、ニャロメなどの赤塚キャラのことが触れられているが、赤塚先生は、どんな意図で、あのような「キャラ」を登場させたのだろうか? 赤塚先生の年代からすると、「キャラは萌えるもの」なんて意識はなかったことだろう。

 というわけで、赤塚先生にキャラクター論を仮想インタビューしてみたい。

   * * *

 ――赤塚先生。やはり「キャラクターは立てるもの」という小池一夫氏の理論に賛成ですか?

 赤塚「(宍戸錠風に)チッチッチ、立てるのはキャラクターではなくて、キャラの方なのだ。しかも花がなくてはいけない。島倉千代子先生も言っておるではないか。『♪キャラ立ち、キャラ立ち、キャラ立ちの花~……』とな」

 ――おお、さすがに鋭いご指摘。では、「キャラ萌え」については?

 赤塚「萌えるのはキャラではない、キャラクターなのだ。小林旭先生もそう言っておるではないか。『♪萌える男の赤いキャラクター……』とな。キャラクターは、やっぱりヤンマーディーゼル! これでいいのだ!」

 ――はは~、ありがとうございました。おあとがよろしいようで……。


 変な感想ですみません。

 昔、「キャラ立ち」という言葉を聞いたとたん、反射的に、「からたち日記」のメロディが鳴り響いたんです。

(参照)

http://www5f.biglobe.ne.jp/~futakoz/versoj/v-sengokayou/karatachinikki.htm


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コメント

♪キャラ立ち~、笑えます~。
早稲田でも講義がありましたか。

ぼくも早速2校で、伊藤論を紹介しました。
赤塚マンガ、当時の感じではア太郎が
どうしても「物語」中心になりがちで
人気が出ず、ちょっと苦しまぎれの
コマ中への「ラクガキ」だったわけです。

キャラなる言い方も無かった時代ですし。
それがニャロメを増刊別冊で2本足で
立ち上がらせ、登場人物化したことが
人気急上昇につながった。

ア太郎のけなげな物語が<壊れる>ことで
ギャグ度が高くなって行ったんですね。
まさに「キャラ立ち」です。


>長谷先生

 こんばんは。

 長谷先生に笑っていただけて、感激です(^_^)。

「早稲田の講義」は、大学の方ではなく、早稲田大学エクステンションセンターという系列のカルチャーセンターのようなところが主催した、オープンカレッジ講座のひとつです。5月から6月にかけて、夏目さんプロデュースで、マンガ表現に関する講座が5回にわたって開講され、聴講生として受講してきました。

 大学の単位に加えてくれたらいいのですが(^_^;)。




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