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誰が「マンガ」を殺すのか

「マンガ原稿を守る会」の活動の元になったマンガ原稿無断販売事件も、編集者のモラル喪失が原因だったが、そのモラル喪失をもたらした原因のひとつに「出版不況」はなかったろうか? いま「マンガが売れない」という編集者の喘ぎ声を耳にすることが多いのだが、でも本当に売れてないの? 売れなくなったのは、リバイバルや復刻や再録といったイージーな雑誌や本作りをしているのも関係しているのでは……などと考えたりもするのだが、とりあえず、マンガ不況論を検証するためのベースとなりそうな本が出たので紹介しておきたい。

『マンガ産業論』(中野晴行/筑摩書房/2004年7月刊/1,680円)

 この本に書かれている内容のほとんどは、「そのとおり」と膝を打つものばかりなのだが、隔靴掻痒の感がまぬがれないのは、客観的なデータによって書かれているせいかもしれない。一般の読者なら充分に読んで納得できる内容だが、よりマンガ業界の内部に近いところにいる(いた)身には、どうしても物足りないところが出てきてしまう。
 でも、マンガ衰退の原因を、マンガ喫茶や新古書チェーンといった外部に求めるのは間違い、というのは、まさにそのとおりだと思う。
 そして、この本でもベビーブーマー(団塊の世代)がキーワードになっている。

 先日、紹介しそこねたが、出版界全体の不況問題について語るなら、やはり、この本を読んでからでないと議論はスタートしないはず。文庫版の下巻の大半は、単行本のときにはなかった「検死編」が加わり、最新の新古書チェーンやレンタルコミック店の状況も取材されている。マンガというメディアの盛衰に関心のある人にも必読の書といえるだろう。

だれが「本」を殺すのか〈上〉
『だれが「本」を殺すのか〈上〉』
(佐野眞一/新潮文庫/2004年5月刊/700円)

だれが「本」を殺すのか〈下〉
『だれが「本」を殺すのか〈下〉』
(佐野眞一/新潮文庫/2004年5月刊/700円)



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